冷房対策

シニア世代の医学ファイル

冷房対策

毎日が発見

2000.7

ファンケル出版 発行


基本は冷やしすぎないこと

最近は家庭にもクーラーが普及し、夏は随分過ごしやすくなりました。でも、快適だからといってクーラーに頼り過ぎると、冷房病や夏バテなどを招きます。
シニア世代では、女性だけでなく、男性にも冷房がこたえる人が増えてきます。冷房病を予防する基本は「冷やし過ぎない」ことです。室温は26~28℃を目安に外気温と極端な差が無いように。又、噴出し口の風が直接あたらないように、風向きにも注意しましょう。温度を一たん設定すると、気候や身体の変化に関係なく、そのままの状態で使い続ける人がいますが、面倒がらずにこまめに、快適な温度、風向き、換気などの調節をおこないましょう。
 又、汗をかいたまま、クーラーにあたると、気化熱で体温が急に奪われて体力を消耗します。冷えた室内に入るときは、よく汗をふいてからにしましょう。ちょっとした注意を、おっくうがらずに実行することが大切です。
 外出先での冷房対策としては、羽織るものや、ひざ掛けなどを用意して自己防衛することをお勧めします。
 又、すぐにクーラーのスイッチを入れてしまう人が増えていますが、出来るだけ自然に近い状態で、夏の暑さを楽しむくらいの気持ちを忘れないことが、身体には良いのではないでしょうか。
 庭に打ち水をする、昼ね用のござ、パリッとのりの効いた木綿のシーツなど、涼を演出する昔の日常生活のひとこまを思い出してみると、夏を快適に健康に過ごす知恵やヒントがいっぱいです。

カビやほこりから、「空調病」になることも

今年になって初めてクーラーを使用する前には必ずフィルターの掃除をしましょう。急に暑くなったからといって、半年以上放ったままの状態でスイッチを入れると、フィルターやエアコン内部に付いたカビやほこりを部屋中に撒き散らすことになり、アレルギー性肺炎の一種「空調病」にかかることもあります。「花粉症が長引いて」とか「夏カゼが治らなくて」なんていう悩みを持つ人はエアコンのカビやほこりを疑う必要もあります。又、数年に1度は専門の業者や掃除サービス会社にクーラーの掃除を依頼するのもよいでしょう。
 昔は梅雨明けの頃に「大掃除の日」を決めて、地域全体で畳の虫干しや床下の掃除をするのが、年中行事でした。湿気を取り除き、カビやほこりをきれいにして夏を健康で快適に過ごす知恵だったのです。

こまめにちょこちょこ水分補給

夏の暑さは胃腸機能を低下させます。そんな時には夏の旬の緑黄食野菜の出番です。身体が欲している栄養素を多く含んでいます。お腹の調子を整えるオクラ、利尿作用を持つきゅうり、免疫力を高めるビタミンAが豊富なピーマンやかぼちゃ、胃液の分泌を促進するトマトなどを積極的に食べるようにしましょう。
 又、香料の効いた料理は食欲を増進させます。年中暑い東南アジアの料理には、唐辛子やカレー粉などの香辛料がふんだんに使われています。バジルやペパーミントなどのハーブを上手に使うのも食欲不振を解消するのに役立ちます。
 シニア世代が特に気を付けたいのは暑い時期の水分補給です。水分補給を怠ると、血液が濃くなり心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。
 又、炎天下を歩く時は、熱射病による脱水にも用心しましょう。
 水分補給は、冷たい飲み物をごくごく飲むよりも、人肌程度の生ぬるいお茶や水をこまめにちょこちょこ補給するのがいちばんです。
 一気に大量の水を飲むと胃酸が薄まり、膨満感で食欲不振の原因にもなります。
 汗をよくかく夏は水分が排出されて尿が濃くなり、女性は膀胱炎を起こしやすくなります。トイレが近くなるのが嫌だといって水分を摂らない人がいますが、膀胱炎の予防にも水分補給は大切です。

    

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