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グローバルより顔なじみ⑫ 安心の顔馴染み 顔馴染みの落とし穴
2004.5~2005.4 グローバルより顔なじみ⑫ |
ばんぶう 2005.4 日本医療企画 |
顔の見えないクローバルより、顔馴染みを大切にすることがIT時代の今こそ大切という意味を込めて、一年間書いてきた。私は医療判断医という独自の仕事をする心療内科医であると自称している。患者さんのさまざまな悩みに接し、不安を軽減するお手伝いをしている。病気の不安、誤診の不安、もっと良い治療があるのではという不安、人間関係の不安など、世の中なんと不安だらけなんだろうと痛感する。ある種の神経症の根源に「安全確保行動」ということがある。人間(他の動物もそうであろうが)は「快を求め、不快を避ける」ことを本能として所持している。不快の代表格が不安なのである。快の本能にはたくさんある。食欲、性欲などはその価表格であろう。そして、忘れがちではあるが、決して忘れてはならない、そして人間特有の快の本能に「知識欲」があると私は主張している。いわゆる「知りたがり」というやつである。科学などの学問からゴシップまでこれまた守備範囲は広い。インターネット中毒はまさにそうである。それが行き着くところの知らない「グローバル地獄」となる可能性があると、私は警鐘を鳴らしたくこの1年のタイトルとした。
顔馴染みのいいところは「安心」なところである。医師は顔馴染みの患者を金儲けのために薬漬けにしたり、出世のためにモルモット扱いにはしない。しかし、最近の凶悪犯罪で、身近な人のインタビューで「あの人に限ってそんなことをするとは…」というようなことを聞くことは多いし、親友に裏切られて傷ついたという患者さんは私の外来では後を絶たない。顔馴染みにも落とし穴があるのか、はたまたそれは偽の顔馴染みであったのであろうか? 再び、昔映画で聞いたセリフ「自然は苛酷だが、人間はもっと残酷だ」を思い起こすが、「愛する人のために尽くすことは人間の最上の喜び」であることは永遠の事実であることを皆さんに報告してペンを置きたい。
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