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230704 豊かさ・幸せを哲学する12 「大企業・富裕層への課税強化」と言う日経新聞記事に拍手

3日前に、久々のブログを書いた。日経新聞記事で「豊田章男の高額所得」と言う記事に触発されて経済格差のことを少しばかり。今度は昨日日経新聞朝刊の経済教室欄で、このブログタイトルのような記事に目が止まった。岸田首相の「異次元の少子化対策」などの社会保障の財源問題に対して、3名の経済学者や社会学者が「あるべき財源論議」と言うサブタイトルの3日間シリーズの3論文の3つ目にあたる。論者は、伊藤周平鹿児島大学教授で、ポイントは、「社会保障関連のさらなる給付抑制避けよ」「世界的に多国籍企業への課税強める方向」「所得税の累進性や金融所得課税の強化を」の3点にまとめている。3名ともに、財源に触れずに効果だけを主張するのは良くない、との意見は同じであるが、他の2名の方の論点は明確ではなく、消費税をあげるしかないという意見と社会保障と税を一体で考えるべきという具体策が感じられないものである。この伊藤さんの考えは論点がはっきりしていて大企業や富裕層に対して、毅然とした歯に衣を着せぬ明快な意見である。堂々とこういった意見を言える政治家はいるのだろうか?選挙を意識し、大企業の有力者との繋がりを無視できず、結局は顔の見えない一般国民に負担を押し付けることになってしまうのがオチである。赤字国債で賄っても一種のマネーロンダリングのようなもので同じことである。

この記事を見られる人は、昨日の新聞を撮っているか電子版を利用している人に限られるだろうから、論旨がわかるように重要箇所を抜粋してみる。

以下伊藤周平さんの記事より抜粋

「経済界は社会保障の安定財源とされる消費税による財源確保を主張している。しかし消費税は逆進性が強く、その増税は貧困や格差を拡大し、、、」「岸田政権は、、、、歳出削減を中核にせざるを得なかった」「歳出削減の最大のターゲットとされるのが、歳出の最大項目である社会保障費だ、、、、徹底した給付抑制が予定されている」「歴代政権のもと、社会保障ひは自然増という必要な費用までが削減されてきた」「社会保障の削減、特に医療費抑制制作がコロナ禍で病床の不足を招き、、、、悲惨な結果をもたらした」「経済のグローバル化の中で、富裕層や多国籍企業はタックスヘイブンと呼ばれる税負担や金融規制がほとんどない国に資金を移し、巧みに税負担を回避してきた」「、、、多国籍企業を呼び込むために、法人税率の引き下げを競ってきた。日本でも消費税の増税に伴わせて法人税が減税されてきた」「日本では、多くの減税措置を利用できる大企業の実際の平均税負担率は、表面上の実効税率よりもはるかに低い10%台との指摘もある」「所得税のフラット化も進んだ」「所得税の平均税率は所得1億円でピークを打ち、それ以上の所得階層では所得が高くなるほど税負担率が下がると言う逆進的な構造が生まれた」「コロナ禍の下でも大きな利益を上げ続けてきた大企業や富裕層への課税強化で賄うべきだと言う国際的な合意が出来つつある」「諸特区税については、最高税率の水準を86年水準まで戻せば、相当の税収増になるはずだ」「法人税については、基本税率を30%に戻し、、、、所得時江南の累進税りつに変更すれば、、、中小企業は現行よりも低い税率で、、、、」結論として「各国が法人税率の引き下げ競争をやめて増税にシフトし、多国籍企業や富裕層に対する課税強化の国際的協力が進み始めている今こそ、日本も社会保障の削減でなく、応能負担原則に基づいた税制改革、それによる財源確保の方向に政策転換すべきだ」

抜粋終わり

以上、個人的な見解で、勝手に記事の抜粋をした。できれば全文をお読みいただきたいが、かなり多くの部分を抜粋したので、内容はきちんと理解いただけるかと思う。テレビや新聞などによく登場する経済学者と名乗る人たちの多くは、政府や大企業の御用学者かと思われるような人が多く、そうではなくても具体的な方法論はなく、単なる理想論に留まるものが多いと感じている。
この伊藤氏の、論文記事は、政府や大企業などの権力にも追従せず論理や主張が明確で、久々にすっきりしたので、この場を借りて紹介した。伊藤氏の許可も得ていないので、正確には全文を入手して読破してもらいたい。

伊藤周平先生、頑張ってください!応援します!

作成:2023/07/04

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