アレルギー

Dr.寺下の“スペシャルトーク”

アレルギー

…ゲスト…小幡徹先生

自然派健康倶楽部

2005年春号

「自然派健康倶楽部」編集室


 …ゲスト…
小幡徹先生

東京慈恵会医科大学助教授

1949年東京都生まれ。1972年東京教育大学理学部卒。植物生理化学専攻。筑波大学生物科学系準研究員、東京慈恵会医科大学付属研究部助手、アメリカ合衆国国立衛生研究所国立ガン研究所分子生物学部門(リサーチフェロー)、東京慈懸会医科大学医科学研究所生化学研究部講師、同大DNA医学研究所分子細胞生物学研究部門講師を経て現職。日本アレルギー学会会員、日本医用マススペクトル学会会員、日本生化学会会員。日本内分泌学会会員、日本補完代替医療学会会員、Society for Leucocyte Biology会員。アメリカの生化学関係の医学誌に総説2編を発表。


バラ花びらエキスにはアレルギーの症状を抑える効果があります。

今や国民病ともいわれるほど多くの人が苦しみ、また、さまざまな種類があるアレルギー。アレルギーが起きる仕組みと症状を緩和する方法について、アレルギー研究の第一人者である小幡先生と寺下先生にお話いただきました。

アレルギーが起きるおおもとの原因はまだ解明されていない
寺下
まずはアレルギーが発生する仕組みからご説明いただけますか。
小幡
「望まない形で現れる身体の防御反応」というのが一番わかりやすい説明かと思います。
人間には、外から入ってくる異物(細菌やウイルス)から身を守るため、異物を異物として認識して無毒化したり、外に追い出す仕組みがあります。それを「抗原抗体反応(免疫反応)」といいます。これは人体にとって大切な機能ですが、過剰に反応してしまうと、耐え難いかゆみ、涙、鼻水などの症状が出ます。それがアレルギーと呼ばれるものです。最近ですと、花粉、家の建材が出すガス、食べ物、金属などさまざまな要因のアレルギーが起きています。これらは昔では考えられなかったアレルギーです。
寺下
そうしたアレルギーが起きる理由、増えている理由はわかっているんですか?
小幡
体内でどのような反応があってアレルギーが起きるのかという、メカニズム自体はくわしくわかってきています。しかし、どうして過剰に反応してしまうのかというおおもとの原因は、まだはっきりとはわかっていないんです。電磁波や食品添加物など、アレルギー増加の原因ではないかと考えられる要素は多岐にわたり、仮説もさまざまです。
寺下
先生はアレルギーと活性酸素の関係にも注目されているそうですね。
小幡
活性酸素は、アレルギーと関係が深いようです。活性酸素というのは、普通の酸素がほかの物質と結びつきやすい状態になったもので、免疫反応で異物を無毒化するなど、適量であれば身体にプラスに作用します。しかし、多すぎると、ほかの細胞を変質させたり破壊したり、老化を早める原因となります。そして、過剰な活性酸素は身体全体にダメージを与え、アレルギーを起こしやすくします。
現代は過剰に発生する活性酸素への対応が必要だと思います。
ピクノジェノールの抗酸化力とバラ花びらエキスのアレルギー症状の緩和
寺下
先生はアレルギーに対してサプリメントを使った検証実験もされているとか。
小幡
はい。まず、穀物発酵抽出エキス・バラ花びらエキス・ピクノジェノールを含んだサプリメントの摂食実験では、ヒトの体内の酸化レベルを下げ、結果的にアレルギー症状を緩和する可能性のあることがわかりました。
体内で生成される酸化化合物の量を測定したところ、このサプリメントを利用したグループでは、酸化化合物の量が少なくなったという結果が出ています。
現在は、ピクノジェノールがどの細胞にはたらきかけて酸化レベルを下げるのかなど、細胞レベルでの検証が待たれています。
寺下
これとは別に、バラの花びらの抽出物のサプリメントでの実験結果を教えて下さい。
小幡
はい。これは、ヒトの体内の「マスト細胞(炎症物質を蓄えた細胞)」に、抗原に反応した抗体を作用させると、ヒスタミンなどのアレルギーの諸症状を引き起こす炎症物質が放出されるというメカニズムを使って調べてみました。このとき、バラ花びらエキスを使うと、炎症物質の放出.が抑えられることを、新たに明らかにしました。
寺下
ただ、アレルギーは症状を緩和することはできても、何が原因で近年急激に増加しているかはまだわかっていないんですね。
小幡
細かなプロセスを調べていくうちに、どうしてアレルギーが起きてしまうのかというおおもとの原因に結びつくと考えています。
寺下
アレルギー急増に直接関わっているのは何か、解明が待たれるところですね。
小幡
はい。現状では、重症ならば医者の処方する薬を使って治すのが第一だと思いますが、軽症の場合にすぐ抗アレルギー剤を飲むということは私はあまりおすすめしません。アレルギーを予防するには、やはり体質を変えるのが一番だと思います。
理想的なことをいえば薬でなく、正しい食生活で健康的な身体になることです。しかし、それだけでは足りないところをサプリメントみたいなもので補ってやり、アレルギーになりにくい身体を作ってあげる必要があります。
寺下
足りないところをサプリメントで補うという考え方ですね。
    

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