一生懸命足るを知る⑩ ノー・ハッピーマンデイ

 

2003.5~2004.4

一生懸命足るを知る⑩  ノー・ハッピーマンデイ

ばんぶう

2004.2

日本医療企画


今まで、何度か書いてきたが「ゆとり教育」や「働きすぎる日本人」という前近代的な言葉を信じているシーラカンスのような日本人かまだ結構いることに再度警鐘を鳴らしたい。「まじめな日本人」「安全な日本」を信じる人々にも同様である。
 今や日本の休日は、土曜、日曜、祭日を合計すると3分の1は休みという勘定になる。昭和28年の生まれの私が働きだして10年間ぐらいは土曜も働くのが通常であった。そんな時はむしろ日曜も仕事をするサラリーマンか多かった。そして間もなく、大企業のなかに土曜を休みにするところが出現し、気がついたら、ハッピーマンデイという代物まで生まれてしまったのである。
 日曜しか休みがなかった時は、日曜に働く人がいたのに、週休2日制になり、「休日に働くというのは馬鹿のすること」のような風潮になったのは誠に面白い現象である。とどまるところを知らなかった勤勉日本人が戦後の日本の経済復興を支え、足るを知らない欲望日本人がバブル日本を形成し、足るを知らない快楽日本人かデカダンス日本を創出しようとしている。はなはだ過激な意見にも聞こえようが、エイズ、麻薬、凶悪犯罪などを見ただけでも、日本はもはや昭和の日本と別物になろうとしていることは容易にわかる。
 こういった流れを食い止めることはそう簡単ではない。「働きすぎ」「勉強しすぎ」という幻覚の最後の象徴であるハッピーマンデイの即時廃止を私は提言している。月曜始まりの習慣を持つ日本人にとって引き締まる月曜日が存在しない週は勤労勤勉意欲を著しく低下させ、不要な交通渋滞を惹起し、学校のカリキュラムの混乱をきたしただけで、きわめて意義の少ない制度であると私は思っている。こんな提言は小さなことではあるが、選挙の公約として利用され、いつの間にか生まれた不合理なこの制度を悔い改めることが、これ以上の凋落日本を食い止める一つの自戒にならないだろうか。我がスタッフの皆様ごめんなさいね。

    

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