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東北関東大震災に教えられたこと11 計画停電に思う。魂を売るな、日本の建築家2011/3

「このくらいの暗さ、静けさ、肌寒さもいいかもしれないね」

周囲の人たちや、テレビの中でもこのような声を多く聞きました。今まで、平気で電気を使いまくり、場所によっては夜か昼の区別がつかないくらい。六本木や新宿などでは、昼より夜の方が明るく感じられるくらいでした。

多くの人々が「やりすぎていたなあ」と反省しているように伺えます。

しかし、これも時間が経てば忘れ去られていくのだろうなあ、とも心配しています。

幸い僕の事務所や自宅は計画停電の区域に入っていませんが、感謝の意味を込めながら、暖房をはじめ、便座暖房は勿論、自然に点く門灯なども切り、部屋の電気も暗めにしています。自宅はいいのですが、事務所やクリニックの暖房や照明では患者さんやお客さんに迷惑をかけることになりますが、ほとんどの方々は「当然ですよ」と力強く言ってくれます。このようなことが東京のあちこちでも起きているのだったらいいなあと思っています。

 

僕のいる飯田橋では、都内の最後と言われている大規模再開発工事が始まっています。旧東京警察病院をはじめとする大規模ビル(なかにはまだまだ十分に使用できるものも多い)を連日取り壊しています。今も、その解体のための音が聞こえてきます。この10日間、その光景を見るとなんとも切なくなります。東北地方では、家が自然に破壊されたというのに、ここでは、何千何万人と住めるようなビル、マンションを大勢の人手を使って壊しているのです。いずれの解体ビルもあの津波でも倒れそうもないしっかりしたものばかりです。

そして20個以上のビルのあとには、何が出来るのでしょうか?

なんの意外性も無い、マンネリとも言えるくらいですが、またもや超高層ビルが2本建ちます。建築工学の進歩で、彼らは超高層にした方が土地の利用効率がいいといいますが、僕は真っ向から反対です。人間の感性としても、医学的立場からでも。高層ビルは電気消費の塊です。エレベーターがないと身動きすら出来ません。もしかすると単位面積あたりの電気効率は高層ビルがいいと、専門家の反論があるかもしれませんが、その人は人間失格の専門家だと思います。科学的効率だけで人は語れないからです。

東京にこれ以上高層ビルが必要でしょうか?常識的に考えて誰もが判断できるのではないでしょうか?土地を有効活用して、儲けることばかりを考える不動産開発の人々、それに魂を売ってしまう建築家や建設会社。古い建物を大切にするヨーロッパの町並みを綺麗だと言っている建築家たちが、このようなことを容認するどころか、競って設計コンペに参加しているのかと思うと情けなくなります。我々凡人が何を言っても駄目です。心ある力ある建築家が連合して、このような流れにストップをかけてみませんか?

 

しかし、あきらかに「やりすぎ」です。

良識ある日本の建築家を信じています。 

医師たちの間で「手を抜かない」「あきらめない」「やりすぎない」をモットーにする活動をしていますが、いろいろな分野でも共通すると思います。僕は医学の世界で頑張ります。他の分野で賛同して頂く方は、ご自身の分野で頑張ってください。頑張る人がいないと世の中住み良くなりません。勿論、頑張らない人がいてもそれも人生だと思います。

作成:2011/03/23

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