Home

200529コロナが教える人の道35 悪いことばかりじゃない

「誤りを認めることから、改善や進化が始まる」と人には偉そうに言っている手前、このブログの内容は、どうも「悲観的」「批判的」「自虐的」気味になりがちだと認めないわけにはいかないだろう。

今日は「コロナが教えてくれたいい話」のことを話題にしたい。昨夜のテレビ、通俗的で恥ずかしいのだが、「神対応動画」のようなものを次々と紹介する番組があった。皆さんも何度も見ていることであろうが、医療関係者やインフラを支える人々への様々なメッセージが映し出された。何度見ても涙する映像である。自分が医療関係者だからというわけではない。「健気に命をかけて任務を遂行する人々」「そのことに心から感謝する人々」代表的な名作映画の「アルマゲドン」に代表される、感動映画のストーリーそのものである。人間はそもそも、助けあったり、励ましあったり、犠牲的に貢献したり、感謝したりすることに喜びを感じるようにできている、と僕は思っている。歴史的災害に見舞われたときに、国内外から助けがくる、そして必ず言われる言葉は「絆(きずな)」である。

「三密」はまさに「きずな」の象徴でもある。今回の「コロナ災害対策」は、この三蜜を避ける、つまり「きずな」を避けるというふうにも見えてしまうところが、今回の事態の最も辛いところではないだろうか?イタリアの田舎のように、老若男女が狭いテーブルを囲んで楽しく夕べを過ごしている様子が羨ましいほど好きな光景であった。ところが、そんな密を、このウイルスは襲った。
結果、悲しいかな、今後の対策の柱は「ソーシャルディスタンス」となった。

先ほどの「神映像」の一つであるが、イギリスの99歳の一般国民である老人が、命をかけて頑張る医療従事者への感謝を込めて、通常歩行も困難な中、歩行器を持ちながら庭の端から端までを100往復するので、医療施設への寄付を呼び掛けた。目標金額は13万円であった。ところが、驚いたことに、数週間で30億円集まったというのだ。多くの人々が感動して寄付に参加した。今や、イギリスで、その老人は女王の次に有名になったと気の利いた解説があった。「きずな」を求めての行動の威力はすごいということだ。今回のコロナ禍で、このような話は珍しくない。

「お金」か「命」か、はたまた「こころ」かという命題を、色々な講演会やエッセイで投げかけてきた。前2者はよく比較される。今回の大問題もその点にあった。しかし、ここにきてようやく「こころ」の重大さも取り上げられるようになった。「不要不急」のことは、まるで疎外されていた。しかし、不要不急のことにこそ、我々のこころを豊かにさせてくれる大切なものがいっぱい詰められている。

この困難を、人間の叡智が、きっと乗り越えていくであろう。なんとか今は、自分にできることを一所懸命して生き延び、それを見届けたいものである。

作成:2020/05/29

​ ​