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皮膚科

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コロナ下の皮膚炎対策

2022年04月25日
(概説)
長引く新型コロナ感染症対策として、国民の大半がマスクを長時間着用し、アルコールによる手指の消毒の習慣を余儀なくされた結果、マスク着用による顔面の皮膚の様々なトラブルやアルコール消毒による手荒れの頻度が増加してきました。マスクによる皮膚トラブルを総称して「マスク皮膚炎」と呼ばれたりします。「マスク皮膚炎」という言葉は、現時点では正式な医学用語ではありませんが、いずれは定着した呼称となるかもしれません。
 
(原因)
マスク着用による複数の要因が考えられます。まず考慮されるのが「接触皮膚炎」です。数多い皮膚炎の中でも頻度が高いものです。メカニズムとしては「刺激性」と「アレルギー性」があります。マスクと肌が接触することにより生じるものですが、両方の原因が考えられます。一般的に不織布に発生の頻度が高いようです。もう一つの原因としては、「湿度」の問題が考えられます。マスク内が蒸れたり、逆に着脱を繰り返すことで、口や鼻の周りの皮膚が乾燥することにもつながります。いずれも皮膚の表面にある角質層や皮脂膜が傷み皮膚のバリア機能が低下する要因となります。
これらの要因が複合的に作用して、皮膚炎 (肌荒れ)状態となります。
アルコール消毒による手荒れも、アルコールによる角質層や皮脂層などのバリア障害による皮膚炎と考えられます。
 
(症状)
マスクが触れている部分に痒みやヒリヒリ感が生じたり、ニキビのような湿疹ができます。もともとあったニキビが悪化することはあるでしょうが、多くの場合はニキビとは違った湿疹だと考えられます。また、皮膚の表面が赤くなったり、カサカサになったりすることもあります。一般に「かぶれ」と呼ばれる状態です。頻繁な手洗いやアルコール消毒による皮膚炎も類似の症状となります。
 
(治療)
肌を清潔に保つ丁寧でソフトな洗顔や手洗いと保湿剤による保湿ケアが基本となります。炎症が強い場合は、ステロイドの塗り薬が効果的ですが、自己判断ではなく皮膚科医の指導を受けることをお勧めします。
 
(予防)
接触皮膚炎の基本は「接触物との回避」ですが、マスクが必需である現在の状態では工夫が必要になります。コロナウイルスなどの感染予防には不織布が効果的と言われていますが、皮膚炎には悪影響が強いので、不織布マスクの内側に、柔らかい低刺激性のガーゼなどを当てて快適な着用状態になるように心がけましょう。不要な時はマスクを外し、肌を清潔に保つという普段からの基本的スキンケアに留意しましょう。手洗いしたのちのアルコール消毒は感染予防には過剰と言われています。流水を活用した、マイルドな石鹸での丁寧な手洗いを基本にしましょう。

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口内炎

2018年01月04日

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 NKH健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報  №116

 カルテ67 <歯科口腔外科・皮膚科・内科> 口内炎

 2018/1/4(木)

 

 



(総論)

口の中の粘膜に炎症が起こった状態の総称が口内炎です。多くの方が、一度は経験しているのではないでしょうか?口の中の傷や炎症は、唾液の作用により修復されますので、大抵の場合、市販薬や自然経過で治ってしまう場合が多いので、軽く考えられがちです。しかし、ヘルペスなどのように治療が必要なウイルスが原因の場合や全身の病気として口内炎が発生する場合があるので、2週間以上も治らない場合などは専門医に相談した方がいいでしょう。

(原因)

ウイルス、真菌、細菌などの感染性、アレルギー性、自己免疫性、悪性腫瘍などのほか、貧血、ベーチェット病、エイズなど全身性の病気の症状の一つとして発生する場合もあります。また、原因が特定できないまま治癒していく場合も多いのが現状です。

(症状)

最初は、粘膜が発赤するカタル性口内炎の状態になり、さらに粘膜が腫脹してびらん性口内炎に進み、中央が凹んで潰瘍になった状態をアフタ性口内炎と呼び、最もよくみられる状態です。食べ物がしみることが最大の症状です。

(診断)

経験豊かな専門医による視診と経過観察だけで済む場合が多いのですが、難治性の場合は、組織生検や菌培養などによる検査が必要なこともあります。また、全身性の病気の検索が必要な場合もあります。

(治療)

口腔内を清潔にし、刺激性のある香辛料などを避けるようにします。ステロイド含有の軟膏を使用すると治癒が早まります。特殊な原因による場合や、全身性の疾患の場合は、それぞれの治療を優先させます。

(生活上の注意)

いずれの原因にしろ、体の免疫力が低下している場合に発生しますので、規則的な生活、十分な栄養という日頃の基本的な健康管理が肝要です。歯磨きやうがいを励行し口腔内を清潔に保つことも大切でしょう。

 

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紫外線アレルギー

2016年05月10日

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 NKH健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報  №109

 カルテ60  内科、皮膚科、アレルギー科

 2016/4/25

 

 


〇総論〇

アレルギーは、人間が外界の異物から身を守る仕組みである免疫反応が過剰に出現した状態であると理解しても大きな間違いではありません。抗生物質や造影剤などの薬物アレルギーや蕎麦アレルギーや卵アレルギーなどの食物アレルギーや花粉アレルギー(花粉症)などみなさんご存知だと思います。アレルギーの原因として、寒暖や光線や運動などもあり、それらを総称して物理アレルギーと呼んでいます。そのうちの光線アレルギーを日光アレルギーや紫外線アレルギーと呼ぶこともあります。

〇原因〇

はっきりしたメカニズムは分かっていませんが、原因となる物理的刺激が神経の伝達路を介して免疫に関する細胞(肥満細胞)を刺激して活性化を促すことによりヒスタミンやロイコトリエンといった物質を過剰に分泌し、いろいろな症状を起こします。またある種の薬剤と光線の症状作用により起こることもあります。

〇症状、診断、治療〇

かゆみを伴ったじんま疹様の発疹や皮膚が腫れてむくむというような典型的な症状の発現の仕方から診断がつきます。また服用している薬剤とも関連することがあり、その場合は、一時的に服用を中断すると症状が軽減することにより診断がつきます。日光は完全に避けることはできませんので、なるべく日光に長時間さらされないような行動パターンや服装を選びつつ、逆に、短時間の日光浴などにより耐性をつけていくことも試みられています。薬剤としては、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などを用います。

〇対策〇

早めに診断をつけて、アレルギーの悪循環を断ち切ることが大切です。疲れなども症状に影響するようですので、暴飲暴食、睡眠不足などにも留意しましょう。

 

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多汗症

2015年07月27日

 150727_NKH106_№57_takanshou.jpgNKH健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報  №106

 カルテ57  皮膚科、心療内科

 2015/7/27

 

 


 

〇概要〇

精神的負荷や温熱、辛い味などの負荷がかかった時などに、生活に支障をきたす程度の大量の発汗が手足や腋の下、顔などに生じる状態を原発性局所多汗症と呼んでいます。感染症や内分泌や神経の病気で起こる続発性多汗症と区別されます。一般に汗が多くて困っているという方は前者の状態と言えます。原因ははっきりしませんが、自立神経の過敏な反応と考えられます。

〇症状〇

軽症の場合は、単に「汗かき」という程度ですが、症状が強い場合は、生活に支障が出る程度の大量の発汗が生じます。その結果ワキガやあせもが生じてしまうこともあります。

〇診断〇

病状では診断は容易につきますが、基礎疾患が存在する続発性多汗症ではないかどうかの鑑別が必要です。疑われる病気があれば、血液検査やCTやMRIなどの画像検査が必要なことがあります。

〇治療〇

「原発性局所多汗症診療ガイドライン」という標準的な治療の指針があります。第1選択として、20%塩化アルミニウム水溶液を塗布することが推奨されています。また手足に対しては患部を水道水に浸した状態で微弱電流を流し、水素イオンで細胞へ働きかける「イオントフォレーシス」という治療もされています。第2選択肢としボトックス( A型ボツリヌス毒素製剤 )の局所麻酔も保険適用となりました。最終的手段としては交感神経遮断術も試されることがあります。

〇生活上の注意〇

常にタオルを携帯し、まめに汗をふくことになります。また精神的負担をなるべく軽減するように生活設計を行い、各種リラックス法なども取り入れるとよいでしょう。

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脂漏性皮膚炎

2014年02月27日

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 NKH健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報  №100

 カルテ51  皮膚科

 2014/1/6

 


○ 概説 ○

 脂肪の分泌が盛んである頭皮や顔面や腋の下、股などに湿疹が生じる皮膚の病気です。皮脂の分泌が盛んな乳児期と青年期以降に多く見られます。青年期以降の原因として皮脂分泌に加えて、マラセチア菌というカビの一種が関与しているという説が有力です。頭皮にできると一般に「フケ症」とも呼ばれます。よくある皮膚炎の代表の1つと言えるでしょう。

○ 症状 ○

 頭皮や顔面、腋の下、股などにフケのようなものを伴った赤いジュクジュクした皮膚変化(湿疹)が生じます。軽いかゆみを伴うことがあります。

○ 診断 ○

 特徴的な皮膚症状とその部位からおおよその診断がつくことが多いのですが、アレルギー性皮膚炎やその他の皮膚炎との鑑別が困難な時もあります。治療経過を診てもらいながら、診断が確定することもあります。こういった治療を先行させて、その効果をみることにより診断することは医療の現場では少なくありません。「診断的治療」と呼んでいますので、この際に知っておくとよいでしょう。

○ 治療 ○

 乳幼児の場合は、石鹸でよく洗うことが基本的な治療となります。それでも改善しない場合は、弱いステロイドローションなどを使う場合があります。
 成人の場合も、洗うことが基本ですが、抗真菌剤の外用薬を比較的長期的に使用します。それでも治癒しなかったり、かゆみなどの症状が強かったりする場合は弱めのステロイドなどの外用を行います。

○ 生活上の注意 ○

 まめに先発、洗顔をして清潔にすることが基本となります。成人の場合は抗真菌剤入りのシャンプーも勧められています。冬場の低温、低湿度も悪影響があるといわれています。生活の乱れやストレスも本疾患との関連があるといわれていますので、規則正しい生活はやはり大事です。

 

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水虫

2002年10月25日

カルテ8

皮膚科

水虫

NKH「健康ライフ講座」

2002.10

日本機械保線株式会社 社内報


原因

水虫は医学的には足白癬(はくせん)といい、白癬菌という真菌(カビ)が原因です。

湿気、通気性の悪さ、免疫力の低下、不潔などカビにとって都合の良い条件がそろうと簡単に生えてしまううえ、いったんかかると治りにくく、途中で治療をやめてしまうとまた再発してしまうという厄介な皮膚の病気です。

症状

足裏、足の指の問にできることが多く、じゅくじゅくと白くふやける、小さな水ぶくれができた後カサカサの薄皮がむける、足裏の皮膚が厚くなるなどのタイプがあります。

かゆみは必ずしもあるとは限りません。爪の水虫では爪が黄色に濁り厚くなります。

診断

見た目だけではなかなか診断は難しく、医師が診断する時も視診だけではなく、皮膚の一部を顕微鏡で確認してから確定診断となります。

本人は水虫と思っていても実は違うというケースが全体の約1/3をしめます。

水虫と間違えやすい病気としては、ブドウ球菌感染症、接触性皮膚炎、ショウセキ膿ほう症などがあるので、必ず一度皮膚科で診断を受けるようにしましょう。診断の際、すでに何か薬がついているとカピが確認できませんので、患部をよく洗ってから受診してください。

治療と対策

水虫の感染を防ぐために

  1. 足を洗う習慣
  2. 足を洗ったあとはよく乾燥
  3. 清潔な靴下、履いたあともよく乾燥させた靴

などが大切です。

最初に述べたような条件がそろわなければカビは簡単にはうつりませんので、家族に水虫の患者さんがいてもあまり神経質になる必要はありません。家庭内で一番うつりやすいのはパスマットとトイレのスリッパ。それだけは別にしておきましょう。

現在水虫治療のために使われているぬり薬は、2~3週間でカビを全滅させるだけの強さがあります。但し実際には、もともとカビが非常に育ちやすく、また常に清潔と乾燥を保つのが難しし部位であるため、3ヶ月~1年の治療期間必要です。

冬場のように低温で乾燥している状態のときにはかゆみもなくなり、よくなったように感じますが、水泡や皮むけが無くなったとしても、菌が皮膚の中に残っていることがありますので、ここで薬をやめてしまうと翌夏にまた再発します。継続的な根気強い治療必要なのです。なお、爪の水虫は特殊で、治療には内服薬が必要になります。

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