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新年早々老化の嘆き?2019年初の主侍医通信より

厳しい寒さも過ぎ去るようだとの気象情報に安堵していますが、インフルエンザの大流行も静まってくれることを願っています。恥ずかしながら最近は様々なところで老化を感じています。寒さにも暑さにも弱くなったことを認めざるを得ません。ゴルフでは飛距離もガタ落ち、記憶力も危うい、などと新年初の主侍医通信で、自らの愚痴を並べるつもりはないのですが、、、。諸先輩がたの主侍医を拝命している立場でありながら、弱気のように聞こえるかもしれませんが、皆様方の気持ちも身に染みて理解できていますと解釈いただきご容赦ください。老化とともに、全ての能力が低下しているわけではありません。主侍医にとって一番大切な、判断力については、経験値がより高まり、柔軟性や寛容性も加わりつつあると自負しています。また、専門医のネットワークは、同年代から若手にも、広まり深まる一方です。また、息子の勇祐ドクターも東京逓信病院の外科医、救急医として活動する中、皆様方の主侍医のアソシエートとして活躍する場面も増えてきました。ご安心ください。

朝のバラエティー番組では、芸能人などの著名人の病気や訃報について大きく取り上げられます。主侍医としても、「医学的に危うい報道はないか?必要以上に不安を掻き立てる内容ではないか?」など、ハラハラしながら見ています。最近では、堀ちえみさんの「口腔ガン、舌癌」の報道が印象的です。不安になられた方も多いでしょう。「もし堀さんの主侍医だったら、もっと早く対処できていただろうか?」いつも、このように「もし主侍医だったら?」と自問自答して、朝方から悩み苦しむことになるので、朝のバラエティー番組が怖いくらいです(マジに!)。

「なんでも気になったら気軽に相談」が主侍医会員の最大のメリットですし、「どんな相談にも真剣に対応」「患者さんの最強の味方の医療コンサルト専門チーム」「不安を取り除くことも大きな目的」を信条にしている我々です。今回のケースも、後追い我田引水的かもしれませんが、「テラ先生、なんだか口内炎が治りにくく、舌の一部が硬い気がするのですが?」と電話いただいたとしたら、1週間以内には口腔外科の専門医(例えば、具体的には東大の口腔外科チームと連携があります)に橋渡ししていただろうと推定しています。その数ヶ月の差で、舌癌が完治できるとは言えませんが、少なくとも治療方法に多少の差が出る可能性が高いとは思います。

気になることがある場合は、まずは気軽にご相談ください。全ての問題を解決できるなどと大それたことは言えませんが、出来うる限りの不安解消にお役に立つことが任務だと心得ております。

 

 

 

 

(主侍医活動報告、諦めない、手を抜かない、やり過ぎない)

昨年の大晦日の日です。主侍医会員のMさんから息子の緊急専用電話に連絡が入りました。ご主人Kさん(88歳)が高熱で、意識が朦朧としている。肺炎を疑い、かかりつけのS病院に受診するようアドバイスしました。Mさんは、病院と連絡を取った上で、救急車で駆けつけましたが、あまりにも重篤でS病院では対処できない、とのことで我々に再度、連絡がありました。状況から、命の危険性も極めて高いと判断されました。大晦日ですから、都内といえども救急体制が整った病院を見つけ搬送するのはかなり困難な状況です。息子の勇祐ドクターが勤務する東京逓信病院の当直を調べると、幸運なことに呼吸器内科のドクターがいることがわかり、救急受け入れの承諾を得ました。Kさんとは、13年前に、肺炎でS病院に入院中に、当時の治療担当主治医よりの往診依頼で拝診したのが最初です。その時も、厳しい肺炎で、ご家族も治療担当主治医チームも助からないかと思っていた状況でした。奇跡的と思われる回復ぶりで、やせ細った身体もみるみるふくよかになられました。そのことがきっかけで、奥様のMさんが、私と主侍医の契約をしていただくことになりました。

Kさんは、その後も何回か誤嚥性肺炎を繰り返しては、重篤な状態になられましたが、回復しています。

最近では、Kさんは生活上の補助がかなり必要な状況でしたが、Mさんの筆舌しがたいほどの懸命な介護により、自宅にての生活を続けてこられました。「筆舌しがたい」の一言では、到底説明できないくらいの介助、介護で、根底にある愛情の深さにいつも感銘を受けていました。

「今回ばかりは無理かもしれませんね。これ以上苦しめたくない気もするし。息子たち(長男、次男(医師)、長女)は、できるだけの治療はしたいとは言っていますが」と、覚悟は決められているご様子でした。

入院時の検査データからは、厳しい肺炎で、呼吸状態も悪く、いつ危篤になってもおかしくない状態でした。

お正月にも関わらず、治療担当主治医チームの懸命な治療とMさんを中心としたご家族の温かい励ましで、一旦回復の兆候を見せましたが、再度、誤嚥を起こしてしまい、重篤な誤嚥性肺炎の状況に陥り、意識もなくなり、酸素濃度の低下、二酸化炭素の上昇などで、今度こそ回復は無理かと思われました。Mさんも「これ以上の治療は苦しみを与えるだけかもしれない」と愛情に溢れるが故の弱気になりました。私も病棟に駆けつけ、今後の方針をどうするか、ご家族や治療担当主治医チームと面談を繰り返しました。治療担当主治医チームのチーフのS先生も病棟担当の若いE先生も、「あきらめずに治療する」という気持ちでいます。これは当たり前のように見えますが、実際的には、とても有り難いことです。回復の可能性も信じている証しでもあります。E先生は、つい先日私の主催する「寺子屋医学塾」の講師を担当してくれた熱意ある大学の後輩でもあります。ポーカーフェースの顔つきながらもファイト満満です。S先生も、冷静に対処してくれています。何度か話をしているうちに、Mさんは、大方あきらめながらも、「もう一度少しでもいいから話しをしたい」という思いが根底にある、と私は確信し、迷っていた「バイパップ」という呼吸補助マスクを使用する決断を主侍医として説得しました。気管挿管一歩手前の呼吸補助とイメージしていただければご理解いただけると思います。(挿管による人口呼吸はしないというコンセンサスはありました)バイパップ装着後、酸素濃度も上昇しましたが、今度はいつ外せる時が来るのか、という判断が迫ってきます。

治療担当主治医チームとご家族の懸命な努力のおかげで、数度目の奇跡がやってきました。つい先日、東京逓信病院を退院し、リハビリ目的で、自宅近くのS病院への転院が叶ったのです。Mさんから「少し食べられるようになりました。元気になったので、余計に手がかかるくらいです」と喜びながらのご報告を受けました。「実名入りでいいから、皆さんに報告して!」と有り難いお言葉もいただきました。

治療担当主治医チームの皆さん、感謝します。

そしてMさん、Kさん、感謝します。今回私どもの信条である「諦めない」「手を抜かない」「やり過ぎない(ちょっとやり過ぎかな)」をスタッフ一同体現できる機会をいただきました。

作成:2019/02/25

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