2026年01月05日
(総論)
元来、日本において、更年期とは女性の閉経前後の数年間という意味で使われてきました。その前後に起こる女性ホルモン減少によると思われる様々な症状を更年期障害と呼んでいます。最近では、男性においても同様の老年期に入る前後の時期に、男性ホルモンの急激な減少による様々な心身の症状が出現し、LOH症候群(男性更年期障害)と呼ばれ注目されるようになってきました。
(原因)
40歳を過ぎたあたりから、男性ホルモン(テストステロン)の分泌量が減少してくるのですが、急激に下がったり、心身の負担が重なったときに生活に支障が生じるような症状が出現します。加齢が主な原因ですが、誰でも発症するというわけではなく、職場や家庭での環境の大きな変化や精神的ストレス、過労、睡眠不足、生活習慣病なども発症に強く関係するといわれています。
(症状)
女性の更年期障害と同様に多種多様ですが、疲れやすい、めまい、睡眠障害、ほてり、イライラ、不安、抑うつ、筋肉量の低下、性機能の低下などの症状が出ることがあります。
(診断)
多彩な症状が特徴なので、問診を中心に症状と経過や生活環境などについて、詳細に聴取し、補助診断的に血液検査により、血中のテストステロン値を測定します。
(治療)
血中テストステロン値が低い場合は、女性更年期障害と同様に、ホルモン補充療法が選択されます。注射、貼り薬、内服などの方法があります。共通して大切なことは、規則正しい生活習慣への改善により、心身にかかるストレスを緩和することが基本的療法となります。
(生活上の注意)
本症は発症の個人差が大きいので、普段の生活の中でストレスを随時解消できる工夫をして、心身の安定に努めたいものです。そして、心身の不調に気づいたら早めに専門医を受診することも肝要です。本疾患の受診先は見つかりにくい可能性が高いので、かかりつけ医や心療内科、総合内科などにまず相談し、場合によりそこから専門医を紹介していただくのが適切かと思われます。
2024年01月04日
(概説)
文字通り、血液の中の糖分量(血糖値)が少なくなり、そのための症状が出現する場合の症候群のことを指します。一般的には、血糖が高くなる糖尿病の治療中の患者さんが、飲み薬やインスリン注射などによる血糖のコントロールが不安定で、一時的に血糖が下がりすぎたために起こる症状です。しかし、高齢者、膵臓の腫瘍、特殊な体質などや、何らかの事情で食事などの摂取が極度に制限された場合にも起こり得ます。糖尿病の治療では、原則的には高血糖を抑える治療をしますが、コントロールが不良の場合は、高血糖よりも低血糖の方が致命的になることが多く、医療側も神経質に対応することになります。
(症状)
70mg/dl程度の低血糖になると交感神経症状として、動悸、発汗、不安、頻脈、手指振戦(ふるえ)など、更に50mg/dl程度になると頭痛、脱力、目のかすみ、眠気など中枢神経障害の症状が出てきます。更に低血糖が進むと、異常行動や意識障害や痙攣などが起こり、命も危険にさらされます。高齢者や、頻繁に低血糖を起こす方は、自覚症状が少ないまま低血糖が進む場合があり周囲の方は注意が肝要です。
(診断)
医療機関では、血糖値の測定により診断がつきやすいのですが、急に血糖値が下がった場合は、70mg/dl以上の血糖値でも症状が出ることがあり、経過観察が必要です。
参考までですが、血糖値は、食事などで常に変動していますが、正常ではおよそ80〜140mg/dl程度に収まるといった数値です。
(治療)
まずは経口的に、ブドウ糖を摂取します。意識がないなど経口摂取が無理な場合は、点滴にてブドウ糖を投与します。素早く適切な処置が行われた場合は、比較的速やかに症状は回復しますが、低血糖に至った原因を徹底的に検索し、再発防止に努めることが大切です。
(生活上の注意)
糖尿病の治療をされている方は、自宅でも血糖を測れる機器を備えておくことがよいでしょう。また、最近の夏場は熱中症になることが多く、そのために水分や糖分の摂取が足りなくなり低血糖も併発することがあります。
(余談ですが)
筆者の経験では、飛行機の中で意識が混濁した患者さんのことで医師が呼び出され、ご家族から、「持病に高血圧があるが、本日は孫との旅行が嬉しくて、朝から半日以上何も食べず飛行場に乗った」というお話をお聞きしました。もしやと思い、飛行機の備品の点滴チューブを使って糖分を補給したら元気になり、脳梗塞や脳出血でなくてよかったという印象的でヒヤリな思い出があります。