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高血圧(2)

(概説)
血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の壁を圧迫する力のことで、心臓の収縮時にその圧力が最も高くなり、収縮期血圧(最高血圧、上の血圧などとも呼ばれます)、拡張時に圧力が最も低くなり、拡張期血圧(最低血圧、下の血圧)と呼びます。カルテなどには、二つをまとめて「130/80」のように記載されます。この二つの血圧がある程度以上高い状態(高血圧)が長年続くと、動脈の壁が厚くなったり硬くなったりし、動脈硬化と呼ばれる状態になりやすいということがわかっています。高血圧は、生活習慣病の代表格でもあり、現在日本では4300万人いるとされ、治療を受けている人はその6割以下だと推計されています。また、原因が特定されない本態性高血圧と呼ばれるものが9割とされています。
 
 
(症状)
特有の症状がないことがむしろ特徴といえます。たまに頭痛や肩こりなどを訴える方もいますが、時間をかけて動脈血管を傷害することが一番の問題点であり、心筋梗塞や脳卒中の原因となります。糖尿病などと共に、「静かなる殺し屋」と呼ばれる所以でもあります。
 
 
(診断)
上記のように、症状がないことが多いので、日頃から血圧を測定する習慣が大切です。一昔前は、医師の診察時の血圧により、診断を行っていましたが、今では家庭内血圧などを測定し、普段より診察時に高くなる「白衣高血圧」や、反対に診察時より普段の日常で高くなる「仮面高血圧」などを含む日内変動を考慮した診断がされるようになりました。また、判定基準値は、この数十年何度も改定され、2019年度の日本高血圧学会によるガイドラインでは、診察時血圧が140/90mmHg、家庭内血圧が135/85mmHgとなっています。糖尿病など他の病気が存在する場合や年齢などにより、細分化された基準値が設けられています。
 
 
(治療)
他の生活習慣病と同様に、禁煙、肥満解消、適切な運動、減塩、節酒などの生活習慣の見直しと改善が大切なことは言うまでもありません。これらを守っても十分な降圧が見られない場合は、薬物療法が必要となります。現在は薬物の選択肢が豊富に揃い、副作用が少なく利便性の高い服薬治療が可能となってきていますので、長い目で、専門医やかかりつけ医の指導を受けることをお勧めします。
 
 
(生活上の注意)
繰り返しになりますが、軽症のうちは症状に乏しいので、自らの生活習慣の見直しと定期的な血圧測定の習慣が肝要です。
 
 
(推薦資料)
日本高血圧学会編集(一般向け高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子)

作成:2021/01/04

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寄稿日・掲載日・記述日: 2021/1/4 NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報 №128