NKH健康ライフ講座

目次

偏頭痛

カルテ1

神経内科・脳神経外科

偏頭痛

NKH「健康ライフ講座」

2001.5

日本機械保線株式会社 社内報


原因

頭痛は日常的に感じる症状のなかでも代表的なものです。

原因は千差万別で、くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎など緊急な治療を要する致命的な病気もあります。でも、たいていは「慢性頭痛」といって、頭の中に器質的変化(形態的な変化があること)を伴わず何らかの原因で頭痛が慢性的に生じるものです。その代表が、偏頭痛と緊張型頭痛です。

春~初夏は、偏頭痛の誘因の1つである日光に当たる機会が増えるので注意しましょう。血管の収縮や拡張により生じますが、その原因は不明です。痛みの程度はかなり強いので適切な治療が快適な生活を蘇らせます。

緊張型頭痛は肩こりを伴ういわゆる疲労型の頭痛で、偏頭痛よりもさらに高輝度にみられます。

症状

発作的で、数時間から2~3日持続し、通常は頭の片側に集中するズキンズキンという拍動性の頭痛です。吐き気や嘔吐、眼がまぶしく感じたりする症状を伴うことが多いようです。

前兆として、眼がチカチカしたり視野が一部欠損したり、麻痺が起こったり、時には意識をなくしたりするような、いわゆる脳神経症状が一過性に生じることもあります。

対策

医師による治療として、旧来から工ルゴタミンという薬が発作の特効築として使われてきました。最近では、日本でも認可されたトリフタン系の薬剤が発作の治療薬としてとても有効で、現在は注射薬ですがまもなく経口の薬としても使えるようになる予定です。また、予防薬としてカルシウム拮抗薬等が効果的ですので、何はともあれ専門医に相談するのがよいでしょう。

偏頭痛発作の誘引として、チョコレートやチーズ、高脂肪食やたまねぎ、オレンジ、赤ワインなどのとり過ぎ、強い光刺激などがありますので、それらに注意する必要があります。発作が起こったときは、暗い静かなところで休むのが症状を和らげるコツです。 

熱射病

カルテ2

内科 ・救急診療部

熱射病

NKH「健康ライフ講座」

2001.7

日本機械保線株式会社 社内報


暑いい夏を迎えました。こんな厚い時でも皆さんは、炎天下や熱帯夜に働くことがあると思います。そこで気をつけたいのが「日射病」です。
俗に「日射病」と呼ばれるものは、比較的軽度な「熱疲労」と、ときには致命的な「熱射病」「熱けいれん」などに分類されます。
今回は、主に「熱射病」について説明しますので、勉強して予防しましょう。

原因

高温の外気に長時間さらされると、効率的に汗をかいて放熱する機能が追いつかず、体温調節機構が破綻します。その結果、40度を超える体温の上昇となる状態をいいます。非常に致命的な病態といえます。

症状

自覚できる初期症状に頭痛、めまい、倦怠感などがあります。汗の量はむしろ減少し、脈拍は増加します。血圧は低下し、筋肉のけいれんを起こしやすく、意識障害が生じます。体温は急速に40度から41度くらいに上昇します。
状況からほとんどの場合、診断は容易です。

治療と対策

すみやかな診断と治療が生命予後(生きるか死ぬか)を大きく左右します。身体の冷却と輸液による電解質の管理が重要です。水やアルコールで濡らした布で体をくるんだり、扇風機や氷により冷却します。数分ごとに体温を測り、体温が急激に38度以下に降下しないよう注意します。けいれんに対しては、安定剤の注射などを行います。治療が遅れ、長時間、脳障害や腎障害が続くと、永続的な障害が残ることになります。

対策としては、高温多湿のところでの激しい運動を避けることにつきます。そういった状況では帽子や日傘、スポーツドリンクなど継続的摂取等の対策を十分行い、疲労、脱力、びっしょりの汗といった「熱疲労」の段階で十分な休息と塩分、水分摂取を心掛け、急に汗の量が減ったり、体温上昇、意識の低下が見られたら、すぐに病院に連絡を取れるようにすることが大切です。

夏ばて

カルテ3

内科

夏ばて

NKH「健康ライフ講座」

2001.9

日本機械保線株式会社 社内報


今年は残暑もきつく、「夏ばて」で体の調子を狂わせている人も多いことでしょう。夏の疲れを取り去り、気持ちよい秋を迎えるため、今回は「夏ばて」についてお話しします。

原因

暑さにより、体内の水分調整が狂うことが主な原因です。汗をかくことで体外に放出される水分や電解質の量が、吸収される水分や電解質の量を超えてしまうのです。

また、暑いと消化機能が低下し、本来必要とする栄養素が不足します。そうなるとますます食欲がなくなる、といった悪循環が生じます。蒸し暑さによる睡眠不足も追い打ちをかけます。

症状

そもそも「夏ばて」は厳密には医学用語ではなく、夏期に食欲がなくなり、身体がだるく、何もする気がおこらないといった状態を指す言葉として一般化しているもの。血液検査や尿検査をやっても正常範囲で、いわゆる「病気」という範囲に入らないものを指すことが多いです。

対策

原因から考えてもわかるように、こまめな水分補給が必要です。この「こまめ」というところが大切です。

冷たい飲み物ばかり一気に摂取すると、吸収されずに、胃ばかりが膨満して胃酸も薄まり、食欲をさらに低下させてしまいます。夏場は、少しずつ水分補給を行うことが正解なのです。あまり冷やさずに、体温に近い温度のもののほうが吸収しやすいので、喉の乾きをいやすための冷たい飲み物と、水分補給用の生ぬるい水分を区別して摂取するのも1つの方法ではないでしょうか。

不足しがちなビタミンを補給するベく夏野菜や果物をしっかり食べることが、夏ばて防止の第2の戦略となります。

消化機能を整えるオクラ、利尿作用を持つきゅうりやスイカ、免疫力を高めるビタミンAの豊富なピーマンやかぼちゃ、胃液の分泌を促進するトマトなどは夏ばて防止の力を兼ね備えています。

また、消化機能を向上させるために香辛料も上手に使いましょう。香辛料は胃液の分泌を活発にして食欲を増進させます。

第3の戦略としては、良質な睡眠をとるように工夫することです。クーラーをつけっぱなしで眠らない、アルコールを飲みすぎない、起床時間を-定にするなど、睡眠の基本を守りましょう。

こうして考えてみると、健康の3種の神器「快食」「快眠」「快便」にことさら留意することこそ、夏ばて対策の秘策だったわけです。

脳卒中

NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報

脳卒中

2001/11

 


脳の中の血管が詰まったり出血を起こすことにより、脳への血液の供給が急激に途絶え、脳の一部の機能が障害される病態を総称して脳卒中と呼びます。脳卒中の主なものには脳梗塞と脳出血とくも膜下出血があります。

(原因)

脳梗塞と脳出血は脳の血管が動脈硬化をおこし、内腔が狭くなったり閉塞したり、また血管の壁が脆くなり出血を起こし結果的に正常な血液の流れが阻止されることにより起こります。主な原因としては血液中の脂肪成分(コレステロールや中性脂肪など)が多くなり、それらが血管内部に蓄積することや、高血圧により長年血管に負担がかかり血管が脆くなることなどが考えられています。くも膜下出血は、遺伝的に動脈瘤や動静脈奇形という状態を持っている人に高血圧などが誘因となり血管が破裂することにより起こります。

(症状)

脳のどの部位に障害が起きるかにより異なった神経症状が見られます。主なものに、身体の片側の麻痺や感覚障害、言語障害、意識障害などがあります。くも膜下出血の場合は、激しい頭痛と意識障害を起こします。一般的にくも膜下出血のほうが重症で、発病初期の致命率が高いようです。

(治療)

いずれも発病初期の治療が大切です。脳卒中と判明したら脳外科医の待機する病院へのすみやかな移送が明暗を分けます。脳梗塞なら詰まった血栓の融解治療が、脳出血なら血液の固まりの除去や止血作業が、くも膜下出血なら出血している動脈のクリッピングという止血作業がそれぞれ一刻を争う治療法となります。

(予防対策)

動脈硬化を促進するような生活習慣(危険因子)を改めるという一言に尽きます。この危険因子の代表的なものは、肥満、喫煙、ストレス、高血圧、高脂血症、糖尿病などです。前半の3つは自分でコントロールするものです。後半の3つはもし存在すれば医師から指導を受けて日頃からコントロールしておくことが肝要です。何事につけても、規則但しいい生活が基本で、バラエティーのある食事、禁煙、節酒、脂肪や塩分、糖分を控えた食事、毎日の軽い運動、ストレスの少ない楽しい生活の工夫などが脳卒中の可能性を低めます。

インフルエンザ

カルテ5

内科

インフルエンザ

NKH「健康ライフ講座」

2002.1

日本機械保線株式会社 社内報


鼻やのど(専門的には上気道と呼びます)の粘膜に炎症を起こす感染性の病気を総称して「かぜ症候群」、「感冒」と呼びます。

原因としては、数十種類のウイルスがあるとされており、その代表的なもので、比較的強い症状を引き起こす「インフル工ンザウイルス」により発症する病気のことを、一般の「感冒」と区別して「インフル工ンザ」と呼びます。

原因

「インフル工ンザウイルス」は大きく分けてA型、B型、C型の3種類がありますが、集団発生や劇症型の新型などは、ほとんどA型です。ここ数年、日本でも集団発生が多く見られるようになったことと、劇症型の新型ウイルスの登場で、とみに社会的な問題と考えられるようになってきました。

症状

主な症状は発熱、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などです。比較的急に症状が現れ、たいていの場合は1週間程度で軽快します。とはいえ、小児や高齢者や体力の弱った人が「インフル工ンザ」にかかると、肺炎や脳炎などに発展することもあります。そうなると激しい咳や痰、頭痛のほか、全身衰弱、意識障害などが見られます。

治療

一般的に、ウイルスに効果的な薬はほとんどなく、「感冒」にしろ「インフル工ンザ」にしろ対症療法が中心でした。

しかし、最近の医学の進歩により、「アマンタジン」というバーキンソン病の薬が「インフル工ンザ」にも効果があるということで、1998年、日本でも認可になりました(「アマンタジン」はA型のみに効果的なことと、副作用などで、まだ日本では一般的な治療法ではありません)。

また、2000年より「リレンザ」というA型にもB型にも効く択ウイルス剤が日本でも承認されています。

予防

予防法としてワクチン接種がありますが、1994年以来任意摂取となり、摂取率は5%程度です。しかし、1998年度のインフル工ンザの集団発生などの教訓からか、1999年度の冬は350万人分のワクチンが早くから底をつくという現象が見られました。

一般的な予防法としての、「栄養、睡眠に気遣い、うがいや手洗いを励行する」ということは、地味ではありますが、基本的でかつ効果的な予防法でしょう

自律神経失調症

カルテ6

心療内科

自律神経失調症

NKH「健康ライフ講座」

2002.5

日本機械保線株式会社 社内報


「自律神経失調症」という言葉は、-般の方にとっても馴染み深い名前でしょう。医師から告げられる診断名として比較的多いのですが、つかみ所がない病名でもあります。

脳からの命令が全身に通じる神経には大きく分けて2種類あり、自分の意志が支配する「随意神経」系と脳が自動的に支配する「自律神経」系とがあります。

そして、この「自律神経」には、一般に活動を促進する「交感神経」系と抑制する「副交感神経」系があり、普通、両者が上手くバランスをとり生命活動を支えています。

何らかの原因で、この「交感神経」と「副交感神経」のバランスが悪くなった状態を「自律神経失調症」と呼びます。

原因

過度なストレスや生活習慣の不摂生、更年期障害などによるホルモンの乱れ、神経症やうつ病の初期症状としてなど、原因は多彩です。

体質的に「自律神経」が不安定な人もいます。

症状

「自律神経」は多くの臓器をコントロールしていますから、多くの症状がみられます。

代表的なものとして、動悸、めまい、のぽせ、冷や汗、頭痛、頭重感、不眠、食欲不振、肩こりなど。多彩なので、総称して「不定愁訴」とも呼ばれます。

診断

診断は困難なことが多く、「除外診断」といって、それぞれの症状を起こしうる他の病気を1つひとつ否定することが先決になります。

「自律神経失調症」の原因となる基礎的疾患があれば、そちらの治療を優先します。他の疾患がなければ、総合的な診断として本症を疑います。

対策

心身の休養が大切ですが、専門家によるカウンセリングや自律訓練法の指導を受けると良いでしょう。場合により精神安定剤、睡眠導入剤、自律神経調節剤などの薬物を併用することがあります。

対策としては、日頃からストレスをためずに発散するよう心掛け、生活のリズムを整えておくことにつきます。特に、睡眠不足にならないよう注意しましょう。気になる症状があれば、早めに「心療内料」などの専門医にかかりましょう。相談し安心することは、予防や早期治療の意味でも大切です。

食中毒

カルテ7

内 科

食中毒

NKH「健康ライフ講座」

2002.7

日本機械保線株式会社 社内報


人に有害な細菌やウイルス、その他の有毒物がついた飲食物を摂取した結果起こる急性の胃腸障害のことを、食中毒と言います。

原因としては細菌性のものが多く、夏場に集中する傾向があります。

原因

原因となる細菌には菌そのものが障害を与える感染型としてサルモネラ菌、腸炎ピブリオ菌、病原大腸菌、菌の産生した毒素が障害を与える毒素型としてはブドウ球菌、ポツリヌス菌などが代表的です。

近年、病原性大腸菌の1つである腸管出血性大腸菌(O-157)が原因の食中毒が多発しマスコミなどを通じ、一般人もその恐ろしさに怯え、社会問題となっています。

O-157による食中毒は、産生されるベロ毒素により尿毒症をきたし、致死率が高いのです。また、冬場の集団食中毒として小型球形ウイルスが注目を集めています。急激な嘔吐と下痢が主症状で重症感が強いですが、数日以内に自然治癒する予後の良い感染性胃腸炎です。

症状

比較的急激な嘔吐、腹痛、下痢がみられます。感染源の菌の種類により発熱、血便がみられることがあります。

診断

特徴的な症状と因果関係が推定される食物、また集団発生など複数の患者が同時に発生することなどから診断されます。

治療と対策

万一、食中毒になったら、すみやかに内科の専門医がいる病院を受診してください。

治療では下痢や嘔吐による脱水の治療のための輸液療法が優先されます。原因となる菌が判明すれば、それに対する抗生物質などを投与します。O-157などの特殊な強い菌の場合は、特別な治療を要します。

対策としては何よりも、原因となる細菌やウイルスを体内に侵入させないことです。生ものは鮮度に注意し、日頃からのまめな手洗いを実行することも食中毒になる確率を大きく低下させます。

食中毒の集団発生などの情報に注意を払い、疑わしい時は生ものをよく加熱調理しましょう。ただ、毒素型の場合は、加熱をしても効果がない場合があります。

いずれにしろ、菌に対する抵抗力をつけることが重要ですので、日頃から快食、快眠、快便を保ち体力を温存しておくことです。

水虫

カルテ8

皮膚科

水虫

NKH「健康ライフ講座」

2002.10

日本機械保線株式会社 社内報


原因

水虫は医学的には足白癬(はくせん)といい、白癬菌という真菌(カビ)が原因です。

湿気、通気性の悪さ、免疫力の低下、不潔などカビにとって都合の良い条件がそろうと簡単に生えてしまううえ、いったんかかると治りにくく、途中で治療をやめてしまうとまた再発してしまうという厄介な皮膚の病気です。

症状

足裏、足の指の問にできることが多く、じゅくじゅくと白くふやける、小さな水ぶくれができた後カサカサの薄皮がむける、足裏の皮膚が厚くなるなどのタイプがあります。

かゆみは必ずしもあるとは限りません。爪の水虫では爪が黄色に濁り厚くなります。

診断

見た目だけではなかなか診断は難しく、医師が診断する時も視診だけではなく、皮膚の一部を顕微鏡で確認してから確定診断となります。

本人は水虫と思っていても実は違うというケースが全体の約1/3をしめます。

水虫と間違えやすい病気としては、ブドウ球菌感染症、接触性皮膚炎、ショウセキ膿ほう症などがあるので、必ず一度皮膚科で診断を受けるようにしましょう。診断の際、すでに何か薬がついているとカピが確認できませんので、患部をよく洗ってから受診してください。

治療と対策

水虫の感染を防ぐために

  1. 足を洗う習慣
  2. 足を洗ったあとはよく乾燥
  3. 清潔な靴下、履いたあともよく乾燥させた靴

などが大切です。

最初に述べたような条件がそろわなければカビは簡単にはうつりませんので、家族に水虫の患者さんがいてもあまり神経質になる必要はありません。家庭内で一番うつりやすいのはパスマットとトイレのスリッパ。それだけは別にしておきましょう。

現在水虫治療のために使われているぬり薬は、2~3週間でカビを全滅させるだけの強さがあります。但し実際には、もともとカビが非常に育ちやすく、また常に清潔と乾燥を保つのが難しし部位であるため、3ヶ月~1年の治療期間必要です。

冬場のように低温で乾燥している状態のときにはかゆみもなくなり、よくなったように感じますが、水泡や皮むけが無くなったとしても、菌が皮膚の中に残っていることがありますので、ここで薬をやめてしまうと翌夏にまた再発します。継続的な根気強い治療必要なのです。なお、爪の水虫は特殊で、治療には内服薬が必要になります。

花粉症

カルテ9

内科・耳鼻科・眼科

花粉症

NKH「健康ライフ講座」

2003.1

日本機械保線株式会社 社内報


症状がひどいと日常生活に大きな支障をきたし、現代病としても注目されている「花粉症」。最近は日常生活で花粉を回避する習慣を身につけたり、薬剤を上手に使うことでコントロールが可能になりつつあります。

原因

花粉症はアレルギー反応によって起こります。原因植物は大きく樹木と草花に分けられます。樹木としては、日本での原因のほとんどを占めるスギを始め、ヒノキ、ハンノキ、ブナ、マツ、イチョウなど、草花はカモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、オオアワガ工リ、カナムグラなどが挙げられます。地域によって原因植物は異なり、花粉の飛散時期も異なります。1種類の花粉にだけ反応する人はむしろ少なく、スギ花粉症患者の60%の人がヒノキの花粉にもアレルギーを示したとの報告もあります。発症には、アレルギー体質(遺伝)、大気汚染、ストレスや過労が関係します。

症状

主に鼻症状と眼症状が中心です。

鼻は発作的なくしゃみや水っぽい鼻汁、鼻閉(鼻づまり)など、眼はかゆみや充血、まぶたの腫れといった症状が挙げられます。このような症状が特定の季節に繰り返し起こります。

診断

花粉症を疑った場合、内科か耳鼻科、もしくは眼科で診断を受けましょう。診断は、鼻や眼の症状のアレルギー性と原因花粉をつきとめることの両方からなります。ポイントは症状、発症時期、分泌物の検査、皮膚反応検査、血液検査などです。

治療と対策

一般的な花粉症の治療としては、眼鏡やマスクなどを用いた花粉の回避、薬で症状を和らげる対症療法です。特に、抗アレルギー剤を花粉が飛散する時期に入る2週間くらい前から予防的に投与し、アレルギー症状を軽減させる方法が有効です。

飛散開始の予測がポイントになりますが、スギ花粉の飛散時期に関していえば、たいてい早い所でも2月の半ばから。2月の初旬から薬の投与を開始すれば間に合うようです。

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)

カルテ10

呼吸器内科・耳鼻咽喉科・一部の歯科

睡眠時無呼吸症候群

(SAS:Sleep Apnea Syndrome)

NKH「健康ライフ講座」

2003.4

日本機械保線株式会社 社内報


睡眠中に呼吸の止まった状態が断続的に繰り返される、重度の睡眠障害一つです。

一般にいびきをかく人は少なくないのですが、無呼吸発作を繰り返すようないびきは、様々な問題を生じ、時には命にもかかわります。

症状

「大きないびき」と「昼間の眠気」が主な症状です。

一晩の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上、または睡眠1時間あたりの無呼吸を5回以上認めると、「睡眠時無呼吸症候群」と診断されます。

無呼吸を繰り返すと、血液中と脳で酸素量が減少し、十分な睡眠が得られないため、昼間の眠気や集中力の低下、頭重感などの症状が出ます。

酸素不足は循環器機能にも負担をかけ、不整脈、高血圧、脳卒中などの原因になりますし、日中の眠気は交通事故や産業事故を引き起こす可能性があります。

同じ部屋で眠る人から、睡眠中の体動が激しい、大きないびきをかいている、息苦しいあえぎやうなり声などをあげているなど指摘された場合は要注意です。

診断

最近は睡眠障害の専門外来が増えています。「アプノモニター」という酸素濃度を測定できる装置を自宅に持ち帰り、夜間装着して無呼吸の回数や血液中酸素濃度の低下の有無などをコンピューター解析して診断します。重度の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、入院して脳波形、眼球運動、いびき音、心電図などを同時に測定する「ポリソムノグラフィー」という精密検査を行います。また、必要に応じて血液検査、心エコー、肺機能検査、耳鼻咽喉科的検査などを行います。

治療と対策

肥満、鼻中隔のゆがみ、ポリープ、扁桃腺肥大、蓄膿症などが原因となっていることが多く、特に肥満中年男性の場合は体重を減らすだけで問題は解決します。

上気道(鼻・副鼻腔、咽頭、喉頭、気管など)の閉塞が原因となっている場合、マウスピースの装着や、空気の圧力で気道を広げる「シーパップ」と呼ばれるプラスチックマスクの装着が有効です。重度の睡眠時無呼吸症候群では、喉を広げる手術などの外科的治療が必要となります。
睡眠時無呼吸症候群は、治療を行うことで生存率の改善はもちろん、活動的な日常生活を可能にし、不整脈、心肥大、高血圧などの疾患の改善も期待できますので、早めの対策が大切です。

サーズ(SARS)

カルテ11

内科

サーズ(SARS)

NKH「健康ライフ講座」

2003.7

日本機械保線株式会社 社内報


SARSウイルスによる重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome:SARS)の感染は「制圧状態に近づきつつある」(世界保健機関:WHO)ものの未だ治まらず、世界的な脅威となっています。
今回はSARSについて現時点でわかっていることをまとめてみました。


原因

原因となる病原体はWHOにより新型のコロナウイルスであると決定され、「SARSコロナウイルス」と名付けられました。コロナウイルスは顕微鏡で王冠のような光冠(コロナ)の形に見える一群のウイルスで、風邪の原因ウイルスとして知られています。

症状

主な症状は、38℃以上の発熱、咳、息切れ、呼吸困難などで、胸部レントゲン写真で肺炎または呼吸窮迫症候群の所見(スリガラスのような影)が見られます。ただし、これらの症状は通常の肺炎と区別がつきにくいので、SARS流行地域への渡航歴が重要になります。主要な感染経路として咳やくしやみを介する飛沫感染が想定されていますが、接触感染(分泌物、排出物などに含まれるウイルスが付着した手で、目、鼻、口等を触ることによる感染)など、その他の感染経路も否定されていません。潜伏期間は2~10日程度と言われています。

診断

新しい感染症であり、まだ完全にその全貌が明らかになったわけではありませんので、明確な定義はありません。現状では症状と渡航歴から疑い症例を判別し、確定診断のためには専門の医療機関で病原体検出や血清検査などの特殊検査が行われています。

治療と対策

SARS流行期間中の海外旅行については、地域内伝播が確認されている地域の把握など情報収集が大切になります。また、体調が良くないとSARSに対する抵抗力が低下しますので特に注意か必要です。
WHO西太平洋事務局などでも公衆の場でのマスクの着用は推奨しておらず、我が国においても国内での感染が確認されていない現在、SARSの感染予防としての健常者のマスクの着用は必要ないと考えられます。

● SARSに関しての問い合わせは保健所で受け付けています。

糖尿病

カルテ12

内科

糖尿病

NKH「健康ライフ講座」

2003.10

日本機械保線株式会社 社内報


総論

現在わが国では約600万人の糖尿病患者がいると考えられ、特に40歳以上の国民ではその10人に1人が糖尿病であるといわれています。糖尿病は自覚症状がないだけに、治療がされないまま放置されることが多く、悪化してからでは厳格な食事制限やインシュリン注射治療など、苦痛を伴う治療を余儀なくされます。“境界型”“糖尿病予備軍”と診断された段階で、病気の重要性を自覚することが大切です。

原因

糖尿病は血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態が持続する病気です。膵臓から分泌されるインシュリンという、食物中から吸収されたエネルギーを体内の細胞にとりこみ、血糖が一定値以上に上昇しないように作用するホルモンの働きが弱くなることが原因となります。これは細胞内には必要なエネルギーが取り込まれずに枯渇しているのに、血液中のブドウ糖濃度は高いままという状態で、高血糖が血管や神経を障害するため様々な合併症を起こします。糖尿病は遺伝的な体質に加え、暴飲暴食、ストレスなどの生活環境が引き金となって発症します。

症状

自覚症状がないのが特徴で、口の渇き、多飲、多尿、だるさ、体重減少、目のかすみ、手足先のしびれといった症状を認めたときにはかなり進んだ状態であると言えます。極度の高血糖を放置しておくと、意識を失って倒れてしまう昏睡状態におちいることもあります(糖尿病性昏睡)。

診断

尿検査だけで糖尿病と確定することはできず、必ず血液検査を行います。糖尿病の程度を知る検査としては、合併症として腎臓病を調べる尿中蛋白定量検査、網膜を調べる眼底検査、神経障害を調べる自律神経機能検査などが挙げられます。

治療と対策

糖尿病の治療は食事療法、運動療法と生活習慣の改善がまず基本となります。糖尿病は残念ながら治ることはなく、進行を止める事が目標となりますので、無理な食事制限と挫折を繰り返すよりも継続性を重視したプログラムが有効です。また、様々な合併症の予防のために、症状がなくとも定期的な診察、検査を受け、未然にコントロールすることが重要です。

慢性胃炎・胃もたれ

カルテ13

内科

慢性胃炎・胃もたれ

NKH「健康ライフ講座」

2004.1

日本機械保線株式会社 社内報


総論

慢性胃炎は、胃酸の分泌などに関与する胃の粘膜が薄くなって、本来の胃の機能が低下した状態を言います。通常、食べ物は胃液の分泌と胃の蠕動(ぜんどう)運動により2時間から3時間程度の間に消化されますが、ストレスなどによって胃の働きが悪くなると消化するのに時間がかかり、食べ物が長く胃にとどまることにより胃もたれやむかつきの原因となります。

原因

暴飲暴食、香辛料、カフェイン類の摂り過ぎ、喫煙、不規則な生活、ストレス、また鎮痛剤など、ある種の薬剤などが引き金となって起こりますが、胃・十二指腸潰瘍や胃癌などの病気に伴って起こることもあります。
胃粘膜の萎縮は、加齢や、胃の粘液の中に生息しているヘリコバクターピロリ菌が作りだすさまざまな物質によることもわかっています。

症状

胃酸の出すぎによる胃痛、胃の運動機能低下による胃もたれや嘔気、食欲不振などを認めます。その他胸焼けやげっぷ、症状が長く続くと不安感などを認めることもあります。

治療と対策

まずは食生活や生活習慣の見直しが大切です。暴飲暴食をつつしむだけではなく早食いや不規則な食事を避け、辛いものなどの刺激物、タバコやアルコールの摂取量に注意する必要があります。症状が持続する場合には、消化器内科を受診することをおすすめします。胃の造影検査でも胃粘膜の状態はある程度はわかりますが、一番確実なのは内視鏡検査(胃カメラ)で胃粘膜を直接観察することです。
医療機関の処方する薬は強力に胃酸分泌を抑えるH2ブロッカー、プロトンポンプ阻害剤といわれるものが主流で、とてもよく効くため胃潰瘍や十二指腸潰瘍にまで進むことも少なくなりました。市販薬を選ぶときは胃痛には酸分泌抑制剤、胃もたれには胃の蠕動運動を活発にする薬や胃の緊張を和らげる効果をもつ薬を選びましょう。
一時的に内服薬で改善しても服薬の中止により再び症状を認める場合は、ヘリコバクターピロリ菌に対する特別な治療が必要であったり、または癌などが原因となっていないかの確認が大切になります。

インフルエンザ

カルテ14

内科

インフルエンザ

NKH「健康ライフ講座」

2004.4

日本機械保線株式会社 社内報


総論

インフル工ンザは毎年日本において11月から3月にかけて流行を起こす。世界的にも最も罹患(りかん)率の高いウイルス感染症です。ヒトのインフル工ンザウイルスには、A・BおよびC型の3種類が存在しますが、臨床的にはA(A香港型とAソ連型)とB型が問題となります。

普通の風邪と異なり、急激な発熱や関節痛やだるさなど強い全身症状を特徴とし、乳幼児や高齢者、もともと病気を持つ人がかかった場合、重症化して肺炎や脳症などの合併症により死に至ることがあります。

症状

悪寒を伴う38~40度の高熱、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛などの全身症状が強いことが特徴です。さらに同時期または少し遅れて咽頭痛、鼻汁、咳、頭痛などの症状も見られます。潜伏期は1日~2日で、合併症を併発しなければ症状は約1週間で軽快します。

診断

地域内においてインフルエンザの流行があり、上記の症状が急激に認められた場合、臨床的にインフルエンザの可能性は非常に高いと考えられます。確定診断にはウイルス学的検索が必要ですが、近年簡便な確定方法(EIA法)が開発され、A・B型ともに診断可能なインフルエンザ診断キットがあれば、外来にて20分以内で診断ができるようになりました。

治療と対策

予防には、インフルエンザワクチン接種が最も有効で、特に高齢者ではワクチン接種により、入院日数や死亡率を大幅に改善できることが報告されています。

発症した場合は、安静・保温・保湿などの対症療法に加えて、発病48時間以内であればインフルエンザウイルスの増殖を抑え、病気の期間と症状の重さを軽減する抗ウイルス薬の服用が効果的です。現在用いられている薬には、A型インフルエンザにのみ有効なアマンタジン(シンメトレル)とA・B型の両方に有効なノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル・リレンザ)があります。

鳥インフルエンザについて

鳥インフルエンザウイルスはヒトのインフルエンザウイルスとは異なったウイルスです。鳥インフルエンザは、店頭での生きたニワトリの小売りが一般的な地域での発生がほとんどで、今のところヒトからヒトヘの感染が確定された事例はなく、鶏肉や鶏卵からの感染の報告もありません。特別な予防法はなく、現在使用されているヒトインフルエンザワクチンも効きませんが、上記の抗インフルエンザウイルス薬は鳥インフルエンザにも効果があるといわれています。

肺炎

カルテ15

内科

肺炎 

NKH「健康ライフ講座」№63

2004/7/15

日本機械保線株式会社 社内報


肺炎は、いろいろな病原体が肺へ感染して起こる、肺の炎症の総称です。主な感染経路は気道ですが、他部位の感染巣から血液の流れに乗って病原体が肺組織へ侵入し発症する場合もあります。特に高齢者や糖尿病、癌などの基礎疾患を有する 患者さんが発症した場合は、病原体が血液を介して全身に広がる敗血症という症状という状態を引き起こすなど、致命的になることがあります。肺炎を起こす病原体としては、細菌のほかにウイルス、マイコプラズマ、レジオネラ、クラミジア、原虫、真菌(しんきん)などがあります。


○症 状○

多くの場合は発熱、全身のだるさ、咳、色のついた痰などの風邪症状に引き続き、呼吸困難、胸痛、特に重症な場合はチアノーゼや意識低下などが認められます。発熱も多くの場合39度異常まで上がります。しかし高齢者や体力の低下した人では、無熱性肺炎といって発熱が軽微なこともあり注意が必要です。軽い症状であれば自宅での治療も可能ですが、呼吸困難や40度以上の発熱、悪寒、頻脈、意識低下、チアノーゼ、胸痛などを認める場合は少しでも早い入院治療が必要です。

○診 断○

症状および胸部のレントゲン写真によって行います。また血液検査での炎症性変化の所見(白血球数増加、CRP高値など)があればより確かとなります。診断の確定のためには病原菌の検出が必要になり、痰の細菌培養や血液検査による抗体(特定のウイルス、マイコプラズマ、レジオネラなどを対象)などの検査を行います。診断において最も重要なのは、結核や癌に合併する肺炎と鑑別することです。

○治療と対策○

治療は、全身管理および症状に対する対症療法と、原因となっている病原体に対する薬物治療からなります。全身管理においては特に水分および栄養補給、安静、加湿が基本となります。入院治療が必要な場合はさらに心拍数や呼吸、体温、血液中の酸素濃度などをみながら点滴、酸素投与、人工呼吸管理などを行います。

薬物治療については、原因となっている病原体によって薬が使い分けられます。多くの場合、病原体によって薬が使い分けられます。多くの場合、病原体が判定される前に抗生物質の投与(軽症であれば内服薬で、中等~重症の場合は点滴)がなされますが、病原体によっては特殊な治療を要するため、診断が重要です。例えば、近年、循環式浴槽水やシャワー、ホテルロビーの噴水などを介した感染・発病が報告されているレジオネラ肺炎や、若年に多く集団感染としても注目されることの多いマイコプラズマなどは、通常の抗生物質では効果が得られないため、正確な診断のもとに治療をしなければ悪化してしまうことがあります。

過敏性腸症候群

カルテ16

内科・心療内科

過敏性腸症候群

NKH「健康ライフ講座」

2004.10

日本機械保線株式会社 社内報


過敏性腸症候群は、レントゲンや内視鏡などの検査で腸の炎症や腫瘍など、異常が無いにもかかわらず下痢や便秘といった便通異常を繰り返す、腸が正常に機能しない疾患です。現在のストレス社会で増加が注目されています。

原因

身体的な疲労や精神的ストレスが引き金となり、腸の運動機能や分泌機能が高ぶって下痢や便秘が起こると考えられます。

症状

下痢、便秘、腹痛、膨満感などで、主となる症状によって下痢型、便秘型、便秘と下痢を繰り返す下痢便秘交替型に分類されます。症状は、精神的要素が強く排便によって軽快する強い腹痛が特徴で、朝起きてすぐや朝食後、出かける前、電車の中などで頻回に便意があります。1回の便の量は少なく、残便感や不快感が残ることもあります。女性にやや多く、男性には下痢型、女性には便秘型が多い傾向があります。また、不安、過敏、抑うつなどの精神症状が出ることもあります。

診断

癌や潰瘍性大腸炎といった他の病気が腸に無いこと、下痢や便秘、排便により軽快する腹痛の症状があること、症状が3ヶ月以上繰り返し起こるといったことから診断されます。

治療と対策

もっとも重要なのは、生活環境やライフスタイルの改善です。過労や精神的ストレスを避けて、規則的な食事や生活リズムを整え、じっくりとセルフコントロールしていくことが必要です。

症状のかいぜんには時間がかかりますが、症状の完全な消失を求めるよりも症状があってもやっていけるという受け入れが大切です。下痢、便秘、腹痛などの症状に対しては、対症療法として消化管の運動を調整する薬や漢方が使われます。うつ病やパニック障害を合併していることもあり、抗不安薬なども併用されます。自律訓練法の指導により不安、緊張を軽減させたりカウンセリングにより原因となっている精神的ストレスの解消を試みることも有効で、1人で抱え込まずに相談相手をもつことが重要です。

慢性肝炎

カルテ17

内科

慢性肝炎

NKH「健康ライフ講座」№65

2001.7

日本機械保線株式会社 社内報


現在200万人以上の患者数とも推定される慢性肝炎ですが、肝癌の原因ともなる肝硬変へ進行するおそれもあるため、非常に注目されている病気です。厚生労働省は平成14年度から、総額600億円の予算を投入して40歳以上のすべての成人にB型、C型肝炎の検査を実施するという対策をとっています。肝炎とはあらゆる原因による肝臓の炎症の総称で、その原因も様々です。
今回は肝硬変の原因の90%を占めると言われている、慢性のウイルス肝炎の概論を説明します。


原因

一般的にアルコールが原因と思われがちですが、日本での原因はほとんどがウイルスです。ウイルス性肝炎の中でも特に、肝硬変や肝臓癌といった重い肝臓疾患への移行率が高いのは、B型・C型肝炎です。感染源としては、ウイルスに汚染された血液の輸血を受けることや、薬物乱用者の間での注射器の回し打ち、出産時の母子感染、性行為感染などが挙げられますが、ウイルスの種類こよつて感染経路は異なります。
最近10年以内に発見されたウイルスもあり、今後の解明が必要です。病態が明らかになるにつれ、献血用血液から感染血液を除く検査が採用されて輸血後肝炎が大幅に減るなど、感染予防のための対策が進められています。

症状

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、特に慢性肝炎についてはほとんどが症状なく進行します。そのため肝癌死亡者の7割以上を占める慢性C型肝炎も、末期になるまで感染に気付かず手遅れになるケースもあります。
症状は食欲不振や疲労懲、腹部の不快感、痛れ、膨満感などです。

治療と対策

肝炎の原因によって治療方法は異なりますが、ウイルスを駆除できる、またはウイルスの増殖を抑制できる抗ウイルス剤が最新の治療として注目を浴びています。また研究の成果により、治癒率も改善されてきました。
感染経路は血液や性行為を介することが主ですので、家族への感染が心配される場合も、同じカミソリや歯ブラシを共有するなどのことがなければ、日常生活における接触で感染することはないと考えられています。

PTSD

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NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報

カルテ20<精神科・心療内科>PTSD

2005/10/15

 


大地震やテロや大事故が起こるたびに、このPTSDという病気がマスコミなどで取り上げられ、言葉だけはなんとなく知っている方も多いと思います。日本語では「外傷後ストレス障害」と言います。大きな恐怖や破局的な出来事を体験した後、時間がたっても病的な心身の反応が長く続く状態です。出来事のショックが余りにも大きい場合と、個人のストレス過敏性が強い時にこの状態になりやすくなります。

(原因)

異常で怖い出来事を体験すると、誰でも心身が乱れ不安定になります。そして時間の経過と共に心身の安定を取り戻していくものです。しかし、出来事が脅威的であったり個人の感受性が高すぎる場合、恐怖の体験記憶が固定化され、心身の不安定が持続します。記憶や恐怖を感じる脳に障害が起き、脳内ホルモンの分泌や作用の異常が起きるために生じるとされています。

(症状)

フラッシュバックといわれる恐怖の出来事をありありと思い出したり悪夢でうなされるなどの再体験症状、睡眠障害などの覚醒亢進症状、類似する体験を避けたり恐怖を体験した場所などに近づけない回避症状などが主な症状です。こういった症状が一ヶ月以上続く場合この病気が考えられることになります。体験直後は症状がなく、数週間後に症状が出現することもあり、後者のほうが治療が困難になる場合が多いようです。

(診断)

症状の経過をみながら診断することになります。マスコミなどでこの病気が有名になりすぎたために、過剰な診断を招くこともあり慎重な経過観察が望まれます。他の精神疾患を既に有していたり、社会活動に支障が無い場合は本疾患の診断は除外されます。

(治療)

薬物療法と心理療法が主な治療法です。対症的に抗不安薬や睡眠導入剤を用います。またSSRIと呼ばれる一群の薬物が第一選択剤となっていますが、PTSDとしてはまだ日本の保険の適用になっていません。心理療法としては支持的カウンセリング、認知行動療法などがありますが、最近ではEMDRと呼ばれる眼球運動による脱感作と再処理法が試みられています。

五月病

カルテ18

精神科・心療内科

五月病

NKH「健康ライフ講座」№66

2005.5

日本機械保線株式会社 社内報


新入生が新しい環境の変化に馴染めずに、知らず知らずのうちに自分の殻の中に閉じこもり心のスランプになってしまう状態は5月病としてよく知られています。近年、学生の五月病は減り、代わって、職場環境の激変する現代を反映するように社会人に同様の症状が多く認められるようになりました。


原因

五月病は医学用語ではないため、決まった概念や定義があるわけではありません。
医学的には「適応障害」と診断され、新入生や新入社員に限らず、また五月に限った病気でもありません。例えば初めての1人暮らしや、新しい人間関係についていけない、期待していた仕事や新生活と現実のギャップについていけないなど、新たな環境に適応できずに、そのことへのあせりが強いストレスとなって生じると考えられます。
新しい生活に夢中に取り組む間はよいのですが、それがひと段落する5月・6月頃lこ、緊張感からの解放や新生活への失望などがきっかけとなり、知らず知らずに蓄積された心身の疲れが出て無気力な状態を認め、重症の場合にはうつ病へと進展することがあります。

本人の性格も大きな因子で、同様のストレスに対して負担になってしまう人と、うまく乗り越えられる人とがいます。

症状

精神的には、やる気が出ない、なんとなく気持ちが落ち込む、イライラする、不安感などが認められ、身体的には睡眠障害、疲労感、頭痛、めまい、動悸などが挙げられます。疲れているのに眠れず、意欲や食欲が減退し、人間関係もうまくいかずに自己嫌悪に陥り、何とかしなければと焦る程に悪循環にはまり、放置して重症化すると最後には死んでしまいたいなどと考えてしまうこともあります。

診断

自覚症状からほとんどの場合は診断が可能です。中には消化器症状(食欲不振、下痢、腹痛など)や感染症(長引く風邪症状など)といった身体症状が前面に出てストレスが原因であることの判断が遅れてしまうこともあります。

治療と対策

もともと真面目で几帳面、完璧主義な人がかかりやすいと言われています。ストレスの管理はもちろんですが、ライフスタイルや価値観、夢などについてゆっくり見つめ直し、新たな目標や関心を見つけることが気持ちの切り替えになります。それでも症状が改善しない場合は、早めに医師に相談しましょう。躊躇することの多かった精神科の受診(メンタルケア)も、現代では知的な社会人の常識となっています。

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