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スマホ老眼

(概説)

「スマホ老眼」とは、明確な医学用語ではなく、一般的に使われるようになった社会的用語といったものです。もしかしたら、今後、同名称か名前を変えて医学用語としても使われるようになるかもしれません。「スマホ老眼」の明確に統一された定義は今のところありませんが、「スマートフォンやタブレットPCなどの使い過ぎにより、目の調節機能の低下が起こり、近くの小さな文字が見づらいというような老眼とよく似た症状が出てきた状態」と解釈すると理解しやすいでしょう。そのためには、まず焦点を合わすという目の仕組みを理解しましょう。最近の高性能カメラは、自動焦点機能といって、目標物にレンズを向けると瞬時に焦点が合います。そのような自動焦点機能の最高峰が、我々人間の目なのです。ところが、残念なことに年齢とともに、レンズにあたる「水晶体」が固くなり、また、その水晶体を伸び縮みさせる「毛様体筋」の力が衰えてきて、ピント調整が難しくなります。特に近くを見る時には、水晶体が厚くならなければなりませんが、うまくいかずに、それを補うために凸レンズのメガネが必要になります。これが老眼鏡です。(ちなみに近視の場合は、凹レンズのメガネをかけることになります。)加齢による老眼では、このように「水晶体が硬くなること」と「毛様体筋が弱くなる」ことが同時に起こりますが、「スマホ老眼」では、若い世代でも、スマホなどを長時間連続して使用することにより、毛様体筋の調整能力が一時的に低下してしまう現象です。一時的とは言っても、長期間にわたり、この状態が持続すると老眼への移行を早めたりするという報告もあります。

(症状)

「近くのものが見にくくなり、少し距離を変えると見やすい」「スマホを使った後に目が霞む」「夕方夜に、スマホ画面が見づらくなる」「眼精疲労を感じる」「涙目になったり、乾いたり、充血する」などの症状が出始めると、「スマホ老眼」のリスクを考えなければいけないでしょう。

(対策)

何よりも、長時間続けてスマホなどを使用しないことです。連続30分、長くても1時間使用すると10分以上の休憩をするなど、自分でルールを決めるのがいいでしょう。休憩時は、遠くの景色などを見ると効果的です。スマホなどの明るさをなるべく暗めに調整し、ブルーライトカットのメガネの使用や保護フィルムを貼りましょう。表示文字を大きめにするのもいいでしょう。日常生活での予防が大切で、スマホの使いすぎは目のみならず、脳全体の疲労や機能低下にもつながることを意識したいものです。

 

作成:2020/07/27

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寄稿日・掲載日・記述日: 2020/7/27 NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報 №126