[2015.12.16] 【代表主侍医のつぶやき】2015/12

今年も1年が過ぎ去ろうとしています。年末になると、「早かったねえ」「あっという間の1年だった」「何もできないうちに1年経った」「バタバタの1年でした」などという言葉が飛び交います。私自身も、同様の言葉を発する場面が多いことも自覚しています。それに今年は事務所開設30年を経過した年でもあり「光陰矢の如し」を実感せざるをえません。しかし、事務所の活動を振り返ると一概に「早かった」と思うより「いろいろあったなあ」という感慨の方が多いような気がしています。そして何事に関してもそうなのですが、いつものように「こんなことでよかったのか?」という自問自答に頭を悩まされ、それに答えては「では、これからどうするのか?」という次の難題が覆いかぶさってきます。
 
自分の活動の原動力は何なのかなあ、とよく考えます。一般的には、「権力」や「お金」や「いい格好」や「快楽」を求めて、人は行動します。「権力」「お金」はあまりその解釈に多様性はありません。しかし、「いい格好」や「快楽」には、人によりずいぶんと多様な解釈があります。この辺に「幸福感」という漠然とした、でもとても大切なものの本体が潜んでいるのではと思っています。「権力」や「お金」では「幸せ」を買えないことは、今や誰もが知っていることですし、残念ながら、権力やお金で幸せを買えた人を見たこともありません。でも、本屋さんの店頭は「お金の稼ぎ方マニュアル」「上司に気に入られるマニュアル」「客の心をとらえるマニュアル」といった類の本で溢れています。本屋探訪の大好きな私でも、気分が悪くなりめまいがします。ふと気がつくと「素敵なお金(権力)の使い方」を諭した本は皆無です。日本人は、経済大国を念仏のように唱え、モウレツ社員を尊び、お金を稼ぐのは上手くなったが、その使い方が貧相なままなのではないでしょうか?その辺が、国としてとても快適で立派な日本なのに、なぜか幸福感漂う国とは言えない所以ではないでしょうか?(この原稿を書き終えた後ですが、メンバーのTさんから「ノーベル賞の大村さんのように稼いだお金をバーンと寄付するなんて格好いいねえ」というコメントを頂きました。)
 
冒頭の話に戻りますが、時間の過ぎる感覚はその辺にあるのだと思います。予定を詰めまくって効率の良い時間を過ごせば過ごすほど、時間が過ぎるのが早く感じられます。逆に何もしないと時間が長く感じます。独房に閉じ込められたり(そのような経験はありませんが)、入院中の夜の時間(こちらは経験済みです)などがそうでしょう。幸せ感は、その中間に位置する「ゆったりと流れる時間に身を浸せる時」に生じるのではないでしょうか。
 
来年こそは、そのような時間も持ちたいと密かに願っているのですが、みなさまも是非、幸せな新しい年をお迎えください。
 
2015年12月 吉日 寺下謙三

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