血流チェックで大病を防ぐ

テレビ人間ドック

血流チェックで大病を防ぐ

おもいっきりテレビ

1998.12

日本テレビ放送網株式会社発行


皆さんは人間ドックに入ったことがありますか?
お宅にいながらにして、人間ドックと同じチェックが簡単にできる、名づけて「テレビ人間ドック」。
今日は血流の流れを中心にチェックします。
血流というのは、酸素を取り込んでこれを身体の隅々まで送っている。
まさに、命の源、健康のカナメです。
この大事な血液と血液の流れによって今の健康状態がわかります。
ここでは、血流が悪くなるとどのような症状を引き起こすのか、部位別にご紹介します。


 

冬場に多い血流の異常による大病

死亡総数に占める死亡原因

体じゅうをすみずみまで巡る血管。
この血管の中を流れる血液の流れが悪くなったり、詰まったりすると、最悪の場合は死を迎えることになります。
「死亡総数に占める死亡原因」のグラフを見ると心臓疾患、脳血管疾患による死亡数は両方あわせて35パーセントになっています。
 特に気をつけたいのは冬場です。

月別にみた

←(赤線)循環器系疾患(心臓疾患を含む)

←(青線)脳血管疾患の死亡率

月別 血液の比重変化

月別にみた循環器系疾患(心臓疾患を含む)と脳血管疾患の死亡率のグラフによると12~2月の寒い時期に死亡率が高くなっています。
 寒くなると、人間の体は脂肪を蓄えて体を温かく保とうとするので、脂っこいものが欲しくなります。そうなるとコレステロールが増え、血液もねばっこくなって、血流が悪くなったり詰まりやすくなったりします。
 血液の比重を調べたグラフをご覧になるとおわかりのように、冬場の1月、2月、3月は男女ともに血液が濃くなる傾向があるので注意が必要だということです。
 では、血流の異常による大病を未然に防ぐにはどうすればよいのでしょうか。簡単にだれにでもできる部位別血流チェック法をご紹介します。

まずは脳の血流チェックです。
脳の血流が悪くなると、物忘れが始まり、恐い脳卒中にもつながリますので、これは非常に重要なチェックです。 

血流チェック

人指し指を顔の前で左右に撮り、頭を動かさないように目で追っていく。
ここで大事なことは、顔を動かさずに、目だけを動かすこと。
そして、指はゆっくり左右に張ることです。
さあ、止めてください。
止めるのはどこでもかまいません。

止めた指がハッキリ1本に見えた方は正常。
2重・3重にダブッて見えた方-残像があるように見えた場合は、要注意。

脳の血流が悪くなり、脳腫瘍などができると脳が腫れた状態になるため、目を左右に動かす神経が障害を起こしやすくなります。

ですから、左右に動く目の動きが悪くなって、焦点が合わずに二重に見えてしまうことがあるのです。

五百円玉を使った簡単な訓練をすることで脳の血流を促進してみましょう。

脳の血流促進法

目をつぶったまま、指で五百円玉の裏(500という数字がほられた面)と表(模様の描かれた面)を確認する。

人間の体は、使うと血流が促進されるのが基本です。
脳を活性化し、血流を促進する最大のポイントは指先=指の感覚をつかさどる部分です。
五百円玉以外にも、麻雀のように指先を鋭敏にし、脳の血流を促進させるのに効果的な訓練法はほかにもたくさんあります。


心臓

最近ちょっと首が太くなったようだ、こんな方はいませんか?
これは静脈の流れが悪くなって、首の静脈が太くなったためかもしれません。
心臓病の疑いもあります。
心臓への血流が悪くなると、狭心症や不整脈、最後は心筋梗塞や心不全という生死にかかわる病気になる可能性があります。

血流チェック

靴を脱ぎ、足の甲を指で5秒間押す
5秒間、押したあとにくぽみがまったく残らない方、スッと元にもどる方は正常。
心臓に異常がある方の場合、くぼみが残ります。
腎臓と肝臓の障害でも、同様のことが起こります。

心臓の血流が悪くなると、全身の末梢から血液を吸い上げるカが弱くなり、足がむくみやすくなります。
こうしたむくみは、筋肉の少ない足の甲などで発見しやすくなります。
心臓の血流をよくする方法としては、「第二の心臓」ともいわれる足を鍛えることが効果的です。

心臓血流促進法

あお向けに寝て、足を上げて、自転車をこぐように10回まわす

血液を送り出すときは、心臓がポンプの働きをして送り出しますが、もどるときは筋肉の働きが静脈に血流をもどします。
特に足は重力に逆らっていますから、これを鍛えてポンプのカを強くすることで、血流が促進されるわけですね。
ただし、「左の肩がつねにこっている」「脈が飛ぶ」、こういう方は心筋梗塞の可能性もありますから、医師に相談してください。


首は、脳幹部という体のバランスや意識をつかさどる大切な脳に血流を送る通路になっているので、流れが悪くなると、めまいや意識障害・失神などを引き起こします。

血流チェック

首を左右に15秒ずつ向ける
横を向いても何も起こらない方、これは正常です。
でも、横を向くとめまいがする、こういう方はちょっと気をつけましょう。

頭部への血流の通り道である首には、四本の動脈があり、特に背中側の細い動脈は、骨の間をぬって走っています。
そのため、年齢とともに骨量の減少などで骨の形が変化すると、圧迫されて、詰まりやすくなります。
横を向いたり、すこし無理な姿勢をとると、よけいに血流が悪くなるため、めまいがするわけです。
 めまいまではいかないまでも、なんとなく違和感のあるような方、こんな方の血流促進法は「首の筋肉を鍛える」ことです。

首の血流促進法

1 両手を垂らしたまま、肩を耳くらいまで上げる
  それぞれ3回ずつくり返す

2 肩を前複交互にまわす

3 両手を後ろで組み、思いっきり胸をそらす

首はひじょうに安定の悪い部位で、これを支えるには、周りの筋肉を鍛えるしかありません。首の血流促進法は、首の周りの大きな筋肉を鍛えるのにとても簡単で、効果的な方法です。


肝臓

肝臓はまさに血液の塊で、体の機能を維持するためのいろいろな処理をしているところ。
ここの血流が悪くなると、疲労や肝機能障害、さらには重大な病気へとつながりかねません。
この大事な肝臓の血流チェックはほんとうに簡単、手鏡ひとつあればできます。

血流チェック

鏡で自分の顔をよく見てみる

特に何も異常がなければそれでOK。ただ、頬にクモの巣状に血管が浮き出たような感じで、赤くなっている場合は要注意です(クモ状血管腫)。
 これは細かい血管、毛細血管が拡張しているために起こる症状で、体の中を流れているエストロゲンという女性ホルモン(男性にもあります)が、肝臓で代謝できなくなったために起こります。

同じような症状は、手のひらや胸の部分にも見られます。

「おヘソの周りの血管が浮いた」、「吐血した」などの症状は肝機能障害の疑いがありますから、すぐに病院に行ってください。
 では、肝臓の血流をよくするにはどうしたらいいのでしょうか。
これもじつに簡単です。

肝臓の血流促進法

身体を寝かせるだけで血流量増加

さらに…食後30分間は必ず、目を瞑りあお向けに寝る

横になると、各部にあった血液が内臓にもどり、血流量が増加します。
特に食後30分くらいは、目をつぶって何も考えずにあお向けになってください。食後は消化のために血流が胃に集中し、肝臓への流入が少なくなります。

横になることで、脳やそのほかの部位の血液を少しでも多く肝臓に流す効果が期待できます。


腎臓

「老廃物の処理」、そして「血圧や体液をコントロール」する働きをもつ腎臓。
腎臓は、じつに一日ドラム缶(200リットル)8本分 1,6キロリットル)の血液を処理しています。
この腎臓の血流が悪くなると、尿にタンパクが混じるため、尿の泡が消えないなどの尿の異常や、貧血(まぷたの裏が白い)、高血圧(頭痛・肩こり)、さらに腎不全を招くこともあります。
また、高血圧が進むと、視野の一部が欠ける、などの症状も出てきます。

「風が吹くと桶屋が儲かる」的ですが、腎臓の機能がおかしくなり高血圧が進むと、目の後ろ、フィルムにあたる部分(眼底といいます) の毛細血管に出血を起こして、視野が一部欠ける場合が多くなります。

血流チェック

片方の目で新聞の真ん中を見る
広げた新聞紙の真ん中に直径2~3センチ程度の○を書き、四隅には赤いマジックで、少し大きめにご自分の名前を書いておきます。

正常

片目で、真ん中の○を見つめたとき、四隅の文字が「なにかあるな」という程度にすべて見える方は正常。

異常

四隅のうちの-角でも視野に入らない(見えない)ときは、眼の奥の眼底というところに異常のある可能性があります。

腎臓の血流促進法

腎臓は寒さに弱い臓器ですので、とにかく温めるのが一番。位置的には背中に近いところにありますから、腹巻きや使い捨てカイロをあてるのが、大変効果的です。
 しかし、視力障害に加えて尿の異常、貧血が伴ったとさは腎不全を凝ってください。こういうときは、すぐに病院で検査してください。

    

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