少数精鋭主義③ IT革命と知らぬが仏

 

2000.5~2001.4

少数精鋭主義③

IT革命と知らぬが仏

ばんぶう

2000.7

日本医療企画


21世紀はIT革命とバイオテクノロジーの時代だと言われる。株式市場でもIT革命は花盛りである。もはやインターネット、電子メールなしでは生活できないようなムードである。
あるテレビ番組で、IT革命をテーマにいろんな人にインタビューしていた。「インターネットで世界中どこの情報も瞬時にして得られる」「家にいて何でも買えてしまうから、生活が豊かになりますよね」「物事を選択するときに、あらゆる角度の情報を得られるから、安心できる世の中になりますよね」などというコメントが大半を占めていた。
私は違和感を感じたのであるが、みなさんはどうであろうか。情報が多くなり、選択の幅が広くなると、果たして心豊かになるのだろうか。有名なアメリカの医療ドラマ「ER」の中で、いつも冷静ですばやい決断を下す外科医ベントンが自分の子供の病気の治療方針について判断できず、いろいろな専門家の意見を聞いていくうちに「情報が多すぎると迷いも大きくなる」とぼやくシーンがあった。身にしみる話である。
インターネットは情報垂れ流しの巣窟である。利用の仕方次第である種の人々には便利で不可欠となるかもしれないが、たいていの普通の人にとって不可欠であろうか、と最近つくづく思う。むしろ、我々の本来の心地よい時間を奪いヴァーチャルな快適さというか偽の快適さを演出するだけではないだろうか。
電子メールにしても、業務連絡はまだよいとして、プライベートの手紙では、不必要なメールが増加して、時間を奪われたり知らなくていいことを知ったり、メール恋愛もある代わりにメール破局も結構あるようである。今こそ「知らぬが仏」を享受したいと思うのだが…。

    

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