寺下謙三の病気解説

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秋バテ

2025/10/24
(総論)
「夏バテ」は一般的に使われますが、それに対応するかのように秋口に体調を乱すことを「秋バテ」と呼ばれるようになりました。いずれも正式な医学病名ではありませんが、季節ごとによくみられる病状を表している言葉でもあります。「夏バテ」は暑さによる体温調節や自律神経の乱れから食欲不振などの胃腸障害や倦怠感という形で現れます。「秋バテ」は、その「夏バテ」が秋まで持ち越すことに加え、秋口の特徴である、気温や気圧の急な変化に順応できずにさまざまな体調不良をきたす状態を指します。
 
 
(原因)
さまざまな理由が考えられますが、「夏バテ」により体力が弱っていることと、急激な気温や気圧の変化(主に低下)に対し、心身の安定を保つ働きを持つ自律神経がスムーズに対応できずに不調をきたすことが原因と考えられます。秋は一年の中でも活動が活発な時期であり、夏休みモードからの切り替えについていけないことも影響するかもしれません。特に、最近では猛暑が秋口まで続き、その後急激な気候の変化が起こり、快適な秋の気候の期間が短くなっていることも「秋バテ」が増えた原因とも言えます。
 
 
(症状)
「夏バテ」は食欲低下を中心とした胃腸障害やだるさ、疲労感が中心となりますが、「秋バテ」も同様な症状に加えて、自律神経の乱れによる、めまいやのぼせ、不眠、気力低下など多彩な症状が出て、活動の増加に心身がついていけなくなります。
 
 
(診断)
他のはっきりした疾患による症状でないかどうかの鑑別診断が大切になります。安易に「夏バテ」「秋バテ」で片付けてしまうと、ガンや糖尿病など重大な病気が隠れていることを見落とすことがありますので、じっくりと経過を見てくれる医師と相談しましょう。
 
 
(治療)
健康管理の基本である、規則正しい生活と、十分な休養、睡眠、適度な運動を心がけることが大切です。放置していると胃腸障害の悪化やメンタル疾患など本格的な病気に発展してしまうこともあります。
 
 
(生活上の注意)
基本的な健康管理として、快食快眠快便を保つように心がけ、暴飲暴食、夜更かし、運動不足にならないよう留意することが大切です。いつもとは違った症状が長く続く場合は早めにかかりつけ医に相談しましょう。
 

帯状疱疹

2025/07/25
(概説)
水痘・帯状疱疹ウイルスによる水痘(水ぼうそう)に小児期などに感染した場合、そのウイルスは多くの場合、神経節と呼ばれる場所に潜伏します。疲労やストレス、ガンなどの全身性の消耗性疾患などに罹患して、免疫力が低下した場合、潜伏していたウイルスが再活性して発症する病気です。神経の通り道の皮膚に帯状に水疱や発赤が出現しますので「帯状疱疹」と呼ばれます。単に「ヘルペス」と呼ばれることもあります。痛みを伴うことが多く、時にひどい神経痛が後遺症になることも多いので、早期診断、早期治療が望まれます。
 
 
(症状)
理論的には、神経が通るところはどこにでも発症しますが、胸の肋骨に沿っている肋間神経や顔面の三叉神経などに発症することが多いようです。神経走行領域に一致した表皮に水疱や紅斑が出現するのが特徴です。その意味で、片側、限られた領域に見られることが特徴ですが、免疫の低下時には両側性や全身性に見られます。皮疹が出る前に、同部にピリピリする痛みの出現が診断のポイントとなります。
 
 
(診断、治療)
特徴的な皮疹の出現が診断の決め手となります。本症の経験が豊富な皮膚科を早期に受診することが早期治療の決め手となります。最近では、抗ウイルス薬の選択肢が増え、早期治療すれば、短期間で治癒し後遺症であるしぶとい神経痛の発症確率を大幅に下げることができます。特に、顔面に発症した場合は、失明などのリスクもあるために、全身状態が悪い場合と共に、入院によるしっかりした治療も必要になることがあります。治癒した後に、神経痛が残る場合も治療が必要になる場合があります。
 
 
(予防などの対策)
過労、睡眠不足や過剰なストレスが発症の誘因となるために、日頃からの体調管理が重要です。加齢も原因の一つなので、50歳を超えた方には、ワクチンが推奨されています。現在は、2種類のワクチンが選択できますので、効果や費用、接種のタイミングなどについて、かかりつけ医と相談してワクチン接種も検討することもよいかと私は考えています。

春の睡眠障害(不眠)

2025/04/25
(概説)
不眠を訴えて受診される患者さんは、頻度としては大変多い部類と言えます。不眠の原因は多彩で複雑ですが、気候や騒音など外的要因もありますが、ストレスをはじめとした心理的要因は最も多い原因と考えてよいでしょう。その意味で、春は社会人にとって入社や転勤、学生にとっては入学などが多く、転居を伴うこともしばしばで、なにかと心理的負担が多くなります。また花粉症も多い時期でもあり、不眠を訴える患者さんは増加する傾向にあります。春の不眠に特別な診断や治療法があるわけではありませんが、睡眠は、脳の休養に必須でもあるので、この機会に不眠の基本について勉強をしておきましょう。
 
 
(症状、診断)不眠の状況には、大きく分けて3つのパターンがあります。寝つきが悪いという「入眠困難」、夜中に目が覚めてしまうという「中途覚醒」、極端な早朝に目が覚めてしまうという「早朝覚醒」の3通りです。主にどのパターンの不眠に悩んでいるかで、治療法も若干変わってきます。適正な睡眠時間は、年齢や個人個人によって異なりますが、幼少期には9時間近く、青年期は8時間、成人期から中年期にかけては7時間、壮年老年期には6時間から7時間を目途に、日中に過度な眠気が生じない自分にとっての適正な睡眠時間を把握しておくのがよいでしょう。
 
 
(治療)主に生活指導(睡眠衛生指導)と薬物治療があります。安易に薬物療法に頼るのではなく、自分の生活を見つめなおして、不眠の原因を把握したうえで、時には薬物の助けを借りるという考え方が大切だと著者は考えています。
生活上の留意点を列挙してみます。まずは、規則正しい生活(特に食事)、定期的な運動習慣、自分の適正な睡眠時間の把握、そのうえで就眠時刻ではなく起床時間を一定に保つ、寝る直前にはスマホやパソコンの作業を控える、禁煙は当然ですが、睡眠時間前のカフェインや睡眠直前の寝酒を控える、昼寝は取るとしても2、30分程度に、などを基準に自分の生活にあった決め事を定めておくとよいでしょう。
生活改善だけでは不十分な場合は、薬物治療を併用することになりますが、近年睡眠薬の開発が進み、その選択肢が増えています。自分に合った薬物を主治医としっかり相談しながら選んでいくことが肝要です。最近では、睡眠中に呼吸が一時的に止まる睡眠時無呼吸症候群の方が少なくないことが分かり、睡眠障害の原因のひとつになっていることもあります。ご家族の方からいびきや呼吸の停止を指摘されている人は、かかりつけ医と相談するようにしましょう。
 
 
(その他の注意事項)不眠はありふれた症状、病気ですが、思わぬ病気が隠れていたり、
改善が必要な環境があったりしますので、安易に考えないようにしましょう。また、逆に気にしすぎることによって不眠を悪化させることも多いので、信頼できるかかりつけ医と二人三脚で対策していくことが望まれます。

季節性情動障害(冬季うつ病)

2025/01/06
(概説)
特定の季節にうつ症状を繰り返す疾患で、秋から冬にかけてみられる冬季うつ病と春から夏にかけてみられる夏季うつ病があります。どちらも概日リズム(昼夜の時間)の変化に伴い発症しますが、日本では冬季うつ病が多くみられます。病状や発症時期、予後などは多彩で、原因も遺伝的素因や自然及び社会的環境因子が複雑に絡んでいると考えられています。比較的若年者や女性に多い傾向があるようです。
 
 
(症状)
過眠、食欲増進、体重増加がみられることが多く、睡眠リズムが遅いほうにずれ、就眠困難とともに起床が辛くなります。うつ気分の出現は、典型的なうつ病は午前中に多いのに比べて、午後から夜にかけて不安感、抑うつ感が出現、増強していきます。
 
 
(診断)
詳しい病歴の聴取により、一定の季節に症状が出現するという特徴と、睡眠リズムのずれが必発であるということなどから診断が推定されます。症状が強い場合は、双極性障害などとの鑑別診断も重要ですので、専門医の受診が必須です。
 
 
(治療)
高照度光療法が効果的とされています。早朝に強い光を1,2時間照射することを、原則として1,2週間以上毎日続けることが必要なため、通院に時間がかかる方には、実情としては実施困難なことが多いようです。そのような場合には、自宅でもできる生活指導(日光を浴びる散歩、部屋の明かりの工夫など)を受けることが大切です。補助的に、不安や睡眠障害など症状に応じた薬物が使われます。職場や学校での活動に支障が出るなどの社会的困難がみられる場合は、特に継続的な支持的心理療法が望まれます。
 
 
(その他の対策)
季節により症状が軽いか、時には無いこともあり、本人も周囲の人も、病気であるという認識が低くなりがちです。そのため、家庭や職場などで病気としての理解が乏しくなり、人間関係に乱れが生じ辛くなることも少なくありません。本人は病気という自覚のもとに根気よく治療を行い、周囲の方は理解と支持を示すことが肝要でしょう。

咽頭炎

2024/10/25
(概説)
「のど風邪」と呼ばれるものが、咽頭炎の大半を占めます。咽頭とはいわゆる「のど」のことであり、口から食道や気管へ続く玄関のようなところで、口を大きく開けて見える部分が咽頭の上の部分になります。両脇に見えるのが扁桃腺ですが、隠れて見えない場合もあります。従って、咽頭、扁桃腺は体への玄関口となるために、体に入る食物や空気の関所のような役割を果たしています。食べ物は、胃の中の酸で消毒されるのですが、空気中のウイルスや細菌、異物などに対しては咽頭が門番役となります。自分の体力や免疫力が落ちていたり、接触するウイルスや細菌などの量が多いと感染を起こします。この状態を咽頭炎と呼びます。時には、アレルギー反応により、咽頭炎の状態を引き起こすこともあります。
 
 
(原因と症状、治療)
ウイルス感染がもっとも多い原因で、のどの痛み、ヒリヒリ感が唾を飲み込むときに増強されるのが特徴です。全身の熱はあっても軽度で、放置しても数日で治ることが多いです。一方、細菌感染が原因で咽頭炎を起こした場合は、更に症状が強く発熱も伴うことが多く、抗生剤の治療が必要です。最初はウイルスによる感染でも細菌感染が加わることもあります。新型コロナウイルスの感染の場合は、かなり症状が強く様々な合併症を引き起こすことが多く、特別な治療が必要でした。最近では、攻撃力の高い細菌による感染もしばしばみられるようですので、数日で軽快しない場合や、痛みが強かったり、高熱が出る場合は迷わずに医師を受診しましょう。血液検査や迅速抗原検査、胸のレントゲン検査、CT検査などにより、原因の探索や肺炎への進展の有無などの確認が必要なこともあります。細菌性の咽頭炎が悪化して、扁桃腺炎を起こすこともあり、その場合もしっかりした抗生剤治療が必須となります。
 
 
(日頃の対策、注意点)
世間での流行情報などに注意しながら、感染の機会を減らす心がけが重要です。感染症ではありませんが、最近では、PM25や黄砂などにより、花粉症とよく似たアレルギー性の咽頭炎を引き起こすこともありますので、予防対策として、PM25や黄砂、花粉症などが多いとの予報があるときは、外出を控えるか、外出時はマスクなどを着用することもお勧めします。また、日頃から、禁煙はもちろん寝不足など不摂生により免疫力が落ちないように心がけましょう。

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