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脂質異常症

(概説)

高血圧、糖尿病などとともに、動脈硬化症の原因となる疾患の代表的な病態の一つです。以前は高脂血症と呼ばれていましたが、一部の指標が低くなる異常もあることから、我が国では2007年7月より脂質異常症と呼ばれるようになりました。血液中の脂質が高すぎたり低すぎたりする状態は、長い目で見て動脈硬化を促進させることが分かり、それらを一つの病態と考え本疾患が定義されています。

(症状)

本疾患自体の自覚症状はほとんどありません。本疾患が原因となって、動脈硬化が進んだ結果、心筋梗塞や脳梗塞などが起こるとそれぞれの症状が出現します。

(診断)

自覚症状がないために、定期検診や他の病気で血液を調べて初めて診断がつく場合がほとんどです。代表的病態としては、高LDLコレステロール(悪玉コレステロール)血症<140mg/dl以上>、高トリグリセリド(中性脂肪)血症<150mg/dl以上>、低HDL(善玉コレステロール)血症<40mg/dl以下>があり、実際にはそれらが複合して存在します。なお、<>内のそれぞれの基準的数値は、現時点での学会基準値であり、年齢、性別、他の合併疾患などにより、治療目標が異なってくるのが実情ですので、おおよその目安として記憶ください。

(治療)

食事療法、運動療法に加え、禁煙、肥満改善などの生活改善が基本となります。数ヶ月以上の生活改善にもかかわらず、血液の数値の改善が見られない場合、その他の合併疾患も含め今後のリスクを考慮した薬物療法が勧められます。最近では、薬物の選択肢も豊富にあります。最小限の副作用で納得した治療を選択することが肝要です。

(生活上の注意点など)

何よりも、生活改善が優先されます。本症だけでは、ほとんど自覚症状がないために、定期的な検査とその結果に基づいた対策を十分に納得理解することが、長い目でみて治療を続けるための心の支えとなります。私の造語ですが「知識は最強のワクチン」です。

作成:2018/10/23

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診療科: 内科、内分泌代謝内科

寄稿日・掲載日・記述日: 2018/10/23 NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報 №119