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医療の総監督を目指して 2014/1主侍医通信より

新年おめでとうございます。

と言っても、年が明けて1ヶ月が経とうとしています。ご挨拶が遅くなりました。

昨年暮れの主侍医通信と年賀状にて今年の意気込みをお話しましたが、主侍医業務のバージョンアップのための下準備を進めております。

主軸は「現行主侍医倶楽部は寺下医師顧問契約者ということを再認識し、皆様方の受ける医療の総監督として現場の指揮を執る」という私の役割をより強固に打ち出すための仕組みの再整備だと考えております。部分的にはご不便をかけるところもあるかとは思いますが、総合的には、当事務所でしかできないことをより充実したいと考えております。具体的な業務の改善点や変更点について、今考えている事をお話します。

まず、契約者の皆様の利便性を考えて2006年より一部採用しておりました保険診療部分を廃止し、元来のように自由診療と医学事務所の相談助言を中心とした医療の総合監督役に徹底する方針を固めました。保険を使っての処方箋の発行や簡単な血液検査を付属のクリニックで行なう利便性よりも、本来の相談助言業務に集中できる体制を整えるほうが皆様により貢献できると考えたからです。他の医療機関では出来ない事を補ってこそ、「素晴らしい日本の医療保険の不足部分を補完する事が我が事務所の使命」に値するとの原点に回帰します。

保険診療を廃止しても、自由診療のクリニックは維持しますので、薬の処方や血液検査は、保険適用にとらわれずに自由な判断で行なう事ができます。契約者の皆様には他のクリニックでは得られない利点があると考えております。定期的にお薬を処方している契約者の方には、ご不便をおかけすることもありますが、いくつかのメリットも同時に発生します。例えば糖尿病や高血圧、脂質異常症などそれぞれの専門家に今後診て頂く事により、より専門性の高い眼で診て頂くことになり、かつ今まで通り私が定期的に監督役としてフォローさせて頂く訳ですからダブルの眼でチェックできる事になります。多少不便ですが、質が上がるとご理解いただけると嬉しく思います。

既に治療担当かかりつけ医と私との2重体制で診させて頂いている契約者の方も多い状況で、当院で保険診療をしていたことにお気づきでない契約者の方もいらっしゃるくらいです。我々の仕事が野球やサッカーの監督役だとお話していますが、優秀な技術を持つ選手と全体のマネージをする監督とを明確に分けることにより質が向上するのは医療も同じです。

また主侍医契約者ご本人に限らせて頂きますが、生活習慣病などある程度決まった薬であれば、期間にとらわれず処方できますので、その方が便利だとお考えの方には当院での処方も可能です。契約者ご本人の場合、薬局で発生する処方料がなくなり、クリニックでの診察料、処方料を頂かない予定ですので、トータルでは以前と同等か薬の種類により廉価になることもあります。今後の処方などにつきましては個別にご相談ください。

7、8年前より、教え子の若いドクターたちの協力を得て、一部の契約者の方の定期的な診療やご相談に対応させて頂いて参りましたが、石澤ドクター、笹部ドクターなど数年この業務を続けることにより、皆様の信頼を得られるまでに育ってくるのですが、やはりメインに所属する医局の人事を中心に動かざるをえなく、これからという時に交代になりご迷惑をおかけしています。今回も、田代ドクター、矢澤ドクターともに4月からの医局人事での移動が決まり交代となります。後任の若いドクターも考えてはいますが、これを機会に契約者の皆様には私が定期的なフォローも直接させていただきたく考えています。また、夜間休日ドクターホットラインで登場させて頂いております、愚息の勇祐ドクターも5年目の研修となり、まだまだ修業を重ねないとなりませんが、実地医療の現場では私よりも活躍できるような部分も徐々に増えてきました。比較的急いで専門医の診察が必要な事態の場合は勇祐ドクターが勤務する病院の専門医にご紹介し、その診療のサポートを勇祐ドクターが担当し、定期的な面談診療や、あらかじめ時間をお約束しじっくりと医療判断の相談助言をする部分は私が直接担当するという(まだまだ未成熟ですが)「父子鷹」体制を基本にスタッフが一丸となってサポートする決意を新たにしています。非常勤の若いドクターには「医療判断医」の研修という形を明確にして参加して頂く事になります。

上記の事も踏まえ「夜間休日ドクターホッとライン」も見直していく予定です。契約者の方から「やはりいつも顔見知りのドクターやスタッフと連絡が取れてこそ安心」という意見もいただいています。1秒を争う救急事態には救急車による救急病院での診療を最優先にして、その後の方針をじっくり相談していく事が我々の役割と考えています。そういう考えでいけば、24時間必ず電話を取れる体制を厳密かつ神経質にキープするよりも、皆さん方の情報を把握しているスタッフとおおむねいつでも連絡がとれるというくらいの体制を常にしいておくことの方が実際には有用かと考えています。一部のホッとライン契約者の方々ともご相談していますが、その方が有難いとの声が圧倒的です。こちらはしばらくお時間を頂きながら前向きに検討をして参ります。

30年間非常勤で勤務していました山王病院を3月末で辞める事になりました。山王病院の創始者の経営時代は週に3日も勤務し、胃のファイバースコープ(なんと2000例も行ないました)やエコー検査なども担当し、今でいう総合医を務め、最近では心療内科の専門外来を担当していました。最も高い予約料を頂いていましたが、予約が取れない心療内科とお叱り(お褒め?)のお言葉を頂いていました。ただ、じっくりお話を伺う心療内科はきちんとやればやるほど採算が取れない部門で、診療時間が延びては、いつも多くのスタッフの残業を強いることになり経営にたいへんご迷惑をおかけしていることは自覚しておりました。他科のドクターからは「メンタルで困った時のテラさん頼み」として重宝いただいておりましたが、山王病院での閉診に伴い、多くの患者さんからは、自由診療で構わないから飯田橋オフィスで診療を継続して欲しいとのご希望を頂き、有難くお受けすることにしています。その方々も含めて、自由診療のメリットを最大限にいかせる診療体制の構築を考えております。

今年は事務所設立30周年になりますが、設立当初は、新しい医療の仕組みの研究に取り組み、今でいう「電子カルテ」や「医師間の相互相談システム」などの研究開発を行っていました。最先端の医療情報システムの構築を探求していくうちに、「安心して良質な医療を受けるためには、侍医(監督)のようなプライベイトドクターを持つ事と、正しい医学的知識を持つ事」であるという現在まで続いている事務所の行動理念が成熟してきました。その理念の実践として「主侍医システム」があり、「教養のための健康医学塾」がありました。後者は折に触れ、期間限定で行なってきましたが、今回は4月を目指した復活開校の準備に入りました。1クラス20名までのテラ小屋的運営で、塾長として私が基本講座を受け持ちますが、現役の東大医学部の学生にも登場してもらいます。家庭の健康の担い手である主婦の方や、企業の役員の秘書の方や人事の方、教養として医学を学びたい方など幅広く参加できるプログラムを考えています。皆様の秘書業務をされている方にも是非入塾いただければと願っています。

今年の具体的な抱負を述べることにより、新年のご挨拶に代えさせて頂きます。

2014年 1月 吉日 寺下謙三  

 

作成:2014/02/17

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