2003年9月

一生懸命足るを知る⑤ 「まあいいか」で済まされない人間関係の間合い

 

2003.5~2004.4

一生懸命足るを知る⑤
「まあいいか」で済まされない人間関係の間合い

ばんぶう

2003.9

日本医療企画


先日、初島に行く機会があり熱海から連絡船に乗った。港に近づいた頃、別の船が対向し通過していった。その船の通った後の波が結構大きい。海上が穏やかなだけに、対向する船の作った波は大きく感じられ、「あの波でこちらの船も揺れるだろうなあ」と一瞬身構えたが、案外、少しの揺れで済んだ。こちらの連絡船は比較的大きな船であったからであろう。もし、こちらが小さなボートであったら、あの波では相当揺れただろう。小さな船を運転する時は、大きな船にあまり近づかないことが大切だなあ、などと考えていた。
 常々、「人間付き合いで一番大切なことは何か?」と聞かれたら「間合いです」と答えるようにしている。なるほど、船同士がすれ違うだけでも、自ら作った波でお互い影響しあうのである。だからそれぞれの船の大きさ、スピードに応じて適切な間合いをおくことが安全快適な航海につながる。このことは人間関係の間合いに非常によく似ている。自分がタイタニックのように超大型なら、少しぐらい大きい船が作る波に影響を受けないであろうが、せいぜい大型クルーザーレベルの域なら多少なりとも影響を受けるものである。
「自分のEQ(感情能力)の大きさの足るを知り」、接する相手のリスク性と影響力に応じた相手との間合いが重要になる。心の傷は、体の傷より後遺症が強いものであるから、より一層の予防的行動に値打ちが出てくることになる。極論すれば、人間関係による心の傷は「間合い」の取り方で全て予防できるのだ。地球の裏側にどんな邪悪な人間がいてもあなたに影響は与えないし、テレビドラマの人物はどんなに険悪でもあなたのトラウマの素にならない。確実な間合いがあるからである。でも、確実な間合いだけでは人生面白くないから、どこまで間合いを詰められるか、多少痛い目に会いながらオーダーメイドの適切な間合いを研究していくことが人間関係を楽しむ秘訣ではなかろうか。

2003年9月

環境ホルモンとたたかう栄養素スピルリナ

Dr.寺下の“スペシャルトーク”

環境ホルモンとたたかう

栄養素スピルリナ

…ゲスト…黄堂泰昌氏

自然派健康倶楽部

2003年秋号

「自然派健康倶楽部」編集室


…ゲスト…
黄堂泰昌氏

スピルリナ研究所代表取締役社長 理学博士

同志社大学工学部工業化学科卒業
渡米、カリフォルニア州立大学(サンタクルーズ校)大学院修士課程修了〈有機合成化学)
その後、渡英、オクスフォード大学大学院ダイソンペリンズ研究所にて、有機生物化学の研究に従事、オリゴヌクレオチド及び遺伝子の人工合成などをテーマに理学博士学位を修得
財団法人日本健康栄養食品協会評議員
CRN JAPAN理事


環境ホルモンとたたかう栄養素スピルリナ
寺下
スピルリナと聞くと、あの緑色の小さな粒をみなさん連想されると思います。黄堂さん、いったいスピルリナとはどのような食品なのか教えていただけますか。
黄堂
はい。スピルリナは今から35億年もの昔から生きつづけている藻類の仲間です。大きさは0.4ミリメートルとたいへん小さく、らせん状(スパイラル)であることからスピルリナと命名されました。魚介類なども生息できない高アルカリ性の塩水湖で育ち、現代では考えられない非常に強い太古の紫外線にも負けず、今日まで生きつづけてきました。
寺下
すごい生命力ですね。ところで、人がスピルリナを摂取するようになったきっかけは何だったんでしょうか。
黄堂
アフリカにチャド湖という湖があります。一人のヨーロッパ人学者が、その湖の周辺に定住する原住民の健康状態がとてもいいことを発見しました。たどっていくと、彼らはスピルリナをいつも食べていたそうです。それから、スピルリナはヨーロッパに持ち込まれ、全世界に広がるサブリメントとなりました。1960年代半ばには国連の食糧会議でも、人の健康への有効性が認められた、国連が推奨する食品でもあるんです。
寺下
具体的に、どのようにすぐれた食品であるかお話していただけますか。
黄堂
はい。一言で言いますと、スピルリナは人間に必要なほとんどすべての栄養成分をバランスよく含んでいるということです。まず、良質のたんばく質があげられます。また、カルシウムやマグネシウムといったミネラル類、ビタミン類が豊富に含まれています。とくに、ビタミンB12は通常摂りにくいビタミンですがこれも豊富に含まれているのです。つまり、人の健康の土台を支える栄養成分がまんべんなくスピルリナには含まれているわけです。
寺下
まさに、「生命」に効く食品というわけですね。それでは、何か特定の目的のために摂る食品というわけではないんですか。
黄堂
そうですね、人の存在自体を支える栄養素をバランスよく含んだ食品ですから。ただ、スピルリナは臨床的にもいろいろな効果が証明されています。糖尿病などの生活習慣病を改善する効果など多くの研究成果が認められているだけでなく、摂取した脂肪や糖質の吸収をおだやかにするという理由から、アメリカでは’70年代にダイ工ットに役立つ食品として紹介され、サプリメントとしての地位を確立しました。また、肝臓の機能向上に効果的であるということがわかっています。あの濃い緑色のスピルリナには青い色素のフィコシアニンが含まれ、この成分はたんばく質の消化吸収を促し、肝臓のはたらきを助ける役割と脂肪を分解するはたらきがあるのです。豊富に含まれるガンマリノレン酸は飲酒などで疲れた肝臓を健康にする役割があります。高たんばく、高ミネラル、高ビタミン食品が肝臓の病気にはとくに必要だといわれていますが、そういったことからも、スピルリナは理想的というわけです。アメリカ航空宇宙局(NASA)でも、スピルリナの研究がとても進んでいて、驚異的な生命力と光合成によって酸素をたくさんつくりだす点が注目されて、ほかの惑星での栽培計画もあるそうです。
寺下
まさに栄養の宝庫といったスピルリナですが、最近、環焼ホルモン(ダイオキシン)を排出する食品として注目されていると聞きましたが。
黄堂
はい。ダイオキシンはみなさんご存知のように、工業用品などの製造過程で産み出される有害化学物質で、そのほとんどが食べ物を通じてわたしたちの体内に蓄積されていきます。長期間蓄積されると発ガン物質になるといわれる怖いものです。また、免疫力を弱め、ぜんそくやアトビーの原因になるともいわれています。この環境ホルモン(ダイオキシン)を体外に排出するのに注目されているのがスピルリナに含まれる緑色の色素クロロフィル(葉緑素)です。ラットを使った福岡県環境保健研究所の実験では、餌に混ぜてスピルリナを与えられたグループが、スピルリナを摂取していないグループよりも、約4倍も多く体外ヘダイオキシンを排出しているという結果がでました。この結果は、食品の中でも最も多くのダイオキシンの排出を促進するとのことです。太古の昔から、過酷な自然条件の中で生きつづけてきたという事実が、スピルリナのもつ、有害物質からの驚異的な防御機能を証明しているのではないでしょうか。
寺下
その恩恵をわたしたちが、受けられるのはとてもすばらしいことですね。
黄堂
そうですね。先人の知恵というわけではないですが、わたしたちの祖先よりもずっと昔からこの地球上に存在したスピルリナから私たちがもらう身体の健康ははかりしれないものだと思います。まずは、スピルリナで健康の土台をつくることが大切だと思います。