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産科・婦人科

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風疹

2021年04月26日
(概説)
風疹ウイルスによる感染症で、現時点では5類感染症に分類され、医師は、診断後直ちに保健所への届け出をする義務があります。俗称として「三日麻疹(麻疹)」とも呼ばれ、比較的軽症であることがほとんどですが、妊娠初期(20週程度まで)に妊婦が感染すると胎児に重篤な障害がかなりの確率で起こります(専門家の間では「CRS」と略して呼ばれます)。
 
(症状)
発熱、発疹、頚部近辺のリンパ節腫脹が主な症状です。発疹は顔から始まり、全身に広がりますが、「三日麻疹」と言われるように、たいていは3日ほどで治ります。潜伏期は2〜3週間です。上記の胎児の障害には、白内障などの眼疾患、難聴、心臓疾患などの先天性疾患がかなりの高率(50%程度以上)で生じます。
 
(診断)
特徴的な発疹と症状経過で診断が推定されますが、今後のCRS対策のためにも確定診断が望まれますので、血液による抗体検査や、喉のぬぐい液などのPCR検査(新型コロナ流行で、多くの皆さんが知るところとなった検査ですね)により確定診断をつけておくことも大切でしょう。
 
(治療)
風疹ウイルスに効果的な薬物は現時点では存在しないため、対症療法が主になります。高熱などが辛い場合は、いわゆる感冒の時に使われるような鎮痛解熱剤を用います。
 
(予防)
特異的に効果のある治療法がないことと、上記の「CRS」のリスクがあるため、ワクチンによる予防が推奨されます。今後妊娠の可能性のある女性で、風疹罹患歴がなく、ワクチンも接種していないか、接種が1回のみという不完全の場合は、ワクチン接種を受けることが強く勧められています。その場合、ワクチンの接種前後で妊娠していないことを確認の上、2回の接種が望ましいとされています。また、男性も感染源となりうる可能性に配慮し、これから子供を作る世代の方は男女を問わず、ワクチン接種を検討しましょう。日本では誕生年度により、小児の頃のワクチンの接種状況が異なりますので、血液検査で抗体の有無を調べ、抗体が基準より低い場合はワクチン接種を受けることをお勧めします。飛沫感染、接触感染がメインですので、感染拡大防止の観点からも症状があるうちは人との接触を避けましょう。
 

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