セカンドオピニオンはどうとる?

暮らしと健康

  

主治医以外の医師に意見を求める

セカンドオピニオンはどうとる?

暮らしと健康

 2010年 3月号

保健同人社


寺下謙三先生に聞く

セカンドオピニオンをとる前に

治療法の選択や決断を迫られた患者さんの医療決断支援を専門に活動しているのが、寺下医学事務所(東京都)の寺下謙三代表。セカンドオピニオンをとる前に必要な心構えについて聞きました。

 

もっと知ってほしいセカンドオピニオンのこと
 相談するだけなのにお金を払うなんて、と思う人もいるかもしれませんが、日本の保険診療制度では、セカンドオピニオンは保険適応外なので、自由診療にせざるを得ないのが現状です。この五年~十年間に、多くの病院で開設されたセカンドオピニオン外来も、自由診療で対応しています(24ページ参照)。
医学の進歩により治療の選択肢が増え、医療の専門化が進むなか、患者さんのセカンドオピニオンに対するニーズは高まる一方です。それなのに、いまだに、医療保険制度での位置づけがはっきりしていないのです。今まで、こういった背景は、あまり理解されてきませんでしたが、これを機にぜひ知ってほしいと思います。

セカンドオピニオンをとる以上は心構えも大切です。
 私のところでは、がんの患者さんの相談を受けることも多いのですが、セカンドオピニオンを求める理由には三種類あると思います。一つは、標準治療(21ページ参照)がいくつもあって、それぞれの治療法の専門家の意見を聞いて、比較してから選びたい場合。もう一つは、説明不足だったり、横柄な態度だったり、医療者側に問題がある場合。そして最後は、どんになによい先生と出会ってもドクターショッピングを繰り返すような、患者さん側に問題がある場合。このなかで、セカンドオピニオンをとる理由として、一番順当だと思うのは、複数の治療法がある場合です。けれども、複数の治療法があるということは、どれかを選び、ほかは捨てるということです。このことを踏まえておかないと、いくらセカンドオピニオンをとっても、さらに迷ってしまうことになります。セカンドオピニオンを聞く前に、ある一定の方針をきめておかなければなりません。
僕の医療判断学のテーマでもあるのですが、つまり、あらかじめ選択基準の優先順位を決めておくという心構えが必要なのです。

主治医には堂々と申し出よう
主治医にセカンドオピニオンを申し出るなら、診断と治療方針を聞いた後がよいと思います。そのときに「他の治療法はありますか」と聞ければもっとよいと思います。あるいは、セカンドオピニオンの医療機関を紹介してくれる医師・患者関係だと一番よいですね。
私どもの医療決断支援相談窓口には、自分から「この先生にセカンドオピニオンをとりたいから紹介状を書いてください」と言ってくる患者さんもいらっしゃいます。

普段からのかかりつけ医に相談、が理想
セカンドオピニオンを得るには、どこの病院に行くのがよいのか、迷うところです。
担当の主治医に言いづらくても、何でも相談できる「かかりつけ医」がいれば、管制塔役として、サポートしてもらうことができます。その医師が勉強熱心で知識も豊富なら、自分でインターネット等で調べるより信頼できます。適任の専門医に紹介状を書いてもらうこともできるでしょう。

紹介状(診療情報提供書)はできるだけ用意してください。
セカンドオピニオンを求めて来る患者さんというのは、個人差はありますが、心理状態としては不安定な場合が多いので、話をしていても、なかなか本題に入れないことが少なくありません。そのような印象をもっている医師は多いと思います。その点、主治医からの紹介状(診療情報提供書)があると、医師は安心します。また、セカンドオピニオン外来は通常、所要時間を決めていますから、患者さんの方もあらかじめ質問したいことをまとめておくとスムーズに話が進むと思います。

標準治療を知っておくこと
「標準治療」とは、現時点で最も効果が高いと実証された、科学的根拠に基づいた治療法のことです。「標準」という言葉から「並」のランクをイメージする人がいますが、そうではありません。
セカンドオピニオンをとるときには、なんとなく「よい治療法を教えて下さい」というのではなく、標準治療を患者さんが知っていると医師も説明しやすいのです。ですから、すくなくとも、自分の病状をきちんと伝えられることと併せて、標準治療のアウトラインは頭に入れておきましょう。患者さんが勉強していれば、医師もそれ相応のレベルで答えてくれるはずです。なお、ときどき、標準治療と最先端治療を混同している患者さんがいますが、最先端治療というのは、まだ経験症例が少なく、実験的側面がある治療法です。

ファーストオピニオンで納得できればそれが一番
セカンドオピニオンは、必ずしもとらなければいけないものではありません。納得いくファーストオピニオンが得られれば、それが一番よいことです。がん治療の選択は、命にかかわることだけに、医師と患者さんとの信頼関係が非常に大切です。この先生なら信頼できる、もし悪い結果になったとしても後悔しない、と思える医師と巡り会えたら最高ではないでしょうか。そんな信頼できる先生から、そっと背中を押してもらうことで、重大な選択を納得して決断できることも多いものです。
それが、安心と納得の最高の形になるのでしょう。私のモットー「命より心」の真髄だと思っています。

    

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