(概説)
不眠を訴えて受診される患者さんは、頻度としては大変多い部類と言えます。不眠の原因は多彩で複雑ですが、気候や騒音など外的要因もありますが、ストレスをはじめとした心理的要因は最も多い原因と考えてよいでしょう。その意味で、春は社会人にとって入社や転勤、学生にとっては入学などが多く、転居を伴うこともしばしばで、なにかと心理的負担が多くなります。また花粉症も多い時期でもあり、不眠を訴える患者さんは増加する傾向にあります。春の不眠に特別な診断や治療法があるわけではありませんが、睡眠は、脳の休養に必須でもあるので、この機会に不眠の基本について勉強をしておきましょう。
(症状、診断)不眠の状況には、大きく分けて3つのパターンがあります。寝つきが悪いという「入眠困難」、夜中に目が覚めてしまうという「中途覚醒」、極端な早朝に目が覚めてしまうという「早朝覚醒」の3通りです。主にどのパターンの不眠に悩んでいるかで、治療法も若干変わってきます。適正な睡眠時間は、年齢や個人個人によって異なりますが、幼少期には9時間近く、青年期は8時間、成人期から中年期にかけては7時間、壮年老年期には6時間から7時間を目途に、日中に過度な眠気が生じない自分にとっての適正な睡眠時間を把握しておくのがよいでしょう。
(治療)主に生活指導(睡眠衛生指導)と薬物治療があります。安易に薬物療法に頼るのではなく、自分の生活を見つめなおして、不眠の原因を把握したうえで、時には薬物の助けを借りるという考え方が大切だと著者は考えています。
生活上の留意点を列挙してみます。まずは、規則正しい生活(特に食事)、定期的な運動習慣、自分の適正な睡眠時間の把握、そのうえで就眠時刻ではなく起床時間を一定に保つ、寝る直前にはスマホやパソコンの作業を控える、禁煙は当然ですが、睡眠時間前のカフェインや睡眠直前の寝酒を控える、昼寝は取るとしても2、30分程度に、などを基準に自分の生活にあった決め事を定めておくとよいでしょう。
生活改善だけでは不十分な場合は、薬物治療を併用することになりますが、近年睡眠薬の開発が進み、その選択肢が増えています。自分に合った薬物を主治医としっかり相談しながら選んでいくことが肝要です。最近では、睡眠中に呼吸が一時的に止まる睡眠時無呼吸症候群の方が少なくないことが分かり、睡眠障害の原因のひとつになっていることもあります。ご家族の方からいびきや呼吸の停止を指摘されている人は、かかりつけ医と相談するようにしましょう。
(その他の注意事項)不眠はありふれた症状、病気ですが、思わぬ病気が隠れていたり、
改善が必要な環境があったりしますので、安易に考えないようにしましょう。また、逆に気にしすぎることによって不眠を悪化させることも多いので、信頼できるかかりつけ医と二人三脚で対策していくことが望まれます。
作成:2025/04/25

春の睡眠障害(不眠)