医療判断医 Dr.寺下謙三の誌上診察室 セカンドオピニオン |
日経ヘルス2002年6月号 2002.6 日経BP社発行 |
相談
マンモグラフィーで早期の乳ガンが見つかりました。主治医は「できるだけ早く手術をした方がいい」というのですが、やはり、セカンドオピニオンを受けた方がいいでしょうか?
セカンドオピニオンを受ける医者をどうやって見つければいいのかわかりません。(48歳・女性)
Dr.
ガンのような病気の治療方針を決める場合の手段として、セカンドオピニオンが注目を集めていますが、原状ではまだ難しいものがありますね。
まず、誰に尋ねたらいいかわからない。
セカンドオピニオンには保険が利かないし、謝礼の基準もない。
患者から「セカンドオピニオンを受けたい」といわれて、検査データやカルテを喜んで提供する医師はまだ少ないでしょうね。
もちろん、現在の主治医の治療方針に納得がいかない場合は、セカンドオピニオンを受けるべきです。でも、その場合も「親類に医者がいるから相談したい」などという言い方をした方がいいかもしれません。
そもそもセカンドオピニオンとは、別の治療法を薦める医師を探すことではなく、今の標準治療に照らして納得がいくものかどうかを確認することです。
次々と別の選択肢を薦める医師が現れても、どれを選べばいいのか迷うだけですから。医師側も「自分ならこう手術する」ということではなく、世界的標準と照らし合わせ、ほかにどんな治療法があるかを伝えなければなりません。
私は、原則的には、何がなんでもセカンドオピニオンというのではなく、選んだ医師を信頼するというやり方が大切だと思っています。そのためにも、最初にどんな医師を選ぶかが重要。
信頼に足る医者を見つけたら、とことん信用してみる。それも、患者としての選択です。
なお、セカンドオピニオンの医師を探す方法として、ボランティアの医師によるセカンドオピニオン外来を設けている病院(注)もあります。
(注)Cancer Net Japan
http://www.nagumo.or.jp/cancer/
ボランティア医師数名により週に何日かガンのセカンドオピニオン専門の日を設けている。