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適応障害

(概説)
就職や結婚や進学などの社会環境上のストレス要因が生じると、誰しもなんらかの心理的(ストレス)反応が出現します。これは、外界からのストレスに対して適応するための必要な反応です。しかし、ストレス要因が過剰であったり、個人のストレス対応力が低かった場合に、通常予想される以上の心理的反応のために、それぞれの社会環境に応じた行動の障害が生じます。このような状態を適応障害と呼びます。
 
(症状)
不安、抑うつ、焦燥、イライラなどの精神症状、不眠、食欲不振、頭痛、腹痛、便通異常などの身体症状、朝起きられない、遅刻、欠勤や不登校、過剰飲酒や喫煙などの行動異常が生じます。その結果、引きこもりやうつ状態にまで進展することがあります。
 
(診断)
上記症状が、明らかなストレス要因が発生してから、3ヶ月以内に出現し、予測以上のストレス反応が見られ、欠勤や不登校などの社会的行動障害が見られることが特徴です。原因となるストレス要因が解消されれば6ヶ月以内に改善されることが多く、他の精神疾患が存在しないことも診断のポイントとなります。
 
(治療)
まずは、原因となっているストレス要因を軽減することが重要です。患者さんが適応しやすいように環境調整することが望ましく、場合により休職や休学も検討します。また、できれば、そのためのカウンセリングも行います。精神症状や身体症状に対して、必要に応じて精神安定剤や抗うつ剤などの薬物を使用する場合もあります。
 
(家族や同僚などへのアドバイス)
普段から、ストレスを溜めないような環境作りを心がけ、いつもと違うと感じた時は、気軽な相談相手となってあげることが予防的に肝要です。日頃から良好な人間関係を幅広く有しておくことが専門医以上に価値あり、と言っても過言ではないと思います。とは言っても、異常を感じた時は早めの専門医受診が、こじらさないためにも重要です。

作成:2023/07/25

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寄稿日・掲載日・記述日: 2023/7/25 NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報 №138