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鉄門ゴルフ交流で感じること

数年前から東大医学部の同窓(鉄門倶楽部と呼んでいます)のゴルフ交流会の常任幹事を務めている。50年以上も続いている伝統ある交流会である。初代幹事が清水健太郎(故人)というとても高名な外科の教授であったと聞けば、50歳以上の医師であれば「むむっ、そんな昔から、、」と思うかもしれない。まあ、それほどの歴史あるゴルフ交流会なのだが、顔ぶれはそうそうたるもので、その場に爆弾でも仕掛けられると日本の医療の未来にも影響するのではと、幹事としてはいつもびくびくしている。
そんな中で、先輩や後輩達と交流していて常に思うことは、「医療に対してなんと真摯な姿勢で日々の活動をしているんだろう」と感服することである。よくゴルフをしていると「仕事をしていないね」などと言われるが、僕が思うに「出来る人は何に対しても熱心だ」ということだ。ゴルフに限らず何についても同様であろう。
東大卒の人は、あまり群れることがなく、他の大学に比べて母校愛も少ないとよく言われるし、同窓生と話しても「そうだね」となることが多い。
僕は、関西人のまま一生を過ごそうと高校生半ばまで思っていたのに、結局東京に来てしまった。しかし東大で学んで本当によかったと思っている。その最大の理由(といっても唯一ともいえるのだが)は、同窓仲間だ。人間性だけで仕事仲間を選べば、ほぼ間違いないからだ。優秀であるかどうかは気にかけなくていい。東大の医学部に来る人は、少なくとも受験勉強という狭い範囲においては優秀なことは、既にお国が選別してくれているからだ。そんな優秀な人が、人間性が真っ当であれば、医師として恥じない勉強やトレーニングを十二分にしているはずだから、大切な患者さんを託して間違いのない医師であることになる。
僕は、医師評価の方法論として、一般に言われているような、患者評価、医師評価、その他の医療スタッフ評価、マスコミ評価に加えて、同窓同級生評価を主軸にしている所以である。誤解を避けるため断っておきたいが、逆は必ずしも真ならずで、優秀で人間性のある医師は全国どこにでもいる。たまたま僕は身近なところでコネクションを築いているだけである。
実は、7、8年前までは、ごく親しい医師仲間との交遊以外、僕は医師の集まるコンペにはあまり参加していなかった。休日は、医療関係者以外の交流を深める時間としたいと思っていたからである。その分、いろいろな病院の勉強会などに積極的に参加したり、先輩諸氏の務める病院へ表敬訪問をしたり、医学書の共同執筆をさせていただいたりして, 専門医とのコネクション創りに力を入れてきた。その集大成をTerra Doctor Connections&Allianceと呼んでいる。ただの情報やネットワークではなく、直接的人間関係があるので「Connections」と呼び、患者さんの受け入れをお願いして了解頂いているので「Alliance」と呼んでいる。そんな「Connection」を固めるためにゴルフ交流をとても重宝している。ゴルフでなければ、一日を一緒に過ごすことは滅多にない。本音を聞けたり、無理を頼める仲が生まれていくのである。
読者の皆様に伝えておきたい。使命感に燃えて、きちんと任務を遂行しているまともな医者はたくさんいるということを。東大、京大、慶応をはじめとする最高学府出身の医師は特に傲慢で生意気と思われがちだが、僕の狭い範囲の交流体験では意外と謙虚であるが自信に満ちた愛すべき人たちが多い。「傲慢」と決めつけないで、暖かく真摯な目で見守ってほしい。母校や教鞭をとった大学に比べて他大学出身の医師にお会いできる機会は比較的少ないが、僕の知る限り概して本当に優秀な人程謙虚で使命感に熱い。
日本の医療を支えるために、そんな医師たちにエールを送ってほしいと願っている。

作成:2008/11/06

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