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膠原病・アレルギー内科

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ヒアリについての豆知識

2017年10月31日

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 NKH健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報  №115

 カルテ66 <救急科・アレルギー科> ヒアリについての豆知識

 2017/10/23(月)

 

 



〇総論〇

2017年7月3日、ニュースで「東京都大井埠頭で猛毒を持つアリが発見された」と報道され、身近に存在するアリに対して恐怖を感じている方も多いと思います。「知識は最強のワクチン」を合言葉にしている私としても、この欄をご愛読の皆様に、東京都の環境局などで発表している内容を簡単にまとめてみます。

(日本での存在、生息地)

2017年5月に兵庫県尼崎市で国内で初めて発見され、その後立て続けに東京、愛知、大阪、神奈川、福岡、広島など(9月1日現在)全国各地で確認されるに至っています。もともと南アメリカに生息していましたが、アメリカや中国、オーストラリアなどでも生息しています。

(形態)

体長は2~6mmで、赤茶色から褐色。

(毒)

主にアルカロイド系の毒素で、刺されると激痛とともに患部が水ぶくれを起こします。毒素に含まれるタンパク成分によりアナフィラキシーショックを起こした場合は命に関わることもあります。スズメバチに近いイメージを持っていただけると理解しやすいでしょう。

(治療)

スズメバチの場合と同様に医師の受診が必要です。特に呼吸困難や意識低下など重度の障害と思われたときは、虫刺されによるショック状態かもしれないということを救急隊に告げて、その対処ができる病院での治療を受けることが必須です。

(国内での蔓延の可能性)

現状では、水際での駆除を徹底していますので、心配は少ないですが、一旦広まると駆除は大変困難になります。在来のアリがヒアリの繁殖を阻害してくれることもあり、「対象を特定しない広範なアリ退治」を安易にできません。今後の報道にも注目しておいてください。

 

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紫外線アレルギー

2016年05月10日

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 NKH健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報  №109

 カルテ60  内科、皮膚科、アレルギー科

 2016/4/25

 

 


〇総論〇

アレルギーは、人間が外界の異物から身を守る仕組みである免疫反応が過剰に出現した状態であると理解しても大きな間違いではありません。抗生物質や造影剤などの薬物アレルギーや蕎麦アレルギーや卵アレルギーなどの食物アレルギーや花粉アレルギー(花粉症)などみなさんご存知だと思います。アレルギーの原因として、寒暖や光線や運動などもあり、それらを総称して物理アレルギーと呼んでいます。そのうちの光線アレルギーを日光アレルギーや紫外線アレルギーと呼ぶこともあります。

〇原因〇

はっきりしたメカニズムは分かっていませんが、原因となる物理的刺激が神経の伝達路を介して免疫に関する細胞(肥満細胞)を刺激して活性化を促すことによりヒスタミンやロイコトリエンといった物質を過剰に分泌し、いろいろな症状を起こします。またある種の薬剤と光線の症状作用により起こることもあります。

〇症状、診断、治療〇

かゆみを伴ったじんま疹様の発疹や皮膚が腫れてむくむというような典型的な症状の発現の仕方から診断がつきます。また服用している薬剤とも関連することがあり、その場合は、一時的に服用を中断すると症状が軽減することにより診断がつきます。日光は完全に避けることはできませんので、なるべく日光に長時間さらされないような行動パターンや服装を選びつつ、逆に、短時間の日光浴などにより耐性をつけていくことも試みられています。薬剤としては、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などを用います。

〇対策〇

早めに診断をつけて、アレルギーの悪循環を断ち切ることが大切です。疲れなども症状に影響するようですので、暴飲暴食、睡眠不足などにも留意しましょう。

 

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アナフィラキシー

2012年10月15日

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NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報

カルテ46<救急>アナフィラキシー

2012/10/15

 


特定の原因物質により引き起こされた全身性のアレルギー反応をアナフィラキシーと呼びます。専門的になりますが、アレルギー反応にかかわるIgEという抗体を介して生じる即時型アレルギーに加えて、原因物質が肥満細胞と呼ばれるアレルギー関連細胞などに直接作用して生じるアナフィラキシー様反応も含めてアナフィラキシーとして同様の治療を行なう必要があります。しばしばショック状態を起こし、命にも関連する致命的な病態です。原因物質としては、抗生物質や鎮痛解熱剤、造影剤などの薬剤や輸血、食物、ラテックスなど様々ですが、最近問題になっているのはハチ(特にスズメバチ)に刺されて起こす場合があります。また運動により誘発される場合もあり、この場合は診断が難しくなります。

(症状)

数秒から数十分以内に症状が出現することが特徴です。ほとんどの場合、紅斑(こうはん)や蕁麻疹(じんましん)のような皮膚症状が現れます。かゆみもあることが多いです。血圧も下がることが多く、気分不良、めまい、耳鳴り、冷や汗、唇のしびれ、胸の苦しみなどショックを思わせる症状が出現します。また、死因の一つである気道の狭窄(きょうさく)による息苦しさやゼーゼー感、更に重症になると意識障害も生じます。

(診断)

症状経過から迅速に診断しなければなりません。たいていの場合は診断がつきますが、心筋(しんきん)梗塞(こうそく)や肺(はい)塞栓(そくせん)などと見分けないとならない場合もあります。

(治療)

とにかく救急治療が第一です。原因となる物質を避けて、ショック症状に対処しなければなりません。状況にもよりますが、気道確保、輸液とともに、アドレナリン(ボスミン)を投与します。1度軽快しても、数時間後に悪化する場合もありますので、最低でも24時間の厳重な観察が必要となります。

(予防、その他)

アナフィラキシーを起こしたことのある人は、自己注射用のアドレナリン製剤を携帯する事が急場をしのぐ方法となります。いずれにしろ、本疾患が疑われた場合はすぐに救急病院へ搬送する事が大切であると、知っておくことが重要です。

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