性善説ルネサンス⑥ 良心は幸福になるための必需品 自己のためにも利他主義であれ

 

2006.4~2006.11

性善説ルネサンス⑥
良心は幸福になるための必需品
自己のためにも利他主義であれ

ばんぶう

2006.9

日本医療企画


私は、医療活動の基本理念を「安心と幸福の医学」としている。そもそも医学の大きな目的のひとつは「医療に還元され役立つこと」である。それでは医療の目的は何か。「病気を癒すことによって人々に健康と安心を与え、幸せな生活を送ってもらうためのインフラ的役割を担うことである」と私は考えている。「健康であることが人生の目的」という人は、まずいないだろうから、良い医療が人生の目的になってしまってはいけない。また、一般にインフラは「便利」で「安心」であることが要求されるが、それらは幸せな生活に役立つように設計されている。こうした意味で、私は医療の仕組みを考える時に「果たしてそれは人間にとって幸せなことか?」といつも自問自答するようにしている。

残念なことに、今も世界中のいたるところで、人間同士が傷つけあっている。戦争に限定しなければ、もちろん日本も例外ではない。人間は自分の幸福を大切にする生き物であるはずだが、他人の幸福は目障りなのだろうか?

長年の主侍医活動や心理精神医療活動の経験から「しっかりとした良心や使命感を持たなければ本当の幸せは訪れない」と私は確信するようになった。「良心」とは、「愛情に基づいた義務感や責任感」、「使命感」とは、「自分の能力を利他のために捧げようとする義務感や責任感」と、私は定義している。

の中には人を欺いたり、陥れたりすることにより利益を得て、一見幸せになっているような人がいる。そこまで極端ではなくても、利他の心を忘れて自己利益・自己保身に走り、富や名声を得ている人も多い。しかし、その幸福そうな笑顔の奥底には空虚さが潜んでいる。もちろん彼らもそれには気づいており、だからこそ必死に富を守って、ゴージャスな生活でその空虚さを覆い隠そうとするのだろう。

先ほどの私の定義に従って行動しようとすれば、他者の幸せを願わない限り、自分にも幸せが訪れない---つまり、自己利益のためにも利他主義にならざるを得ないのである。実に分かりやすい話だと思うが、いかがであろうか?

    

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