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ドクター寺下が教える 認知行動療法としての 脳ダイエット |
しゃきっと 2007 AUTUMN ビジネス社 |
気分障害やうつ病、パニック障害、強迫性障害などの療法として、世界的に導入されている認知行動療法は、健康的なダイヱットにも役立っています。
「書く」ことで ダイエットを続けやすくなる
「血管の老化」 が原因となって起こるといわれる脳卒中、 心筋梗塞を予防するための一環として、減量の指導をしてきました。みなさん生活習慣で気をつけなければいけない、 おおよそのことはわかっているんですね。だけどそこに気をつけて、毎日続けるということがすごく難しい。
一日に1 行記録するだけですが、これが結構面倒。でも励ましたりしながら、1ヶ月つけていってもらうと今度は、くせになってくる。どんどん続けるようになるんです。そして評価も×が続くと今度は〇にしたいという心理が働きます。そんな感じでツールを使いながら、おもしろおかしく減量を行っています。
こうして毎日「書く」というのは、実は認知行動療法の基本ともいえるものなのです。
「認知のゆがみ」を知り 行動を起こさせる
心理学で認知とはものの受け止め方や考え方のことをいいます。認知がおかしいことを「認知のゆがみ」といいますが、それによって気分がおかしくなるという理論が、認知療法の核となっています。そして認知行動療法というのは、認知のゆがみを知り、行動して体を慣らしていくというものです。
先ほど話した「書く」という行為が、「心の問題を認知に変える」 ということになります。通常なら「まあいいか」と考えてしまうのを認知のゆがみとして、正しい行動に移させようというのが、養生シートを使ったダイエットに取り入れられているのです。これによって心理的負担を軽くさせて、継続させることを可能にします。
認知のゆがみ
1 全てか無か思考
何事も O 点か 100 点の 採点基準しか持たない考え方
2 一般化のしすぎ
一回起こったことが何度も 続くように感じてしまうこと
3 心のフィルター
よいことを無視して 悪いことのみ残す
4 マイナス思考
よいことまで悪く考えてしまう 悪質な認知のゆがみ
5 結論の飛躍した推論
人の心の読みすぎや 先読みのしすぎ
6 拡大解釈と過小評価
悪いことを大きく、よいことを 小さくみてしまうこと
7 感情的決めつけ
単に自分が感じているだけなのに 証拠があるように確信してしまう
8 すべき思考
わざわざ過度なプレッシャーを 与えてしまう
9 レッテル鮎りと 誤ったレッテル貼り
一事が万事的な発想
10 個人化
自分に無関係なことまで 関連づけてしまう
寺下議三先生 ( てらした・けんぞう )
寺下医学事務所代表、寺下謙三クリニック院長。
医療判断医、内科医、心療内科医。寺下医学事務所では、「主侍医倶楽部」とスーパー医局プロジェク卜 「 Terra&Drs」 を運営している。