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ヒトメタニューモウイルス

(概説)

小児の感冒の原因ウイルスの一つとして、2001年にオランダで発見されました。1度の感染では免疫ができにくく、何度か繰り返し感染し、10歳ごろまでにはほぼ全員が感染すると言われています。年を経て感染を繰り返すうちに、症状が軽症化すると言われていますが、乳幼児や高齢者、免疫が低下した大人が感染し重症化することもあり注目されています。

3月から6月ごろに流行することも特徴です。咳などの飛沫感染とウイルスのついた手などからの接触感染が主な感染経路となります。小児の感冒の代表的な原因ウイルスには他に、RSウイルス、パラインフルエンザウイルスなどがよく知られています。

(症状)

咳、鼻水、発熱など普通の感冒の症状が主で数日から1週間で軽快しますが、重症化すると肺炎や細気管支炎に移行し、高熱、喘息のようなゼーゼーという咳、呼吸困難などが出現します。また、子供の場合、中耳炎を合併しやすいことも特徴です。

(診断)

インフルエンザと同様に、鼻の粘膜を綿棒で拭いとった粘液から検査することにより診断できます(2014年より条件付き保険適用)。特別な治療法がないので、軽症の場合は、保険適用の観点から検査の必要性を医師が判断することになります。

(治療)

他のウイルスによる感冒と同様に、このウイルスへの特別な治療薬はありません。症状を緩和させるための薬と栄養・安静・水分補給などの生活上の指導が中心になります。長引く場合は、細菌感染の合併も考え、抗菌剤が必要となることもあります。また、高熱が続いたり激しい咳が治まらなかったりなどで重症化の恐れがある時は、綿密な観察と迅速な治療が必要になります。

(予防などの注意点)

潜伏期は3〜5日程度です。上記の感染経路から、インフルエンザや他のウイルスによる感冒と同じく、手洗いやマスクの着用が予防上大切となります。

作成:2019/01/07

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診療科: 内科、感染症内科、小児科

寄稿日・掲載日・記述日: 2019/1.7 NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報 №120