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ぎっくり腰

(概説)
何か身体を動かした時に、急に起こる強い腰の痛みのことを総称して使われる言葉です。正式な医学的診断名や病名ではありませんが、正式には「急性腰痛症」と呼ばれ、カルテの病名欄に記載されます。原因が特定できるものを「特異的腰痛症」と呼び、その原因となるものが正式診断となっていきます。原因が特定されないものを「非特異的腰痛症」と呼び、全体の8割程度を占めると言われています。ぎっくり腰の状態では、その原因を突き止めることが大切なので、まずは整形外科受診が妥当かと思われます。厚労省の行っている調査では、腰痛は厚労省の行っている調査では、最も頻度の高い症状の一つとなっています。
 
(症状)
 
ものを持ち上げようとしたときや、腰を捻るような運動をしたときや、咳をした時など様々な動作の直後に突然、腰や背中の下部などに痛みが起こり、ひどい場合は立ち上がったり歩行も困難な状態になります。片方の足先の痺れが伴ったり、力が入らなくなったりするなどの症状を伴うなど多彩な副症状があり、原因診断の一助となります。
 
 
(原因)
 
前述のように、多くは原因を特定できず、筋膜や腱や筋肉の軽い損傷、炎症が原因と見込まれることが多く、9割がたは安静などにより1週間程度で自然治癒していきます。しかし、重大な病気が原因の場合もありますので、痛みが激しかったり、続く場合は、整形外科医により鑑別診断を仰ぐことが大切です。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など整形外科的問題を始め、尿路結石など泌尿器科疾患や婦人科疾患、循環器疾患の可能性、さらに骨の腫瘍などを否定しておくことも重要となります。
 
(治療)
 
特別な原因がない良性のものは、痛みに対して非ステロイド性抗炎症薬が短期的に使われます。原因が特定されるときは、その疾患の治療が優先されることは言うまでもありません。最近では、腰痛とメンタルとの関連性が深いことがわかり、薬剤も選択肢が増えていますが、専門医と十分に話し合って治療法を選択していくべきでしょう。
 
(対策)
 
普段から、腰痛体操を含めた運動習慣をつけて、十分な筋力を保っておくことが何よりの予防となります。また、自己判断せずに、医師に適切な治療方針のアドバイス(トリアージ)をしてもらうことが最大の安心となるでしょう。
 

作成:2020/10/26

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寄稿日・掲載日・記述日: 2020/10/26 NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報 №127