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脳神経内科

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頭痛

2022年01月05日
(概説)
頭痛は腹痛とともに、病院を訪れるきっかけとなる症状で頻度の高い症状です。そういった意味では「ありふれた症状」の代表になりますが、時には重大な病気の兆候であったり、生活の質を落とす慢性の症状でもあります。いろいろな分類がありますが、基本的な分類として、いわゆる「頭痛もち」と表現される頭痛そのものが病気の本質である慢性的な頭痛を一次性頭痛と呼びます。それに対して、何らかのはっきりした原因疾患が存在する頭痛を、二次性頭痛と呼び分類しています。後者の原因疾患として、くも膜下出血が急激に生命を脅かす危険な頭痛として有名です。今まで経験したことのない強烈な頭痛が出現するので、救急搬送されることになります。他の原因疾患として、脳腫瘍や髄膜炎、急性緑内障などがありますが、解説は別の機会とします。ここでは頻度の高い一次性頭痛に関して説明をします。
 
(症状)
一次性頭痛の代表的なものには「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」の3つがあります。緊張型頭痛は、最も頻度が高く、「頭全体が締め付けられる」「半日から数日間、もしくは毎日続く」「首のはりや肩こりを伴う」「吐き気、嘔吐などはない」「ストレスや過労などが誘因となる」などの特徴があります。「片頭痛」は、血管性の頭痛で「ズキンズキンと拍動性で強い痛み」「片側の場合が多いが時に両側性」「吐き気や嘔吐を伴う」「体動により憎悪しやすく」「光や騒音が誘因となったり」「視野に歯車のようなものが見える(閃輝暗点)などの前駆症状」などの特徴があります。女性が男性より数倍多く、月経の前後に起こりやすいようです。一方、「群発頭痛」は男性に多く、痛みの様子は片頭痛に似ているが、眼の充血や鼻水などのアレルギー症状などを伴うことが多いようです。一回の症状出現は、数分から数時間ですが、数週間から数ヶ月同じ症状が繰り返されます。一旦治っても数ヶ月、数年後に一連の発作時期がくることから「群発」と呼ばれています。これらの頭痛は、命に別状はありませんが、生活の質を落としますので治療が必要です。
 
(治療)
緊張型頭痛は、過労を避け、規則正しい生活と日頃の運動が大切ですが、しつこい痛みに対しては消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの比較的緩やかな薬で対応します。片頭痛は、急性期には、軽度の場合は消炎鎮痛剤で様子を見ますが、中等度以上の場合は、血管収縮作用のある薬剤を使いますので、専門医による慎重な薬の匙加減が重要となります。また、発症の頻度や症状の重い場合は、予防的な薬を普段から継続的に服用することになります。群発頭痛にも片頭痛の場合と同様の薬や時にはステロイドが効果的なこともあります。
(生活上の注意)
このように「頭痛」といっても、多様な原因があり、症状も多彩ですので、「頭痛もち」といってもよいような方は、専門医と十分に相談し、重大な病気が隠れていないかをきちんと鑑別し、生活の質を取り戻すために治療を諦めずに根気よく続けましょう。

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ぎっくり腰

2020年10月26日
(概説)
何か身体を動かした時に、急に起こる強い腰の痛みのことを総称して使われる言葉です。正式な医学的診断名や病名ではありませんが、正式には「急性腰痛症」と呼ばれ、カルテの病名欄に記載されます。原因が特定できるものを「特異的腰痛症」と呼び、その原因となるものが正式診断となっていきます。原因が特定されないものを「非特異的腰痛症」と呼び、全体の8割程度を占めると言われています。ぎっくり腰の状態では、その原因を突き止めることが大切なので、まずは整形外科受診が妥当かと思われます。厚労省の行っている調査では、腰痛は厚労省の行っている調査では、最も頻度の高い症状の一つとなっています。
 
(症状)
 
ものを持ち上げようとしたときや、腰を捻るような運動をしたときや、咳をした時など様々な動作の直後に突然、腰や背中の下部などに痛みが起こり、ひどい場合は立ち上がったり歩行も困難な状態になります。片方の足先の痺れが伴ったり、力が入らなくなったりするなどの症状を伴うなど多彩な副症状があり、原因診断の一助となります。
 
 
(原因)
 
前述のように、多くは原因を特定できず、筋膜や腱や筋肉の軽い損傷、炎症が原因と見込まれることが多く、9割がたは安静などにより1週間程度で自然治癒していきます。しかし、重大な病気が原因の場合もありますので、痛みが激しかったり、続く場合は、整形外科医により鑑別診断を仰ぐことが大切です。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など整形外科的問題を始め、尿路結石など泌尿器科疾患や婦人科疾患、循環器疾患の可能性、さらに骨の腫瘍などを否定しておくことも重要となります。
 
(治療)
 
特別な原因がない良性のものは、痛みに対して非ステロイド性抗炎症薬が短期的に使われます。原因が特定されるときは、その疾患の治療が優先されることは言うまでもありません。最近では、腰痛とメンタルとの関連性が深いことがわかり、薬剤も選択肢が増えていますが、専門医と十分に話し合って治療法を選択していくべきでしょう。
 
(対策)
 
普段から、腰痛体操を含めた運動習慣をつけて、十分な筋力を保っておくことが何よりの予防となります。また、自己判断せずに、医師に適切な治療方針のアドバイス(トリアージ)をしてもらうことが最大の安心となるでしょう。
 

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メニエール病

2020年04月27日

(概説)

「めまい」を起こす病気の代名詞のように思われている印象を受けますが、いかがでしょうか?最近では「良性発作性頭位めまい症」が、有名人がかかった病気としてマスコミでも取り上げられ、めまいを起こす病気の両横綱というイメージでしょうか?「めまい」は数ある症状の中でも、重症感を感じさせる嫌な症状の代表の一つです。しかし、慌てる必要のない良性のものから、救急処置が必要なものまで、医師でさえ、その原因の診断は結構難しい場合も少なくありません。この機会に知識を整理しましょう。

(原因)

内リンパ水腫という内耳の中の浮腫が原因であることが解ってきています。その原因にストレスが強く関連しているようですが、そのメカニズムに関しては現在のところ不詳です。

(症状)

定型例としては、数分から数時間続く回転性めまい(時に浮動性めまい)が反復し、難聴、耳鳴り、耳閉塞感などを伴うことが多いようです。非定型例として、症状の組み合わせが多彩なパターンも存在しますので、耳鼻科の専門医の診断が重要になります。

(治療)

ストレスが大きく影響し、内耳の水の代謝が関与するので、禁煙、良質な睡眠はじめ規則正しい生活が大切です。薬物治療としては、めまい発作の急性期には、メリスロンやトラベルミンといった内服薬やメイロンという点滴静注薬が使われます。めまい発作が治まっている間欠期にはアデホスといった薬や漢方薬も使われます。大抵は、こういった保存的治療(手術などを伴わないいわゆる温和な治療)で落ち着いて行きますが、なかなか治らない重度の場合は、水腫の外科的処置や内耳の一部の機能を制御する治療も選択されることがあります。

(生活上の注意)

今まで、お話しした通り、ストレスが大きな誘引となりますので、日頃から規則正しい健康的な生活を心がけることが肝要です。めまいの原因を診断することがまず重要ですので、しっかりと診断を付けていただき、メニエール病と判断されたら根気よく治療に臨むことが肝要です。

 

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血栓症

2020年01月06日

(概説)<今回は内容の関係上、概説のみとなります>

「血栓症」という言葉は、一つの病名を指すのではなく、身体に生じうる一つの病態を示す言葉です。医学を勉強するときも他の分野と同じく、総論的なことをきちんと理解しておくと、各論の理解がたやすくなります。この機会に「血栓症」の勘所を理解しましょう。

「血栓」とは、その字のごとく「血液が血管の中で固まり、血管を栓のように塞ぐようになる状態」という意味合いです。動脈にも静脈にも生じ、身体のいろいろな場所に発生し得ます。主なものに、脳の動脈に生じる「脳血栓」、心臓に起こると「心筋梗塞や狭心症」、下肢に起こりやすい「深部静脈血栓症」(これは「エコノミー症候群」として有名ですね)、肝臓の重要な血管に起こる「門脈血栓症」など、いろいろな「血栓症」があります。

血液は、血管の中ではサラサラとして固まってはいけないのですが、血管が何らかの理由で破れて、血液が血管外に漏れ出た場合は、なるべく早く凝固し、それ以上の出血を防がないといけません。つまり血液は、この相反する二つの役割を状況に応じて使い分けなければならないのです。その仕組みが、「血液の凝固系」と呼ばれるもので、生命維持システムの基本の一つでもあり、医学生を悩ますような、とても複雑な仕組みを通して我々の身体を守ってくれています。

通常は、血液はそのようにうまく機能してくれていますが、生活習慣病や加齢、長時間の同じ姿勢などの要因で、凝固系のバランスが悪くなると、血管内で血液が固まり小さな血栓が生じ、それが次第に増大する悪循環に陥り、血管の狭窄や閉塞が起こり、その関連の臓器障害が発生します。また小さな血栓が、血管壁から剥がれて、血流に乗って流れ、脳や肺など離れた重要な臓器への血管を詰まらせることがあります。そういった場合を特別に「塞栓」と呼びます。

血栓症の予防には、凝固系のバランスを乱す原因ともなる高血圧、脂質異常症など生活習慣病の改善がまずは肝要です。場合により「血液サラサラの薬」などと呼ばれる一連の抗凝固薬が処方されます。血管が詰まった場合の治療は、その部位により異なってきます。

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坐骨神経痛

2015年05月18日

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 NKH健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報  №105

 カルテ56  内科、神経内科、整形外科、ペインクリニック

 2015/4/27

 

 


〇概要〇

「坐骨神経痛」は病名というよりも、いろいろな原因による症候名として使われています。本来は「なになにという病気が原因の坐骨神経痛」というふうに使用されるべきなのですが、原因が特定されない坐骨神経痛症状が出現することが多く、慣習として病名のように使われます。「神経痛」という言葉自体が症候名であり、痛みの起こる神経の部位により、「三叉神経痛」「肋間神経痛」などというふうに使用されます。

「坐骨神経痛」の原因としては、席椎間板ヘルニアや変形性脊椎症や外傷など脊椎の多彩な病気があります。まれに癌の骨転移などが原因のこともあります。原因が特定されるもの以外は「特発性」と呼ばれます。

〇症状〇

主に、椅子に座った時に座面と接するお尻の部位に痛みが発生することが多く、その痛みは太もも背部まで放散することもあります。またその部位をおさえると痛みがまします。ひどくなると歩行にも影響を及ぼします。立っているだけでも痛かったり、長時間座ることも辛くなります。

〇診断〇

特徴的な症状と、専門医の診察による圧痛の確認などで診断がつきますが、その原因の特定には、MRIなどによる脊椎の検査が必要となります。

〇治療〇

原因となる疾患が特定できれば、その治療が根本的であるのですが、痛みに対する対症療法も重要となります。最近では、単なる消炎鎮痛剤以外にも抗鬱剤や神経障害性疼痛専用の薬剤が使われるようになり、効果が確認されています。また、症状が強く持続する場合は、ペインクリニックや麻酔科、整形外科などで、対症療法の一環として、神経ブロックなども行われます。

〇生活上の注意〇

運動不足や肥満やストレスが、原因となったり、症状を悪化させる要因となることもありますので、医師と相談して生活習慣の改善にも努めましょう。

 

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てんかん

2014年07月28日

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 NKH健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報  №102

 カルテ53  神経内科、内科、脳外科

 2014/7/28

 


◯概説◯

突然のけいれんや意識消失で自動車事故を起こし、社会問題として報道されることがあり、「てんかん」という言葉を知っている方も多いと思います。脳に明らかな病変が特定できる「症候性てんかん」と、原因がはっきりしない「突発性てんかん」に大別できます。人口の0.5%から1%くらいの有病率と言われ、比較的頻度が高い病気です。症候性の原因として、頭部外傷、脳腫瘍、脳血管障害、髄膜炎、代謝障害などがあります。突発性は大体20歳前に発症することが多いようです。脳の神経細胞の過剰興奮により症状が出ることは共通した現象です。
 

◯症状◯

部分発作、全般性発作、それ以外などに大きく分かれ、さらに細かく分類されていますが、けいれんと意識障害が主な症状となります。突然けいれんや意識消失が起こるので、周囲にいる人は驚くことが多く、また、交通事故などにつながることが少なからずあり、病気の認識自体が大切となります。軽い意識障害から完全な意識消失、部分的なけいれんから全身のけいれんまで多彩であり、また症状継続時間も異なります。

◯診断◯

特徴的な臨床経過ですので、経験豊富な専門医はそれだけでおおよその診断がつきます。脳波検査によりほぼ確定しますが、症候性てんかんの原因については、MRIやCT検査などの画像検査が有用です。

◯治療◯

症候性てんかんの場合は、まず原因疾患の治療が基本となります。それとともに各種の抗けいれん薬を使用します。突発性の場合は、薬物が治療の中心となります。いずれの場合も、薬物はかなり有効で、ほとんどの場合、発作は抑制された状態を維持できます。問題は、服薬の中止や減量のめやすをたてることが困難なことです。急に薬をやめると、発作をぶり返すことがよくあります。主治医と相談しながら長期的にゆっくり減量することが望まれます。また、あまり一般的ではありませんが、脳神経外科的治療もあります。

◯生活上の注意◯

発作を抑制することが治療の目的ですが、過労や睡眠不足、アルコール、光刺激などが誘引となることが多いので注意が必要です。基本的には自動車の運転は禁止されています。抗けいれん薬は、催奇形性があるので妊婦の場合は注意が必要です。発作そのものは命に直接関わることがありませんが、併発する事故には注意が必要です。長期間にわたる主治医との共同作業が重要です。

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ギランバレー症候群

2013年09月07日

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   NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報

   カルテ48 神経内科

   2013/4/22




※今回「Terra Letter」3号を皆様に配信しましたところ、鉄門同級生でこの「ギラン・バレー症候群」のガイドライン作成委員長でもある 楠 進 先生(近畿大学医学部神経内科教授)が、この記事に関して加筆訂正コメントをお寄せ下さいました。おかげで最先端の内容を網羅でき、校正も叶いました。2016年5月18日より、文章を差換えています。この場を借りて楠先生にはお礼申し上げます。鉄門仲間、ありがたい!!! 
 
 
○概 説○
消化器系や呼吸器系の感染症の1〜3週後に急激に発症する末梢(まっしょう)神経性(しんけいせい)運動障害をきたす病気です。専門的には脱髄(だつずい)型(*1)と軸索(じくさく)型(*2)という分類がありますが、運動障害が中心で感覚障害が軽微であることが特徴です。ウイルスを中心とした感染症がきっかけとなり、免疫(めんえき)機構が障害される事により自分自身の神経が破壊されていく自己免疫疾患の1つと考えられています。発病の頻度は10万人に1人程度で、50歳以上に多いものの幅広い年代で発症し、やや男性に多い(約3:2)という疫学(えきがく)的報告があります。
 
○症 状○
多くの場合、下肢(かし)の筋力低下や麻痺(まひ)が出現し、次第に上方に広がり上肢(じょうし)の麻痺や呼吸筋の麻痺まで進行する場合もあります。感覚障害は軽微な事が多いですが、痛みや痺れ(しびれ)感がみられることがあります。自律神経障害は生じやすく、頻脈(ひんみゃく)、徐脈(じょみゃく)や血圧異常、発汗異常などの自律神経失調症状もみられます。時に、目を動かす筋肉や顔面を動かす筋肉の麻痺、飲み込みにくさやしゃべりにくさ、上肢の筋肉麻痺症状から発症する場合もありますので、注意が必要です。
 
○診 断○
特徴的な臨床(りんしょう)症状と神経伝導検査などの電気生理学的検査により、ほぼ診断は確定されます。最近では血液中の抗ガングリオシド抗体測定も診断に使われます。髄液の細胞数が増えないにもかかわらず、タンパク量が増加する「髄(ずい)液(えき)蛋白(たんぱく)細胞(さいぼう)解離(かいり)」は有名な現象ですが、病気の初期には蛋白量が正常な場合が多いので、初期診断には注意が必要です。いずれも経験深い専門医は熟知していることですので、神経内科医の受診が必須です。

○治 療○
急性期を乗り切れば良好に回復することが多いので、初期治療が重要になります。おおよそ2割弱程度が呼吸筋の麻痺を伴うので、人工呼吸器装着や急性期合併感染症管理などを含めた集中治療室での治療が重要となります。病気そのものへの治療としては免疫グロブリンの点滴と血漿(けっしょう)交換などの血液浄化法が2大治療法となります。ステロイドは単独では効果がないことが示されていますが、ステロイドの大量療法と免疫グロブリンの点滴の併用については意見が分かれているところです。
 
○予後、注意点など○
多くの場合に、ほぼ完全な回復が期待できますが、麻痺が後遺症として残る場合もあります。治療初期から積極的な機能回復訓練(リハビリ)を行なっていくことが肝要です。
1 末梢神経を覆う絶縁体「髄(ずい)鞘(しょう)」が冒される
2 髄鞘の途切れ目から露出した神経の神経芯部分「軸索」が冒される

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脳卒中

2001年11月15日

NKH「健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報

脳卒中

2001/11

 


脳の中の血管が詰まったり出血を起こすことにより、脳への血液の供給が急激に途絶え、脳の一部の機能が障害される病態を総称して脳卒中と呼びます。脳卒中の主なものには脳梗塞と脳出血とくも膜下出血があります。

(原因)

脳梗塞と脳出血は脳の血管が動脈硬化をおこし、内腔が狭くなったり閉塞したり、また血管の壁が脆くなり出血を起こし結果的に正常な血液の流れが阻止されることにより起こります。主な原因としては血液中の脂肪成分(コレステロールや中性脂肪など)が多くなり、それらが血管内部に蓄積することや、高血圧により長年血管に負担がかかり血管が脆くなることなどが考えられています。くも膜下出血は、遺伝的に動脈瘤や動静脈奇形という状態を持っている人に高血圧などが誘因となり血管が破裂することにより起こります。

(症状)

脳のどの部位に障害が起きるかにより異なった神経症状が見られます。主なものに、身体の片側の麻痺や感覚障害、言語障害、意識障害などがあります。くも膜下出血の場合は、激しい頭痛と意識障害を起こします。一般的にくも膜下出血のほうが重症で、発病初期の致命率が高いようです。

(治療)

いずれも発病初期の治療が大切です。脳卒中と判明したら脳外科医の待機する病院へのすみやかな移送が明暗を分けます。脳梗塞なら詰まった血栓の融解治療が、脳出血なら血液の固まりの除去や止血作業が、くも膜下出血なら出血している動脈のクリッピングという止血作業がそれぞれ一刻を争う治療法となります。

(予防対策)

動脈硬化を促進するような生活習慣(危険因子)を改めるという一言に尽きます。この危険因子の代表的なものは、肥満、喫煙、ストレス、高血圧、高脂血症、糖尿病などです。前半の3つは自分でコントロールするものです。後半の3つはもし存在すれば医師から指導を受けて日頃からコントロールしておくことが肝要です。何事につけても、規則但しいい生活が基本で、バラエティーのある食事、禁煙、節酒、脂肪や塩分、糖分を控えた食事、毎日の軽い運動、ストレスの少ない楽しい生活の工夫などが脳卒中の可能性を低めます。

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偏頭痛

2001年05月22日

カルテ1

神経内科・脳神経外科

偏頭痛

NKH「健康ライフ講座」

2001.5

日本機械保線株式会社 社内報


原因

頭痛は日常的に感じる症状のなかでも代表的なものです。

原因は千差万別で、くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎など緊急な治療を要する致命的な病気もあります。でも、たいていは「慢性頭痛」といって、頭の中に器質的変化(形態的な変化があること)を伴わず何らかの原因で頭痛が慢性的に生じるものです。その代表が、偏頭痛と緊張型頭痛です。

春~初夏は、偏頭痛の誘因の1つである日光に当たる機会が増えるので注意しましょう。血管の収縮や拡張により生じますが、その原因は不明です。痛みの程度はかなり強いので適切な治療が快適な生活を蘇らせます。

緊張型頭痛は肩こりを伴ういわゆる疲労型の頭痛で、偏頭痛よりもさらに高輝度にみられます。

症状

発作的で、数時間から2~3日持続し、通常は頭の片側に集中するズキンズキンという拍動性の頭痛です。吐き気や嘔吐、眼がまぶしく感じたりする症状を伴うことが多いようです。

前兆として、眼がチカチカしたり視野が一部欠損したり、麻痺が起こったり、時には意識をなくしたりするような、いわゆる脳神経症状が一過性に生じることもあります。

対策

医師による治療として、旧来から工ルゴタミンという薬が発作の特効築として使われてきました。最近では、日本でも認可されたトリフタン系の薬剤が発作の治療薬としてとても有効で、現在は注射薬ですがまもなく経口の薬としても使えるようになる予定です。また、予防薬としてカルシウム拮抗薬等が効果的ですので、何はともあれ専門医に相談するのがよいでしょう。

偏頭痛発作の誘引として、チョコレートやチーズ、高脂肪食やたまねぎ、オレンジ、赤ワインなどのとり過ぎ、強い光刺激などがありますので、それらに注意する必要があります。発作が起こったときは、暗い静かなところで休むのが症状を和らげるコツです。 

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