発芽玄米の効果

発芽玄米は高血圧から高脂血症まで防ぐ

薬効の宝庫で健康的にやせられると判明

壮快

2000.3

マイヘルス社 発行


日本人は、昔からコメを主食にしてきました。しかし、ここ最近気になるのが、日本人の「ご飯離れ」です。実は、このご飯離れが、肥満を原因とした生活習慣病を招いていると考えられるからです。
 実際、朝はトーストにコーヒーという人は多いと思います。しかし、ミルクや砂糖を入れたコーヒーにバタートーストと、みそ汁に焼きノリで食べるご飯、この二つのメニューを比べたとき、どちらが肥満になりやすいかは一目瞭然です。
 予防医学では、食生活がいちばん重要だと考えられています。生活習慣病は、一朝一夕には起こりません。長い期間の習慣が原因なのです。その中でも、最も大きな原因が食習慣です。
 肥満を防ぐためには、主食をご飯にするのがいいと述べましたが、実はご飯の選び方によっても、肥満を防ぐ効果が違っきます。私たちが日常食べているご飯は白米ですが、ほかにも玄米や胚芽米があります。
 玄米は、稲を収穫した後、もみ殻だけを取り除いたもので、ぬかや胚芽が残っているものです。胚芽米はぬかが取り除かれたもので、白米はぬかも胚芽も取り除かれたものです。
 ぬかの部分はかたく、玄米は、食べるときにぬかをかみ砕かなければならないので、その分、かむ回数がふえます。
 実は、この「よくかむこと」が肥満の予防に必要なのです。よくかむと、脳に「満腹した」という信号が送られ、食べすぎる前に満腹感を得ることができるからです。
 肥満の原因には運動不足や体質的なものもありますが、女性の場合、ストレスで「食べたい」という欲求が強くなることがあります。女性はストレスを感じると、「種の保存」という本能が働き、エネルギーを蓄えようとするのです。このときも、よくかんで食べれば満腹感を得られ、食べすぎを防ぐことができます。
 ちなみに、玄米のかたさの成分は、食物繊維です。食物繊維は、便秘の解消など、肥満に対して有効であることがわかっています。この食物繊維は、白米にはほとんど含まれていません。ですから、こういった意味でも、玄米は肥満を防ぐカが強いといえるのです。

脂肪をつきにくくする成分を含有

しかし、どんなに玄米が肥満を防ぐのに役立つといっても、口当たりや味の面で抵抗のある人も多いでしょう。そうした人でも、玄米を〇・五~一㍉ほど発芽させるだけでおいしく食べることができます。
 発芽するとき、ぬかにひびが入るので、玄米がやわらかくなって、とても食べやすくなるのです。もちろん、やわらかくなったとはいっても、ぬかは残っているので、かみごたえはじゅうんあります。
 さらに発芽によって元来玄米か持つアミノ酸(たんぱく質の構成成分)や食物繊惟ミネラルの量がふえたり 新たな栄養成分が加わったりします。
 また、発芽玄米には、体に脂肪をつきにくくするイノシトールという成分も多く含まれていることもわかっています。
 これらのことから、発芽玄米は、肥満を防ぐ効果が期待できるといえます。
 しかも発芽玄米は、白米と同様に炊飯器で炊くことができます。 最初は発芽玄米と白米を混ぜて炊き、食ベ慣れてきたら少しずつ発芽玄米の量をふやすといいでしょう。
 前述のように、生活習慣病は習慣によるものですから、生活指導で改善できます。
 例え高血圧の人は高脂血症(血液中のコレステロールや脂肪が異常に多い状態)や、脂肪肝(肝臓に脂肪が異常にたまっている状態)を併発している場合が多く見られます。これらの病気を治療していくには、何種類もの薬を飲まなければなりません。
 ところが実は、生活習慣を改めて体重をへらすだけで、そういったすべての検査データが改善してしまうことが多いのです。

こうしたことからも、発芽玄米を食事に取り入れ、健康約に肥満を解消することは、さまざまな病気の予防・改善にもつながるといえます。
 私が患者さんに生活指導をするときに、気をつけているのは「プラスの指導」です。

「あれはやめなさい、これもいけません」という「マイナスの指導」では、患者さんは暗くなるばかりで、長続きしません。
 しかし、「これを食べればよくなるよ」という「プラスの指導」だと、一生懸命食べてくれます。
 こうしたことを踏まえ、私のクリニックでも、高血圧や糖尿病のほか、肥満によるさまざまな症状に悩む患者さんの治療に発芽玄米を役立てていきたいと考えています。

    

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