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TERRA信頼医師団応援します。すべては患者のために。

私は30年あまりもの間、医療分野の意思決定を支援することを任務として活動してきましたが、そのために大切な要素は二つあると思っています。一つは自らが医療判断医として、クライアントの訴えを詳細かつ丁寧に聞き取り、不安の核心に迫る技術と知識と熱意と誠意を持つことです。そして、もう一つは実際に治療を担当してくれる専門医の方々と親密かつ適度の緊張感を持って共同診療にあたれるような関係を維持していくことです。この二つを磨くことが、クライアントである患者さんの安心と納得を得るために不可欠なものとなっていますし、自らの活動を振り返り苦労はしたけれど自負できるところでもあります。

このような活動の中、素晴らしい医師たちと出会ってきました。日本の医療はこのような人たちで支えられているのだなあとつくづく思います。医師の中で、実際に医療の現場で汗水流して直接患者さんに貢献している人たちの割合が問題だと考えています。研究や教育の仕事を中心にする人も必要でしょうし、管理職や行政の一員として医療の品質を総合的に高めていこうとする人も少数ながら必要でしょう。しかし、そういった意識の薄く、権力とお金しか興味のない人も少なからずいることは結構な問題です。また、医療を金儲けの手段としか考えないような医師もいるでしょうし、勉強不足の医師もいます。また医師免許を持ちながら、医師を辞めていく人も少なからずいます。こういったことが「医師不足だ」「いや医師の偏在だ」とか「勤務医は過酷な労働だ」「開業医はまともに医療をやっていると成り立たない」などの声を反映しているのかもしれません。

何かを良くするのには二つの方法論の方向性があるでしょう。「悪いものを無くす」のと「いいものを増やす」という単純な話です。

マスコミ的には前者の方法論を取ることが多いですが、時には正反対の極論として「神の手」「行列のできる医者」「予約の取れない医者」のようなバラエティー番組を展開します。どちらも困ったものです。まっとうな医師たちは「バラエティなどのテレビに出る暇」はありません。テレビに出る暇があれば、行列に並ぶ患者さん、予約の取れない患者さんを一人でも丁寧に診てあげた方がいいに決まっています。

そんなことを考えていると、「信頼できる医師の信頼している医師は信頼できる医師」という、何やら早口言葉のような言葉が浮かんできました。今まで私の患者さんたちがお世話になった素晴らしい医師たちを「Terra信頼医師団」として、お礼の気持ちとこれからの任務として広めていこうと考えました。
人は、いい模範を見ると自然と真似したくなります。逆に悪貨は良貨を駆逐します。それなら駆逐できないほどの量と質の良貨があればいいと考えました。

よく医師を評価するときに「医師としての能力」と「人間性」の両方が大切だと言われます。「能力」の関しては理解がしやすいでしょう。「技術が高くや知識が豊富であることは良いことだ」に異論はないでしょう。その他「肩書き」「学歴」もある程度は「能力」を反映しているかもしれません。問題は「人間性」の評価の方です。一言で言うとたやすいのですが、その評価は難しいです。難しすぎます。私の仕事で、専門医を紹介するときに、患者さんは「能力」の高さを求めるのは当然ですが、人間性については「優しい人」「一生懸命な人」などと要望されるのですが、個別の場合は、結局は相性みたいなものを大切にしています。一般論で「人間性」というのを説明するのは難しいのですが、私は「熱意」と「誠意」に分けて考えています。「熱意」は文字通り「熱く燃えたやる気」のようなものです。しかし、その動機にはいろいろあります。出世やお金が動機になる人もいれば、使命感で燃える人もいます。名誉やプライドで熱意を燃やす人もいるでしょう。いずれにしろ「やる気満々」なことはいいことなので、あまりその動機を追求しないようにしています。問題は「誠意」です。こちらの定義としては、患者さんとの間の個別なものと考えています。簡単に定義すると「面倒であったり、自分に若干不利益なことであって、相手のために真心で尽くす」ことです。こうなると「熱意」の定義とは異なってきますし、患者さんとの関係性においても、多少は揺れ動きます。人によっては大きく揺れ動くこともあります。「能力」「熱意」はその医師にある程度固定したものですが「誠意」を引っ張り出すには、半分は患者さん側にも責任があることになります。医師といえども一人の人間ですから、患者と医師も人間関係のひとつ、お互い誠意を持って接することが大切となります。私たちは、そういった気持ちで、日々「医療決断支援」という仕事をしています。私の信頼医師団の医師たちは、「誠意」を豊富に持ち合わせています。それでも患者さんの対応次第では、引っ込んでしまうこともあります。患者さん側の誠意をきちんと専門医に伝え、専門医の誠意を引き出し、それをきちんと患者さん側に伝えるのです。誠意をまったく持ち合わせていない人は、ほとんどいません(と思っています。例外はいるでしょうが)

「誠意ある医師を応援することにより、誠意ある患者さんを支援する」
私の事務所の合言葉です。

作成:2016/01/13

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