主侍医のつぶやき: 2009年2月

【代表主侍医のつぶやき】2009/2

主侍医通信 2009年2月晩冬号(第111号)より
【代表主侍医のつぶやき】

平成21年、西暦では2009年と暦上は節目となる年ではありませんが、今年は新しい時代への幕開けの準備段階のような年であると私は思っています。100年に一度と言われる不景気の波、黒人初めての大統領オバマ氏の誕生など、少なくとも私が生きてきた半世紀を振り返ってみると、オペラでいうところの大きな一幕が閉じて、二幕めの序奏曲が始まったように感じています。ここ数年、私のテーマとして「命よりこころ」を掲げています。矛盾しているように思われるかもしれませんが、そういった心構えで「命の尊さ」を感じながら仕事をしています。
そんな中、オバマ大統領の就任演説には、大変心を打たれ共感しました。多分に哲学的なところが多く、具体的な内容が少ないとの批評もあるかもしれませんが、何事を行うにしても基本的でしっかりした理念が必要だと私は思っています。決して、人民をムードであおるような演説ぶりでもなく、こころに静かに響く演説でした。そのお陰で、市場原理主義、一国正義大国主義、マスコミ最強主義、セレブ崇拝主義など日本へ悪影響を及ぼし続けたと過度なアメリカ嫌い(アメリカ人個人は好きな人も多く、ハリウッド映画もフランス映画より好きですが)の私も、アメリカは変わるかもしれないと思いました。「仕事より娯楽を好み、富や名声の悦楽だけを求めるような小心者ではなく、リスクを恐れず、実行し、生産する者がアメリカを支えてきた。有名になった(セレブ)ものもいたが、多くは目立たない労働者がアメリカを支えてきた」という下りに、特に共感しました。私がライフワークと考えている「スーパー医局」プロジェクトは、決して個人的な英雄医師による「ゴッドハンド」を育てるのではなく、模範となる医師の集団により次の世代へメッセージを送る必要性に迫られたから生まれました。スーパー医局活動には数々の困難やリスクが待ち構えています。富を生むどころか、運営を続けられる仕組みを作るだけでも精一杯でしょう。それにこの活動自体が舞台裏活動です。今回の大統領演説で、二の足を踏んでいた私の背中を押された気分です。苦しく辛い時代の幕開けは、新しい希望に満ちた時代をもう一度作り直す序章にもなることを願って年頭のご挨拶に代えさせていただきます。

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