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200409コロナが教える人の道25 自粛要請 休業補償 痛み分けの精神

「ウイルスが教える人の道」とは読み人知らずであるがよく言ったものだ。昨日の朝日新聞の1面記事で、社会学者の大澤真幸さんのインタビュー記事も興味深かった。朝日新聞のサイトで今の時期に限って無料で見られるからぜひ読んで欲しい。そして深読みして欲しい。この紙面で内容を紹介することは割愛する。

今、テレビの報道番組などで話題になっている「自粛要請と休業補償」の問題。零細な個人経営の飲食店などの悲鳴が聞こえてくる。テレビなどで紹介されているのはごく一部であろうから、その間接的影響も加味すれば、実態は計り知れない。半年前に、息子が一時赴任していたこともあり、2週間ほど滞在していたパリは一体どうなっているのだろうかとの思いが脳裏をよぎる。有名店より、街中の小さな地元に愛されているお店が好みの僕にとって「あの小さな店は無くなっていないだろうか?」と案じてしまう。欧米での対応は生やさしい自粛どころではないようだ。それでも1ヶ月頑張って、感染者のピークを抑え、やがてはいろいろなものが復活していく姿が想像される(そうあって欲しいと願う)。

日本のこの自粛の状況を見ていると、確かに業種によるばらつきは多い。かえって増収になっている業種もあるようだ。個人飲食店などは、「家賃と人件費」により潰れる瀬戸際のところもある。誠に不公平な状況である。国や自治体の保障も確かにそのやり方が難しいのであろう。本当に逼迫しているところに助成をしたいが、そのやり方が難しい。ゆっくり考えられるならいいのだが急を要する。誰かが提案していた「自己申告でも何でもいいから、とりあえず助成する。そして来年の確定申告でもいいから、落ち着いてからきちんと精算する」というやり方が一番現実的かと思うが、政府からそのような発案は今のところない。「より弱者を救済し、社会全体の健全化を目指す」のが政治の大きな役割の一つである。そもそも僕は個人的には「ふるさと納税」などには反対で、一度も利用したことはない。明らかに富裕者や高給取りを優遇するあのような制度を堂々と進めている政府や自治体の公平性や公正性の欠如に呆れ返っているからだ。

全国民的危機の今現在、国民は一致団結して立ち向かわなければならない。「自分たちは自粛要請対象業種にならなくてよかった」と思っている場合ではない。各自、できることを最大限にするべき時だ。「痛み分け」の精神がこの危機に立ち向かう基本だ。みんな我慢すれば、国民は納得して我慢できる。「なぜ自分だけ?」と思うと不安が怒りに変わっていく。
具体的な話に戻ると、自主休業するのはいいが、家賃と人件費がのしかかる。解雇だ、休業手当が出ないなど人件費の問題を取り上げる報道が多いが、東京など都会では、前者の「家賃」の圧迫が多い。痛み分けの精神なら、まずこの家賃の支払い免除要請をするべきであろう。一般的に考えて、場所を提供している不動産所有者は、余裕があることは自明である。税金は納税延期を決めている。(できれば休業中に按分して納税免除もするべきであろう)税金と家賃をなんとかすれば、経営者は無理をしてでも従業員の報酬を半額でもいいから捻出できる可能性は高くなる。これで「痛み分け」の構造が出来上がる。現に、老舗の店で、自社ビルで営業するお店は、一、2ヶ月店を閉めてもなんとか持ち堪えられるところが多い。

元々現政権に対し、「弱者には形式的な救済」「富裕層にはお友達としての優遇」を感じ取ったから国民は反感を持っていたのである。権力や金力に関係なく平等公平に襲ってくるウイルスの脅威を目の当たりにして、人のあり方を問いただす絶好の好機ではないだろうか。国民は強く勇気のある公正で献身的なリーダーとしての政府や総理の活躍を期待している。一億総期待状況なのだ。ひとつよろしく!

作成:2020/04/09

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