常識に照らす⑨ 一流選手観戦の三流ギャラリー

 

2001.5~2002.4

常識に照らす⑨

一流選手観戦の三流ギャラリー

ばんぶう

2002.1

日本医療企画


先日、ゴルフのワールドカップが日本で行われた。かのタイガーウッズが日本に来るということでゴルフ観戦では久々異例の人気であった。私は、前日に知人から入場券をいただく幸運に恵まれたのである。ゴルフ熱が冷めかけていた私にとって、超一流のプロの技を目の当たりに見ることは刺激になるだろうと、仲の良い女子プロのHさんと朝5時に起きて出かけた。
 一番スタートの1時間半前、タイガーのスタートの3時間前に到着した。しかし、1番ホールは既に人だかり。6番ホールのスタンド席が良い角度で見られるということを知り、更にしばらく待つ覚悟で、その席に向かった。さすがにスタンドの人影はまばら。スタンドの席までいくと、なんと、お花見の席取りよろしく、ダンボール紙や荷物を置いて、名前まで書いている。先回りして席を確保して、本人たちは別の場所で見ているのである。
 こんな醜い席取りをする日本人、それを黙認してしまう日本人。その結果、前半の組の選手がそのホールを回ってきた時、スタンドはガラガラに見える。世界中の国を代表して来日した選手にこんな失礼なことは無い。後半の有名選手が来る頃に、席を取っている連中がぞろぞろ現れて、特設スタンドをギシギシ音を立てて登るものだから、選手やキャディーさんが「静かに!」とイライラしてスタンドに目をやる。なんとも情けない、自分のことしか考えない人がいかに多いことか。「心が痛まないのかな」と連中の顔をしげしげみるが、そんなかけらも感じられない。 
一流選手の技に感動し、三流ギャラリーに失望した一日だった。

    

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