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200408コロナが教える人の道24 緊急事態宣言の考え方

ついに日本でも緊急事態宣言がでた。そのタイミングや内容などに国内外から賛否両論の意見も発出されている。感染予防という観点からは出せるカードは全部出すことはベストであろう。しかし、政治や経済や生活の観点から見れば、なるべく最低限のカードにして欲しいであろう。
欧米のように、完全封鎖で罰則があるような「国家命令」なら、国民側としては従うしかなくその場合は迷いはない。日本の現状のように個人の考えを大切にしながらの国の舵取りは極めて難しい。知事や総理でなくてよかったと大胆にも、つい思ってしまう。

医療決断支援の仕事をしていると、重大な決断はとてつもなく困難で苦しいことであることを理解できるし、自らも日々体験している。ある決断をしようとしても、他の選択肢が気になるし、選ぼうとしている決断の副作用が気になる。そんなことで、決めかけても心は揺れる。周囲のものも、本人のことを思ってはいるが、若干無責任にいろいろ助言をするから、決断はさらに揺らぐ。この繰り返しである。そのような迷う医療決断の支援が僕の任務だ。その経験からいくつかの原則を発見した。
「結果からみて、過去の判断や決断の評価をする」ことは、我々医療判断の専門家としては判断力のレベルアップにはなる。しかし、決断する人にとっては何度も繰り返す場面でもなく、滅多にない一生の一大事の重要判断決断で迷いに迷っているのだ。その上でやっと選んだ選択の決断の結果、思わしくない結果が生じたら、一生後悔することになる。大体から、それほどの重要な決断を要するときというものは、いずれの選択決断を選んだにしろ、厳しい結果が待ち構えているのである。
今のコロナ危機も同様である。
「将来の結果から今選んだ決断を自他ともに責めることはしない」「決断する時は、熟考した上で後悔しない<この選択がベスト>という強い気持ちで行い、その上での持てるカードを最大限活用する」ということが大切である。もう一つ、決断を悩む時は、複数の重要な「要素」があり、ある「要素」はこちらが大切で、別の「要素」ではあちらで、、、、ということで行ったり来たりと決められないことが多い。そんな時は、まずそれぞれの「要素」の優先順位を決めてから、2番目以降の「要素」で、選択肢を固定できるものは固定して考えていくことだ。
今のコロナ危機で言えば、要素は「感染予防治療」「個々の生活」「国としての経済」の3大要素がある。それぞれの「要素」は、「あちらがたてばこちらがたたず」となる。大抵の困難な決断にはつきもののことである。医療者から見れば「感染予防治療」が最重要であり、個人や経営者から見れば「個々の生活」、政治家から見れば「国としての経済」がそれぞれ重要となる。そして、それぞれの立場から意見を戦わせて、落とし所を探していくことになる。しかし、なかなかひとりで決められないから、スッキリとはいかない。
現状では、こういうことを分かる人は判るのだから、「命最優先」というほとんどの人が反対はできない大命題を錦の御旗として、リーダー(総理ということになるか?)がえいやっとやり、責任を一手にになって決断するしかない。多少、気の毒な気もするが、一国のリーダーたるものは、国民、特に弱者を身を張って守ることが本来の使命ではないだろうか。そんな格好いい尊い使命を誰もが持てることができない。周囲のお友達の利益を誘導するために総理を目指したのではあるまい。

閑話休題、現実的な話に戻ろう。様々な自粛要請を受けて、我々国民は具体的にどのように行動していくか?
「ウイルスは勝手に拡散しない、人から人へ、直接または間接的に」「理論上は、1ヶ月全国民が個室に閉じこもればコロナは撲滅する」というのが大原則(セントラルドグマ)である。そこから行動を考える。
いつも会っている家族や身近な人(その人の行動がほぼわかる人)以外には極力お互いに接触しない。
複数の人が触れたものを触った場合は手洗いをまめに行う。

たったこれだけのことを、それぞれの人にあった方法で実行するだけのことである。

しかし、人のふれあいがないとストレスがたまるし、長期戦となると生活が虚しくもなる。
上記の大原則を守りながらもできることは結構ある。
散歩、ジョギングは一人や夫婦などで行うことは問題ない。(ゴルフなども、車で行って、レストラン、ロッカー、風呂など使わずに終わればすぐ帰ればリスクは低そう!。)
映画が好きな人は、映画館には行けないけれど、自宅で見ることはできるので、映画館のような雰囲気を作り(携帯を切り、少し部屋を暗くするなど)ポップコーンを食べながら見る。
(僕も、好きな映画、ゴッドファーザーなどを見直した。結構再発見がある)
今まで気になっていた小説などをまとめ読みする。(こんな機会がなければ、一生読めなかった!)
意外と面白いのが「オンライン乾杯」いつも飲み歩く仲間とビデオ通話で複数人で繋がりながら、一杯やると、また新鮮な面白味もある。

そうは言っても、実際に触れ合いながら語らう有り難さはしみじみとわかる昨今。その時のための話題を書きだめしておくことにする。
 

作成:2020/04/08

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