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内科

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食中毒

2005年07月25日

カルテ19

内科

食中毒

NKH「健康ライフ講座」№19

2005.7

日本機械保線株式会社 社内報


暑さの厳しくなるこの時期から秋にかけて、食中毒の発生しやすい季節です。食中毒の感染者数は30年にわたってあまり減少する兆しがありません。毎日の食事でも発生する機会は意外と多いものです。基本を押さえた正しい予防により、食中毒の被害に遭わないように心がけましょう。


原因

食中毒とは食品、その添加物あるいは食器などに起因する中毒のことです。原因物質としては、サルモネラ、腸炎ビブリオ、病原大腸菌、ブドウ球菌などの細菌のほかにも、化学物質やフグ等の自然毒などがありますが、8割以上は細菌です。

昨今、小型球菌ウィルス(ノロウィルス)による食中毒が多く報告され、注目されています。原因となる食品としては、サルモネラが肉、卵、乳製品などからの感染が多く、学校の食中毒としても頻度が高く認められます。腸炎ビブリオは生魚介類やまな板に付着した様々な食品等、病原大腸菌はサラダや肉(特にひき肉、レバー)等、ブドウ球菌はおにぎり、サンドイッチ等からの検出が報告されています。

症状・診断

細菌性食中毒は、嘔吐、腹痛、下痢といった急性胃腸炎の症状を呈することが多く、脱水の改善を目的とした十分な補液が治療の中心となります。持続する発熱、血便、意識障害などの重症化のサインを認めた場合には速やかに医療機関を受診し、入院経過観察や抗菌薬投与が推奨されます。

診断には便や推定原因食品からの培養による菌の検出が原則です。

予防と対策

厚生労働省では、家庭でてきる食中毒の予防ポイントとして以下の6つのポイントを挙げています。

  1. 食品の購入時(生鮮食品は新鮮なものを購入。消費期限の確認。肉汁などの水分を漏らさない。速やかな冷蔵・冷凍保存)
  2. 家庭での保存(冷蔵庫に詰めすぎず、目安は7割。冷蔵庫の温度は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下)
  3. 下準備(調理前、生肉や魚の扱い後の手洗い、包丁やまな板の衛生、速やかな解凍)
  4. 調理(十分な加熱~中心の温度が75℃で1分間以上)
  5. 食事(手洗い、調理前後の食品を室温に長く放置しない)
  6. 残った食品(清潔な器具、皿に小分けして冷蔵庫へ、温め直しも十分な加熱、怪しい時は食べずに捨てる)

“細菌をつけない、細菌を増やさない、細菌を殺す”を三原則に、基本をしっかり押さえた食中毒の予防に努めましょう。

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慢性肝炎

2005年01月25日

カルテ17

内科

慢性肝炎

NKH「健康ライフ講座」№65

2001.7

日本機械保線株式会社 社内報


現在200万人以上の患者数とも推定される慢性肝炎ですが、肝癌の原因ともなる肝硬変へ進行するおそれもあるため、非常に注目されている病気です。厚生労働省は平成14年度から、総額600億円の予算を投入して40歳以上のすべての成人にB型、C型肝炎の検査を実施するという対策をとっています。肝炎とはあらゆる原因による肝臓の炎症の総称で、その原因も様々です。
今回は肝硬変の原因の90%を占めると言われている、慢性のウイルス肝炎の概論を説明します。


原因

一般的にアルコールが原因と思われがちですが、日本での原因はほとんどがウイルスです。ウイルス性肝炎の中でも特に、肝硬変や肝臓癌といった重い肝臓疾患への移行率が高いのは、B型・C型肝炎です。感染源としては、ウイルスに汚染された血液の輸血を受けることや、薬物乱用者の間での注射器の回し打ち、出産時の母子感染、性行為感染などが挙げられますが、ウイルスの種類こよつて感染経路は異なります。
最近10年以内に発見されたウイルスもあり、今後の解明が必要です。病態が明らかになるにつれ、献血用血液から感染血液を除く検査が採用されて輸血後肝炎が大幅に減るなど、感染予防のための対策が進められています。

症状

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、特に慢性肝炎についてはほとんどが症状なく進行します。そのため肝癌死亡者の7割以上を占める慢性C型肝炎も、末期になるまで感染に気付かず手遅れになるケースもあります。
症状は食欲不振や疲労懲、腹部の不快感、痛れ、膨満感などです。

治療と対策

肝炎の原因によって治療方法は異なりますが、ウイルスを駆除できる、またはウイルスの増殖を抑制できる抗ウイルス剤が最新の治療として注目を浴びています。また研究の成果により、治癒率も改善されてきました。
感染経路は血液や性行為を介することが主ですので、家族への感染が心配される場合も、同じカミソリや歯ブラシを共有するなどのことがなければ、日常生活における接触で感染することはないと考えられています。

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過敏性腸症候群

2004年10月25日

カルテ16

内科・心療内科

過敏性腸症候群

NKH「健康ライフ講座」

2004.10

日本機械保線株式会社 社内報


過敏性腸症候群は、レントゲンや内視鏡などの検査で腸の炎症や腫瘍など、異常が無いにもかかわらず下痢や便秘といった便通異常を繰り返す、腸が正常に機能しない疾患です。現在のストレス社会で増加が注目されています。

原因

身体的な疲労や精神的ストレスが引き金となり、腸の運動機能や分泌機能が高ぶって下痢や便秘が起こると考えられます。

症状

下痢、便秘、腹痛、膨満感などで、主となる症状によって下痢型、便秘型、便秘と下痢を繰り返す下痢便秘交替型に分類されます。症状は、精神的要素が強く排便によって軽快する強い腹痛が特徴で、朝起きてすぐや朝食後、出かける前、電車の中などで頻回に便意があります。1回の便の量は少なく、残便感や不快感が残ることもあります。女性にやや多く、男性には下痢型、女性には便秘型が多い傾向があります。また、不安、過敏、抑うつなどの精神症状が出ることもあります。

診断

癌や潰瘍性大腸炎といった他の病気が腸に無いこと、下痢や便秘、排便により軽快する腹痛の症状があること、症状が3ヶ月以上繰り返し起こるといったことから診断されます。

治療と対策

もっとも重要なのは、生活環境やライフスタイルの改善です。過労や精神的ストレスを避けて、規則的な食事や生活リズムを整え、じっくりとセルフコントロールしていくことが必要です。

症状のかいぜんには時間がかかりますが、症状の完全な消失を求めるよりも症状があってもやっていけるという受け入れが大切です。下痢、便秘、腹痛などの症状に対しては、対症療法として消化管の運動を調整する薬や漢方が使われます。うつ病やパニック障害を合併していることもあり、抗不安薬なども併用されます。自律訓練法の指導により不安、緊張を軽減させたりカウンセリングにより原因となっている精神的ストレスの解消を試みることも有効で、1人で抱え込まずに相談相手をもつことが重要です。

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肺炎

2004年07月15日

カルテ15

内科

肺炎

NKH「健康ライフ講座」№63

2004/7/15

日本機械保線株式会社 社内報


肺炎は、いろいろな病原体が肺へ感染して起こる、肺の炎症の総称です。主な感染経路は気道ですが、他部位の感染巣から血液の流れに乗って病原体が肺組織へ侵入し発症する場合もあります。特に高齢者や糖尿病、癌などの基礎疾患を有する 患者さんが発症した場合は、病原体が血液を介して全身に広がる敗血症という症状という状態を引き起こすなど、致命的になることがあります。肺炎を起こす病原体としては、細菌のほかにウイルス、マイコプラズマ、レジオネラ、クラミジア、原虫、真菌(しんきん)などがあります。


○症 状○

多くの場合は発熱、全身のだるさ、咳、色のついた痰などの風邪症状に引き続き、呼吸困難、胸痛、特に重症な場合はチアノーゼや意識低下などが認められます。発熱も多くの場合39度異常まで上がります。しかし高齢者や体力の低下した人では、無熱性肺炎といって発熱が軽微なこともあり注意が必要です。軽い症状であれば自宅での治療も可能ですが、呼吸困難や40度以上の発熱、悪寒、頻脈、意識低下、チアノーゼ、胸痛などを認める場合は少しでも早い入院治療が必要です。

○診 断○

症状および胸部のレントゲン写真によって行います。また血液検査での炎症性変化の所見(白血球数増加、CRP高値など)があればより確かとなります。診断の確定のためには病原菌の検出が必要になり、痰の細菌培養や血液検査による抗体(特定のウイルス、マイコプラズマ、レジオネラなどを対象)などの検査を行います。診断において最も重要なのは、結核や癌に合併する肺炎と鑑別することです。

○治療と対策○

治療は、全身管理および症状に対する対症療法と、原因となっている病原体に対する薬物治療からなります。全身管理においては特に水分および栄養補給、安静、加湿が基本となります。入院治療が必要な場合はさらに心拍数や呼吸、体温、血液中の酸素濃度などをみながら点滴、酸素投与、人工呼吸管理などを行います。

薬物治療については、原因となっている病原体によって薬が使い分けられます。多くの場合、病原体によって薬が使い分けられます。多くの場合、病原体が判定される前に抗生物質の投与(軽症であれば内服薬で、中等~重症の場合は点滴)がなされますが、病原体によっては特殊な治療を要するため、診断が重要です。例えば、近年、循環式浴槽水やシャワー、ホテルロビーの噴水などを介した感染・発病が報告されているレジオネラ肺炎や、若年に多く集団感染としても注目されることの多いマイコプラズマなどは、通常の抗生物質では効果が得られないため、正確な診断のもとに治療をしなければ悪化してしまうことがあります。

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インフルエンザ

2004年04月25日

カルテ14

内科

インフルエンザ

NKH「健康ライフ講座」

2004.4

日本機械保線株式会社 社内報


総論

インフル工ンザは毎年日本において11月から3月にかけて流行を起こす。世界的にも最も罹患(りかん)率の高いウイルス感染症です。ヒトのインフル工ンザウイルスには、A・BおよびC型の3種類が存在しますが、臨床的にはA(A香港型とAソ連型)とB型が問題となります。

普通の風邪と異なり、急激な発熱や関節痛やだるさなど強い全身症状を特徴とし、乳幼児や高齢者、もともと病気を持つ人がかかった場合、重症化して肺炎や脳症などの合併症により死に至ることがあります。

症状

悪寒を伴う38~40度の高熱、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛などの全身症状が強いことが特徴です。さらに同時期または少し遅れて咽頭痛、鼻汁、咳、頭痛などの症状も見られます。潜伏期は1日~2日で、合併症を併発しなければ症状は約1週間で軽快します。

診断

地域内においてインフルエンザの流行があり、上記の症状が急激に認められた場合、臨床的にインフルエンザの可能性は非常に高いと考えられます。確定診断にはウイルス学的検索が必要ですが、近年簡便な確定方法(EIA法)が開発され、A・B型ともに診断可能なインフルエンザ診断キットがあれば、外来にて20分以内で診断ができるようになりました。

治療と対策

予防には、インフルエンザワクチン接種が最も有効で、特に高齢者ではワクチン接種により、入院日数や死亡率を大幅に改善できることが報告されています。

発症した場合は、安静・保温・保湿などの対症療法に加えて、発病48時間以内であればインフルエンザウイルスの増殖を抑え、病気の期間と症状の重さを軽減する抗ウイルス薬の服用が効果的です。現在用いられている薬には、A型インフルエンザにのみ有効なアマンタジン(シンメトレル)とA・B型の両方に有効なノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル・リレンザ)があります。

鳥インフルエンザについて

鳥インフルエンザウイルスはヒトのインフルエンザウイルスとは異なったウイルスです。鳥インフルエンザは、店頭での生きたニワトリの小売りが一般的な地域での発生がほとんどで、今のところヒトからヒトヘの感染が確定された事例はなく、鶏肉や鶏卵からの感染の報告もありません。特別な予防法はなく、現在使用されているヒトインフルエンザワクチンも効きませんが、上記の抗インフルエンザウイルス薬は鳥インフルエンザにも効果があるといわれています。

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慢性胃炎・胃もたれ

2004年01月25日

カルテ13

内科

慢性胃炎・胃もたれ

NKH「健康ライフ講座」

2004.1

日本機械保線株式会社 社内報


総論

慢性胃炎は、胃酸の分泌などに関与する胃の粘膜が薄くなって、本来の胃の機能が低下した状態を言います。通常、食べ物は胃液の分泌と胃の蠕動(ぜんどう)運動により2時間から3時間程度の間に消化されますが、ストレスなどによって胃の働きが悪くなると消化するのに時間がかかり、食べ物が長く胃にとどまることにより胃もたれやむかつきの原因となります。

原因

暴飲暴食、香辛料、カフェイン類の摂り過ぎ、喫煙、不規則な生活、ストレス、また鎮痛剤など、ある種の薬剤などが引き金となって起こりますが、胃・十二指腸潰瘍や胃癌などの病気に伴って起こることもあります。
胃粘膜の萎縮は、加齢や、胃の粘液の中に生息しているヘリコバクターピロリ菌が作りだすさまざまな物質によることもわかっています。

症状

胃酸の出すぎによる胃痛、胃の運動機能低下による胃もたれや嘔気、食欲不振などを認めます。その他胸焼けやげっぷ、症状が長く続くと不安感などを認めることもあります。

治療と対策

まずは食生活や生活習慣の見直しが大切です。暴飲暴食をつつしむだけではなく早食いや不規則な食事を避け、辛いものなどの刺激物、タバコやアルコールの摂取量に注意する必要があります。症状が持続する場合には、消化器内科を受診することをおすすめします。胃の造影検査でも胃粘膜の状態はある程度はわかりますが、一番確実なのは内視鏡検査(胃カメラ)で胃粘膜を直接観察することです。
医療機関の処方する薬は強力に胃酸分泌を抑えるH2ブロッカー、プロトンポンプ阻害剤といわれるものが主流で、とてもよく効くため胃潰瘍や十二指腸潰瘍にまで進むことも少なくなりました。市販薬を選ぶときは胃痛には酸分泌抑制剤、胃もたれには胃の蠕動運動を活発にする薬や胃の緊張を和らげる効果をもつ薬を選びましょう。
一時的に内服薬で改善しても服薬の中止により再び症状を認める場合は、ヘリコバクターピロリ菌に対する特別な治療が必要であったり、または癌などが原因となっていないかの確認が大切になります。

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糖尿病

2003年10月25日

カルテ12

内科

糖尿病

NKH「健康ライフ講座」

2003.10

日本機械保線株式会社 社内報


総論

現在わが国では約600万人の糖尿病患者がいると考えられ、特に40歳以上の国民ではその10人に1人が糖尿病であるといわれています。糖尿病は自覚症状がないだけに、治療がされないまま放置されることが多く、悪化してからでは厳格な食事制限やインシュリン注射治療など、苦痛を伴う治療を余儀なくされます。“境界型”“糖尿病予備軍”と診断された段階で、病気の重要性を自覚することが大切です。

原因

糖尿病は血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態が持続する病気です。膵臓から分泌されるインシュリンという、食物中から吸収されたエネルギーを体内の細胞にとりこみ、血糖が一定値以上に上昇しないように作用するホルモンの働きが弱くなることが原因となります。これは細胞内には必要なエネルギーが取り込まれずに枯渇しているのに、血液中のブドウ糖濃度は高いままという状態で、高血糖が血管や神経を障害するため様々な合併症を起こします。糖尿病は遺伝的な体質に加え、暴飲暴食、ストレスなどの生活環境が引き金となって発症します。

症状

自覚症状がないのが特徴で、口の渇き、多飲、多尿、だるさ、体重減少、目のかすみ、手足先のしびれといった症状を認めたときにはかなり進んだ状態であると言えます。極度の高血糖を放置しておくと、意識を失って倒れてしまう昏睡状態におちいることもあります(糖尿病性昏睡)。

診断

尿検査だけで糖尿病と確定することはできず、必ず血液検査を行います。糖尿病の程度を知る検査としては、合併症として腎臓病を調べる尿中蛋白定量検査、網膜を調べる眼底検査、神経障害を調べる自律神経機能検査などが挙げられます。

治療と対策

糖尿病の治療は食事療法、運動療法と生活習慣の改善がまず基本となります。糖尿病は残念ながら治ることはなく、進行を止める事が目標となりますので、無理な食事制限と挫折を繰り返すよりも継続性を重視したプログラムが有効です。また、様々な合併症の予防のために、症状がなくとも定期的な診察、検査を受け、未然にコントロールすることが重要です。

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サーズ(SARS)

2003年07月25日

カルテ11

内科

サーズ(SARS)

NKH「健康ライフ講座」

2003.7

日本機械保線株式会社 社内報


SARSウイルスによる重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome:SARS)の感染は「制圧状態に近づきつつある」(世界保健機関:WHO)ものの未だ治まらず、世界的な脅威となっています。
今回はSARSについて現時点でわかっていることをまとめてみました。


原因

原因となる病原体はWHOにより新型のコロナウイルスであると決定され、「SARSコロナウイルス」と名付けられました。コロナウイルスは顕微鏡で王冠のような光冠(コロナ)の形に見える一群のウイルスで、風邪の原因ウイルスとして知られています。

症状

主な症状は、38℃以上の発熱、咳、息切れ、呼吸困難などで、胸部レントゲン写真で肺炎または呼吸窮迫症候群の所見(スリガラスのような影)が見られます。ただし、これらの症状は通常の肺炎と区別がつきにくいので、SARS流行地域への渡航歴が重要になります。主要な感染経路として咳やくしやみを介する飛沫感染が想定されていますが、接触感染(分泌物、排出物などに含まれるウイルスが付着した手で、目、鼻、口等を触ることによる感染)など、その他の感染経路も否定されていません。潜伏期間は2~10日程度と言われています。

診断

新しい感染症であり、まだ完全にその全貌が明らかになったわけではありませんので、明確な定義はありません。現状では症状と渡航歴から疑い症例を判別し、確定診断のためには専門の医療機関で病原体検出や血清検査などの特殊検査が行われています。

治療と対策

SARS流行期間中の海外旅行については、地域内伝播が確認されている地域の把握など情報収集が大切になります。また、体調が良くないとSARSに対する抵抗力が低下しますので特に注意か必要です。
WHO西太平洋事務局などでも公衆の場でのマスクの着用は推奨しておらず、我が国においても国内での感染が確認されていない現在、SARSの感染予防としての健常者のマスクの着用は必要ないと考えられます。

● SARSに関しての問い合わせは保健所で受け付けています。

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花粉症

2003年01月25日

カルテ9

内科・耳鼻科・眼科

花粉症

NKH「健康ライフ講座」

2003.1

日本機械保線株式会社 社内報


症状がひどいと日常生活に大きな支障をきたし、現代病としても注目されている「花粉症」。最近は日常生活で花粉を回避する習慣を身につけたり、薬剤を上手に使うことでコントロールが可能になりつつあります。

原因

花粉症はアレルギー反応によって起こります。原因植物は大きく樹木と草花に分けられます。樹木としては、日本での原因のほとんどを占めるスギを始め、ヒノキ、ハンノキ、ブナ、マツ、イチョウなど、草花はカモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、オオアワガ工リ、カナムグラなどが挙げられます。地域によって原因植物は異なり、花粉の飛散時期も異なります。1種類の花粉にだけ反応する人はむしろ少なく、スギ花粉症患者の60%の人がヒノキの花粉にもアレルギーを示したとの報告もあります。発症には、アレルギー体質(遺伝)、大気汚染、ストレスや過労が関係します。

症状

主に鼻症状と眼症状が中心です。

鼻は発作的なくしゃみや水っぽい鼻汁、鼻閉(鼻づまり)など、眼はかゆみや充血、まぶたの腫れといった症状が挙げられます。このような症状が特定の季節に繰り返し起こります。

診断

花粉症を疑った場合、内科か耳鼻科、もしくは眼科で診断を受けましょう。診断は、鼻や眼の症状のアレルギー性と原因花粉をつきとめることの両方からなります。ポイントは症状、発症時期、分泌物の検査、皮膚反応検査、血液検査などです。

治療と対策

一般的な花粉症の治療としては、眼鏡やマスクなどを用いた花粉の回避、薬で症状を和らげる対症療法です。特に、抗アレルギー剤を花粉が飛散する時期に入る2週間くらい前から予防的に投与し、アレルギー症状を軽減させる方法が有効です。

飛散開始の予測がポイントになりますが、スギ花粉の飛散時期に関していえば、たいてい早い所でも2月の半ばから。2月の初旬から薬の投与を開始すれば間に合うようです。

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食中毒

2002年07月25日

カルテ7

内 科

食中毒

NKH「健康ライフ講座」

2002.7

日本機械保線株式会社 社内報


人に有害な細菌やウイルス、その他の有毒物がついた飲食物を摂取した結果起こる急性の胃腸障害のことを、食中毒と言います。

原因としては細菌性のものが多く、夏場に集中する傾向があります。

原因

原因となる細菌には菌そのものが障害を与える感染型としてサルモネラ菌、腸炎ピブリオ菌、病原大腸菌、菌の産生した毒素が障害を与える毒素型としてはブドウ球菌、ポツリヌス菌などが代表的です。

近年、病原性大腸菌の1つである腸管出血性大腸菌(O-157)が原因の食中毒が多発しマスコミなどを通じ、一般人もその恐ろしさに怯え、社会問題となっています。

O-157による食中毒は、産生されるベロ毒素により尿毒症をきたし、致死率が高いのです。また、冬場の集団食中毒として小型球形ウイルスが注目を集めています。急激な嘔吐と下痢が主症状で重症感が強いですが、数日以内に自然治癒する予後の良い感染性胃腸炎です。

症状

比較的急激な嘔吐、腹痛、下痢がみられます。感染源の菌の種類により発熱、血便がみられることがあります。

診断

特徴的な症状と因果関係が推定される食物、また集団発生など複数の患者が同時に発生することなどから診断されます。

治療と対策

万一、食中毒になったら、すみやかに内科の専門医がいる病院を受診してください。

治療では下痢や嘔吐による脱水の治療のための輸液療法が優先されます。原因となる菌が判明すれば、それに対する抗生物質などを投与します。O-157などの特殊な強い菌の場合は、特別な治療を要します。

対策としては何よりも、原因となる細菌やウイルスを体内に侵入させないことです。生ものは鮮度に注意し、日頃からのまめな手洗いを実行することも食中毒になる確率を大きく低下させます。

食中毒の集団発生などの情報に注意を払い、疑わしい時は生ものをよく加熱調理しましょう。ただ、毒素型の場合は、加熱をしても効果がない場合があります。

いずれにしろ、菌に対する抵抗力をつけることが重要ですので、日頃から快食、快眠、快便を保ち体力を温存しておくことです。

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インフルエンザ

2002年01月22日

カルテ5

内科

インフルエンザ

NKH「健康ライフ講座」

2002.1

日本機械保線株式会社 社内報


鼻やのど(専門的には上気道と呼びます)の粘膜に炎症を起こす感染性の病気を総称して「かぜ症候群」、「感冒」と呼びます。

原因としては、数十種類のウイルスがあるとされており、その代表的なもので、比較的強い症状を引き起こす「インフル工ンザウイルス」により発症する病気のことを、一般の「感冒」と区別して「インフル工ンザ」と呼びます。

原因

「インフル工ンザウイルス」は大きく分けてA型、B型、C型の3種類がありますが、集団発生や劇症型の新型などは、ほとんどA型です。ここ数年、日本でも集団発生が多く見られるようになったことと、劇症型の新型ウイルスの登場で、とみに社会的な問題と考えられるようになってきました。

症状

主な症状は発熱、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などです。比較的急に症状が現れ、たいていの場合は1週間程度で軽快します。とはいえ、小児や高齢者や体力の弱った人が「インフル工ンザ」にかかると、肺炎や脳炎などに発展することもあります。そうなると激しい咳や痰、頭痛のほか、全身衰弱、意識障害などが見られます。

治療

一般的に、ウイルスに効果的な薬はほとんどなく、「感冒」にしろ「インフル工ンザ」にしろ対症療法が中心でした。

しかし、最近の医学の進歩により、「アマンタジン」というバーキンソン病の薬が「インフル工ンザ」にも効果があるということで、1998年、日本でも認可になりました(「アマンタジン」はA型のみに効果的なことと、副作用などで、まだ日本では一般的な治療法ではありません)。

また、2000年より「リレンザ」というA型にもB型にも効く択ウイルス剤が日本でも承認されています。

予防

予防法としてワクチン接種がありますが、1994年以来任意摂取となり、摂取率は5%程度です。しかし、1998年度のインフル工ンザの集団発生などの教訓からか、1999年度の冬は350万人分のワクチンが早くから底をつくという現象が見られました。

一般的な予防法としての、「栄養、睡眠に気遣い、うがいや手洗いを励行する」ということは、地味ではありますが、基本的でかつ効果的な予防法でしょう

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夏ばて

2001年09月22日

カルテ3

内科

夏ばて

NKH「健康ライフ講座」

2001.9

日本機械保線株式会社 社内報


今年は残暑もきつく、「夏ばて」で体の調子を狂わせている人も多いことでしょう。夏の疲れを取り去り、気持ちよい秋を迎えるため、今回は「夏ばて」についてお話しします。

原因

暑さにより、体内の水分調整が狂うことが主な原因です。汗をかくことで体外に放出される水分や電解質の量が、吸収される水分や電解質の量を超えてしまうのです。

また、暑いと消化機能が低下し、本来必要とする栄養素が不足します。そうなるとますます食欲がなくなる、といった悪循環が生じます。蒸し暑さによる睡眠不足も追い打ちをかけます。

症状

そもそも「夏ばて」は厳密には医学用語ではなく、夏期に食欲がなくなり、身体がだるく、何もする気がおこらないといった状態を指す言葉として一般化しているもの。血液検査や尿検査をやっても正常範囲で、いわゆる「病気」という範囲に入らないものを指すことが多いです。

対策

原因から考えてもわかるように、こまめな水分補給が必要です。この「こまめ」というところが大切です。

冷たい飲み物ばかり一気に摂取すると、吸収されずに、胃ばかりが膨満して胃酸も薄まり、食欲をさらに低下させてしまいます。夏場は、少しずつ水分補給を行うことが正解なのです。あまり冷やさずに、体温に近い温度のもののほうが吸収しやすいので、喉の乾きをいやすための冷たい飲み物と、水分補給用の生ぬるい水分を区別して摂取するのも1つの方法ではないでしょうか。

不足しがちなビタミンを補給するベく夏野菜や果物をしっかり食べることが、夏ばて防止の第2の戦略となります。

消化機能を整えるオクラ、利尿作用を持つきゅうりやスイカ、免疫力を高めるビタミンAの豊富なピーマンやかぼちゃ、胃液の分泌を促進するトマトなどは夏ばて防止の力を兼ね備えています。

また、消化機能を向上させるために香辛料も上手に使いましょう。香辛料は胃液の分泌を活発にして食欲を増進させます。

第3の戦略としては、良質な睡眠をとるように工夫することです。クーラーをつけっぱなしで眠らない、アルコールを飲みすぎない、起床時間を-定にするなど、睡眠の基本を守りましょう。

こうして考えてみると、健康の3種の神器「快食」「快眠」「快便」にことさら留意することこそ、夏ばて対策の秘策だったわけです。

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熱射病

2001年07月22日

カルテ2

内科 ・救急診療部

熱射病

NKH「健康ライフ講座」

2001.7

日本機械保線株式会社 社内報


暑いい夏を迎えました。こんな厚い時でも皆さんは、炎天下や熱帯夜に働くことがあると思います。そこで気をつけたいのが「日射病」です。
俗に「日射病」と呼ばれるものは、比較的軽度な「熱疲労」と、ときには致命的な「熱射病」「熱けいれん」などに分類されます。
今回は、主に「熱射病」について説明しますので、勉強して予防しましょう。

原因

高温の外気に長時間さらされると、効率的に汗をかいて放熱する機能が追いつかず、体温調節機構が破綻します。その結果、40度を超える体温の上昇となる状態をいいます。非常に致命的な病態といえます。

症状

自覚できる初期症状に頭痛、めまい、倦怠感などがあります。汗の量はむしろ減少し、脈拍は増加します。血圧は低下し、筋肉のけいれんを起こしやすく、意識障害が生じます。体温は急速に40度から41度くらいに上昇します。
状況からほとんどの場合、診断は容易です。

治療と対策

すみやかな診断と治療が生命予後(生きるか死ぬか)を大きく左右します。身体の冷却と輸液による電解質の管理が重要です。水やアルコールで濡らした布で体をくるんだり、扇風機や氷により冷却します。数分ごとに体温を測り、体温が急激に38度以下に降下しないよう注意します。けいれんに対しては、安定剤の注射などを行います。治療が遅れ、長時間、脳障害や腎障害が続くと、永続的な障害が残ることになります。

対策としては、高温多湿のところでの激しい運動を避けることにつきます。そういった状況では帽子や日傘、スポーツドリンクなど継続的摂取等の対策を十分行い、疲労、脱力、びっしょりの汗といった「熱疲労」の段階で十分な休息と塩分、水分摂取を心掛け、急に汗の量が減ったり、体温上昇、意識の低下が見られたら、すぐに病院に連絡を取れるようにすることが大切です。

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