正しい生き方から美しい生き方へ④ 孔孟思想から老荘思想へ その2

 

1998.4~1999.4

正しい生き方から美しい生き方へ④
孔孟思想から老荘思想へ その2

ばんぶう

1998.8

日本医療企画


前回は、孔孟思想と老荘思想について少し話した。
 どちらがいいかという意味ではなく、人間で言えば若いときは孔孟思想を中心に、中年以降は老荘思想も取り入れるのが良いのではということになる。
国で言えば、発展途上国では孔孟思想で、日本のように成熟してくると老荘思想も大切になるのではないか。また、企業で言えば、前者が急成長型ベンチャー企業や増収増益企業であり、後者が昔ながらのお店や収益横ばい企業である。癌の治療で言えば、前者が手術や抗ガン剤、後者が免疫療法や東洋医学的治療にあたるのではないか。
 このように例えてみると、何となく理解されてくるのではないだろうか。最近、私の敬愛する人物の一人「手塚治虫」の書いた本を読んだ。その中の彼の言葉を引用させていただく。
「僕が未来は技術革新によって幸福を生むというようなビジョンを持っているように言われ、大変迷惑しています。アトムだって、よく読んでくだされば、ロボット技術をはじめとする科学技術がいかに人間性をマイナスに導くか、いかに暴走する技術が社会に矛盾をひきおこすかがテーマになっていることがわかっていただけると思います。」さすが大天才は洞察力があるし、どのような分野にいても、はっきりした哲学を持っているものだ。いつの時代でも大天才が世の中を救っていく。しかし、急成長してきた日本においては、天才の出現を嫌う土壌があることが気がかりだ。
 「足るを知るこころ」と「素直なこころ」が混迷する日本を救うキーワードと思われる。

    

Copyright ©2013-2020 Terashita Medical Office Allrights All rights reserved.