主侍医のつぶやき: 2014年5月

【代表主侍医のつぶやき】2014/5

衣替えをした途端にまた寒くなるという意地悪な天気を恨んでいる方も多いと思いますが、体調はいかがでしょうか?

最近の新聞紙上で、医学や健康の話題が多くなりましたが、数週間前の日経新聞にベテランの癌専門医がコメントしていた記事をみて、私自身が歩んできた道は、それほど外れてはいなかったのだと慰められました。

「長らく癌の専門医として治療を続けていて、患者側から見てもっとも大切なことはきちんと相談できるということであるということに気づいた。十分相談して納得して治療を受けていれば、それから先の人生に大きな違いが出てくるからだ。結果がどうであれ、癌を受け入れて新たに前向きの人生を作っていけるからだ。」

といったような内容でした。具体的な先進的な治療の議論ではなく「相談が一番大切」と感慨深く述べられたその一文を読んで、私の今後の総括的活動の方向性の再確認ができた思いでした。

なぜなら、我々医師の最大の望みは、患者さんに最長の寿命と痛み苦しみからの解放にどれだけ貢献できるかですが、残念ながらいくら頑張ってもそれには限度があり、たかだか数%のお力になるために大変な努力を必要とします。経済産業の社会では、利益を倍にすることも10倍にすることも可能です。今や無限大に儲けようとしている企業(人)も少なからずいるように見受けられます。我々が医療の世界でもし数%の力になっているとしたら、それは大変なことだと自画自賛していましたが、患者側の気持ちになってみると(実際医師も人間で、度々患者側の気持ちを体験するのですが)、自分の大切な人が大病になると、どんなことをしてもいいから世界で一番の治療を受けさせて治してあげたいという気持ちになります。でも医学の限界は寿命の前では微々たる力しか持ち合わせていません。歴史的に見れば、私が生まれた昭和28年の男性の平均寿命は59歳ですから、現在までに20年も寿命が伸びました。また明治以前では結核で亡くなったりお産で亡くなったりするかたはかなりの数でしたが、今やゼロとはいきませんが、かなり少なくなりました。さらに有史以前に遡ったら、人間の寿命は倍です。これがすごいのか、たったの倍どまりなのかです。他の分野と比べたら「何万年かけてたったの倍」となるでしょう。そして我々医師が、懸命に努力しても数%貢献できるかどうかの世界である事実は、人生を振り返り愕然ともします。

だからこそ、「納得できる医療を受ける」ということが最も大切なことで、特に重病時には、「信頼できる専門家に徹底的に相談して具体的な助言を受けて、十分納得してから医療を受ける」ことこそ最善の医療であるという私の持論の結論に至ったのです。そのための方法論はいくつもあるでしょう。その一つが、私が今まで培ってきました「主侍医システム」ですが、この部分だけに特化した、より完成したモデルを構築したいというのが、これからの課題です。

もう一つ、大切なことと考えているのが「一般人向けの医学教育」です。英会話はじめ、教養としてのカルチャー講座が各種充実しているのに、他の分野のインテリでさえ、教養としての医学知識があまりにも少ないのに驚くばかりです。その代わりにキワモノの医学情報がネットやテレビで氾濫していますから、真っ当な医療を評価できる力が不足して、当然の結果、納得できる医療を受けるチャンスが減ることになります。私は、中学、高校では無理でも、大学の必修科目ぐらいにはなって欲しいと考えています。

「教養医学塾テラ小屋」は、そのシンボルとして4月より復活開校しましたが、今後は企業の社員研修の一環としてプログラムを開発し広めていきたいと考えています。長らく主侍医を務めていますT社さんの社員教育を10年以上も続けさせていただいていますが、社員の方から喜んでいただいています。是非、皆様の会社でも採用いただければと願っています。

「テラ小屋」では、私が知識を振り絞って、面白く医学を学べるように工夫しております。契約ご本人様には無料でご招待しておりますので、お気軽にご参加ください。ご家族や秘書の方なども優待しておりますんどえお問い合わせください。

 

2014年5月 吉日  寺下 謙三
 

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