Home

秋の花粉症

(概説)
花粉症とは、様々な種類の花粉が原因(抗原)となって起こる鼻や眼などの粘膜のアレルギーの総称です。日本ではスギやヒノキの花粉によるものが圧倒的に多く、春の病気と思われがちですが、夏にはイネ科のカモガヤ、秋にはブタクサやヨモギが原因の花粉症がみられます。また、2019年より、世界中を震撼させている新型コロナウイルス感染症、特に2022年現在流行しているオミクロン型の症状と酷似する場合も多く、患者にとっても医師にとっても対応に注意する必要があります。
 
(症状)
いわゆるアレルギー性鼻炎や結膜炎の症状が中心になります。具体的には、鼻水、くしゃみ、鼻詰まり、眼の痒み、充血、過剰な涙などの症状が主となります。喉がイガイガし、咳なども出ることがあります。軽症の新型コロナの症状に似ています。基本的には熱が出ることは少ないですが、アレルギー症状が強い時は微熱が出ることもあります。
 
(診断)
毎年の鼻炎発生状況などから、ほぼ診断がつきますが、血液によるIgE検査で、原因となる花粉(アレルゲン、抗原)が推定できます。皮膚テストや鼻粘膜の誘発テストなどもありますが、日常的には、症状で診断され、血液検査が補助的に使われるのが現状です。
 
(治療)
基本的には、原因となる花粉を避けることにつきます。花粉飛散時期の外出には、マスクや特殊なメガネの着用をし、帰宅時には衣服についた花粉を念入りに振り払うようにします。室内では花粉に対応した空気清浄機なども一定の効果があります。
毎年、花粉症を発症する場合は、原因となる花粉の発生時期の情報をつかむようにして、花粉飛散の初期段階から、抗アレルギー剤の服用や鼻への噴霧などを開始するようにすると、症状が軽く済むことが多いです。最近では、薬剤の選択肢の幅が増えてきていますので、医師とよく相談して治療法を決めることが大切です。スギ花粉症では、より根本的治療に近い減感作療法(アレルゲン免疫療法)なども、保険適用になり選択できます。
症状が強い場合は、鼻粘膜の外科的治療や分子標的治療薬の選択の可能性もありますが、専門医との相談が必須です。
 
(予防、生活上の注意)
大体が、毎年起こる持病のようなものですので、事前対策を心がけることが、快適に過ごすコツとも言えます。新型コロナとの鑑別も考えると初めてかかるクリニックの敷居も高く感じられるかもしれませんので、気軽に相談できるように、普段から持病のかかりつけ医を決めておくと安心です。

作成:2022/10/25

​ ​

寄稿日・掲載日・記述日: 2022/10/25 NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報 №135