Dr.寺下のズームクリニック 肋骨の疲労骨折 |
ZOOM 1996.8 朝日生命保険相互会社発行 |
突然、原因不明の痛みに襲われる…
症例
会社員のSさん(30)は、ある日起きたら右側胸部に強烈な痛みを感じた。寝返りはもちろん深呼吸も痛くてできない程。ゴルフをしたのは4日も前だし、その後重い物を持ったり、何かに体をぶつけたりした覚えはない。
診断
肋骨の疲労骨折の疑いがあります。原因はゴルフのスイングです。「骨折なのにどうして4日もたってから痛みが出るのか」という疑問ももっともです。
肋骨は側胸部から前胸部にかけては肋軟骨といって、軟らかい骨になっています。この軟骨の部位や硬い骨との境界部位の骨折の場合には、通常の骨折のようにポッキリとは折れず、ちょうど若木が折れたようになっています。ですから骨折した時は痛みを感じないことが多いのですが、各肋骨の下のふちには神経や血管が走っており、骨折部位の炎症が広がってくると痛みが増長してきます。レントケンでも診断がつかない場合もありますが、経験を積んだ医師がすみやかに判断する場合が多いようです。
治療
局所の湿布とバストバンドというガードルによる固定です。ただし他の部位の骨折のように完全には固定ができないので、安静が第-です。1カ月くらいで痛みは完全に取れ、軽度な運動も可能です。ゴルフの他にも、草野球やテニス、長時間の釣りをはじめ、激しいセキも原因になることがあります。