常識に照らす⑦ ユニバーサル常識

 

2001.5~2002.4

常識に照らす⑦

ユニバーサル常識

ばんぶう

2001.10

日本医療企画


前回、「あなたの常識みんなの非常識」と題して常識が通じない人の話を書いた。しかし、今回、桁違いの常識はずれ事件がおきてしまった。勿論、アメリカの貿易センタービル破壊テロ事件の話である。常識に照らして考えればいろいろな難問も答えが見えてくるものである、という意味で今年はこの「常識に照らす」というテーマで書いている。「平和を愛するのは人間の常識」という命題は果たして「真」か「偽」か。
私は医師としても、一人ひとりの命の尊さに接してきたし、今のメインの仕事である医療の仕組み作りを考える上でも、命は尊いものだという当然のような前提条件がある。 ところがどんな理由にしろ簡単に関係のない数千人の命を奪うテロが実行され、また、それに対して報復行動が起きている。一人ひとりの命を救うことに躍起になっている医療者にとって、自分の行動自体がむなしく感じられてしまう。でも、世界の人類史を振り返ると、戦いの歴史であるといっても過言ではないくらい、人間同士が殺し合いをしているのである。他の動物を見ても弱肉強食の世界で、戦いは常に起こっている。人間も本能的に戦うように出来ているのかもしれない。 しかし、人間が他の動物と違う重要かつ唯一の点は、「理性・思考力」を持っていることだ。私は21世紀こそ人類の生き残りをかけた大きな曲がり角であり、無事通過できるかどうかは人間の理性の力次第だと考えている。
今こそ、地域や時間を超えた「ユニバーサル常識」が人類にとって必要な時である。

    

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