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 NKH健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報  №115

 カルテ66 <救急科・アレルギー科> ヒアリについての豆知識

 2017/10/23(月)

 

 



〇総論〇

2017年7月3日、ニュースで「東京都大井埠頭で猛毒を持つアリが発見された」と報道され、身近に存在するアリに対して恐怖を感じている方も多いと思います。「知識は最強のワクチン」を合言葉にしている私としても、この欄をご愛読の皆様に、東京都の環境局などで発表している内容を簡単にまとめてみます。

(日本での存在、生息地)

2017年5月に兵庫県尼崎市で国内で初めて発見され、その後立て続けに東京、愛知、大阪、神奈川、福岡、広島など(9月1日現在)全国各地で確認されるに至っています。もともと南アメリカに生息していましたが、アメリカや中国、オーストラリアなどでも生息しています。

(形態)

体長は2~6mmで、赤茶色から褐色。

(毒)

主にアルカロイド系の毒素で、刺されると激痛とともに患部が水ぶくれを起こします。毒素に含まれるタンパク成分によりアナフィラキシーショックを起こした場合は命に関わることもあります。スズメバチに近いイメージを持っていただけると理解しやすいでしょう。

(治療)

スズメバチの場合と同様に医師の受診が必要です。特に呼吸困難や意識低下など重度の障害と思われたときは、虫刺されによるショック状態かもしれないということを救急隊に告げて、その対処ができる病院での治療を受けることが必須です。

(国内での蔓延の可能性)

現状では、水際での駆除を徹底していますので、心配は少ないですが、一旦広まると駆除は大変困難になります。在来のアリがヒアリの繁殖を阻害してくれることもあり、「対象を特定しない広範なアリ退治」を安易にできません。今後の報道にも注目しておいてください。