正しい生き方から美しい生き方へ⑪ 相対価値観と絶対価値観 その2

 

1998.4~1999.4

正しい生き方から美しい生き方へ⑪ 

相対価値観と絶対価値観 その2

ばんぶう

1999.4

日本医療企画


前回、相対的価値観から絶対的価値観へのパラダイムシフトこそが幸福への道であるというようなことを述べた。
 もうお気づきのように、正しい生き方は相対的価値観に基づき、美しい生き方こそ絶対的価値観に基づいた生き方なのである。他人が決めた法律に従う生き方が正しい訳で、自分の判断があまり全面に出ない。美しいかどうかは多分に自分の判断が必要になってくる。「人をたてれば蔵が建つ。隣に蔵が建てばあたしゃ腹が立つ。」という言葉を最近、耳にした。まさに相対的価値観に振り回され、苛まされる我々凡人の絵模様ではないだろうか。

 人間の醜い心の中でも、「ねたみ」というのは特に醜逸(私の造語)である。かのキリストでさえ「汝ねたむ無かれ」とさとしたわけだから、昔からあった世界共通の感情なのであろう。我々人間を苦しみに導くものであることは間違いない。他人を苦しめるのではなく、ねたむこと自体が自分を苦しめるのである。十分な文明に満たされた日本、いまこそ心の平和を求めて自分自身を解放したいものだ。
 このタイトルでの最終回はなんだか宗教の時間のようになってしまったが、みなさんへの説教ではなく自分自身への問いかけでもある。日常を振り返ってもなんと相対的価値観で判断していることの多いことか。でも、言い訳じみてはいるが、「勝った、負けた」のような煩悩も、我々凡人にとって時には生きる糧にもなるのかもしれない。絶対的価値観のトレーニングをしようと前回言ったが、絶対価値観を悟りきると、もうほとんど神様なのであるから、「まあ、人生何事もそこそこ70点」が美しいのではないだろうか。

    

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