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眼科

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スマホ老眼

2020年07月27日

(概説)

「スマホ老眼」とは、明確な医学用語ではなく、一般的に使われるようになった社会的用語といったものです。もしかしたら、今後、同名称か名前を変えて医学用語としても使われるようになるかもしれません。「スマホ老眼」の明確に統一された定義は今のところありませんが、「スマートフォンやタブレットPCなどの使い過ぎにより、目の調節機能の低下が起こり、近くの小さな文字が見づらいというような老眼とよく似た症状が出てきた状態」と解釈すると理解しやすいでしょう。そのためには、まず焦点を合わすという目の仕組みを理解しましょう。最近の高性能カメラは、自動焦点機能といって、目標物にレンズを向けると瞬時に焦点が合います。そのような自動焦点機能の最高峰が、我々人間の目なのです。ところが、残念なことに年齢とともに、レンズにあたる「水晶体」が固くなり、また、その水晶体を伸び縮みさせる「毛様体筋」の力が衰えてきて、ピント調整が難しくなります。特に近くを見る時には、水晶体が厚くならなければなりませんが、うまくいかずに、それを補うために凸レンズのメガネが必要になります。これが老眼鏡です。(ちなみに近視の場合は、凹レンズのメガネをかけることになります。)加齢による老眼では、このように「水晶体が硬くなること」と「毛様体筋が弱くなる」ことが同時に起こりますが、「スマホ老眼」では、若い世代でも、スマホなどを長時間連続して使用することにより、毛様体筋の調整能力が一時的に低下してしまう現象です。一時的とは言っても、長期間にわたり、この状態が持続すると老眼への移行を早めたりするという報告もあります。

(症状)

「近くのものが見にくくなり、少し距離を変えると見やすい」「スマホを使った後に目が霞む」「夕方夜に、スマホ画面が見づらくなる」「眼精疲労を感じる」「涙目になったり、乾いたり、充血する」などの症状が出始めると、「スマホ老眼」のリスクを考えなければいけないでしょう。

(対策)

何よりも、長時間続けてスマホなどを使用しないことです。連続30分、長くても1時間使用すると10分以上の休憩をするなど、自分でルールを決めるのがいいでしょう。休憩時は、遠くの景色などを見ると効果的です。スマホなどの明るさをなるべく暗めに調整し、ブルーライトカットのメガネの使用や保護フィルムを貼りましょう。表示文字を大きめにするのもいいでしょう。日常生活での予防が大切で、スマホの使いすぎは目のみならず、脳全体の疲労や機能低下にもつながることを意識したいものです。

 

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加齢黄班変性症

2010年11月01日

 

 

カルテ38

眼科

加齢黄班変性症

NKH「健康ライフ講座」№87

 2010/10/15

日本機械保線株式会社 社内報


成人の失明原因として欧米では1位、我が国でも生活の欧米化で4位にランクされる怖い病気。最近、早期発見すれば進行をある程度で食い止められる治療法が開発されました。


○解 説○

 網膜の中央の、最も大切な部分である黄班と呼ばれる部分が、加齢により変化し傷んでくる病気です。網膜は、カメラで例えるとフィルムやCCDにあたるところですので、視力と密接に関係します。米国では本疾患が失明原因のトップであり、日本でも糖尿病性網膜症とともに最大の原因の1つとなってきました。滲出型と萎縮型に大別されますが、日本では前者が多いとされます。難病の1つですが、最近ではいくつかの治療法が開発されてきましたので早期発見・早期治療が大切です。

○症 状○

視野の中心部が暗く見えにくくなったり、ゆがんで見えるという症状が多いようです。視力も低下しますが、最初は片目から症状が出ることが多いために、他方の目でカバーし気づくのが遅れることがあります。少しでもおかしいと感じたら、眼科医に相談するようにしたいです。 

○診 断○

症状から診断は推定されることが多いですが、確定診断として普通の眼底検査に加えて蛍光眼底造影検査が重要な検査の1つとなります。また、OCT検査と呼ばれる網膜の断層を見る検査や、中心視野検査等も有用です。これらにより滲出型か萎縮型かの診断まで行います。

○治 療○

滲出型に対しては、光線力学的療法と呼ばれる方法が開発され、全国の200カ所近くの施設で行われています。現時点での最も有効な治療法といえるでしょう。また薬剤を眼球内に注入することも行われます。萎縮型には、これといった決め手となる治療法はなく、ビタミン剤の投与等が試みられています。

○生活、予防上の注意○

本疾患の原因は、加齢以外に日光(紫外線)や喫煙、栄養障害、酸化ストレスなどが考えられていますので、それらに対する対策も予防的には大切いえます。そして繰り返しになりますが、なによりも早期発見・早期治療が重要です。

 

 

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ドライアイ

2008年05月09日

カルテ30

眼科

ドライアイ

NKH「健康ライフ講座」№78

2008/4/20

日本機械保線株式会社 社内報


ドライアイとは涙(涙液るいえき)の量が減ったり、その機能が低下することにより眼球の表面部分である角膜(黒目の部分)や結膜(白目の部分)になんらかの障害が生じている状態を総称した病態です。病態の理解のために、涙の役割の主なものを列挙してみる。角膜や結膜の乾燥を防ぐ。角膜の表面を滑らかにして光の屈折を整える。角膜や結膜への栄養を運んだり異物や不要物を洗い流す。感染を防ぐ。涙はこのよな重要な役割を果たしています。「たかが涙、されど涙」といったところでしょう。


症状

症状は前述の涙の機能が損なわれるために出ることになります。最も多い自覚症状は、角膜の乾燥によるものです。眼が乾く、ゴロゴロした違和感がある、痛むなどです。感染しやすくなり、目やにが多い、かゆい、充血するといった症状も比較的多いようです。長く続くと眼がかすむといった視力異常を訴える方もいます。

診断

問診による自覚症状の評価が大切ですが、眼科では、涙の量の測定と角膜の表面の観察が確定診断として行われます。涙の測定法には、シルマー試験、フェノールレッド綿糸法、涙液層破壊時間測定法と呼ばれる方法のいずれかもしくは組み合わせで行われます。角膜結膜の観察は細隙灯(さいげきとう)顕微鏡と呼ばれる眼科診察器具にて観察します。涙液量が少なく、角膜結膜の表面に障害を認めれば確定診断となります。

治療

涙の分泌を増加させるような根本的治療はまだ確立されていないため、人工涙液と呼ばれる点眼薬で涙を補充していく治療法が主となります。他の病気が原因でドライアイをきたしている場合は、原因となる病気の治療を行います。角膜や結膜の感染を合併した場合は抗生剤の点眼を行います。

その他

根本的治療ではなく、対症療法を続けなくてはなりませんので、根気が必要です。生活環境が影響している場合もありますので、その場合は改善が必要です。

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花粉症

2003年01月25日

カルテ9

内科・耳鼻科・眼科

花粉症

NKH「健康ライフ講座」

2003.1

日本機械保線株式会社 社内報


症状がひどいと日常生活に大きな支障をきたし、現代病としても注目されている「花粉症」。最近は日常生活で花粉を回避する習慣を身につけたり、薬剤を上手に使うことでコントロールが可能になりつつあります。

原因

花粉症はアレルギー反応によって起こります。原因植物は大きく樹木と草花に分けられます。樹木としては、日本での原因のほとんどを占めるスギを始め、ヒノキ、ハンノキ、ブナ、マツ、イチョウなど、草花はカモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、オオアワガ工リ、カナムグラなどが挙げられます。地域によって原因植物は異なり、花粉の飛散時期も異なります。1種類の花粉にだけ反応する人はむしろ少なく、スギ花粉症患者の60%の人がヒノキの花粉にもアレルギーを示したとの報告もあります。発症には、アレルギー体質(遺伝)、大気汚染、ストレスや過労が関係します。

症状

主に鼻症状と眼症状が中心です。

鼻は発作的なくしゃみや水っぽい鼻汁、鼻閉(鼻づまり)など、眼はかゆみや充血、まぶたの腫れといった症状が挙げられます。このような症状が特定の季節に繰り返し起こります。

診断

花粉症を疑った場合、内科か耳鼻科、もしくは眼科で診断を受けましょう。診断は、鼻や眼の症状のアレルギー性と原因花粉をつきとめることの両方からなります。ポイントは症状、発症時期、分泌物の検査、皮膚反応検査、血液検査などです。

治療と対策

一般的な花粉症の治療としては、眼鏡やマスクなどを用いた花粉の回避、薬で症状を和らげる対症療法です。特に、抗アレルギー剤を花粉が飛散する時期に入る2週間くらい前から予防的に投与し、アレルギー症状を軽減させる方法が有効です。

飛散開始の予測がポイントになりますが、スギ花粉の飛散時期に関していえば、たいてい早い所でも2月の半ばから。2月の初旬から薬の投与を開始すれば間に合うようです。

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