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政治・経済

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200413コロナが教える人の道26 痛み分けの精神2

2020年04月13日

「自分が感染者かもしれないとの前提での自主隔離、自宅退避などの行動」が、この憎きウイルスにたいして今できる最強の攻撃である、と再三言い続けている。そのために政府をはじめ政治家、研究者、医療関係者などみんなが必死に活動している。やむなしに休業をお願いしていいるお店や出勤自粛をお願いしている企業など、大変な状況であろう。今生きている人たちには、かつて経験のない世界的規模の危機である。人間、自らが招いた世界大戦という危機もあったが、それを経験した人々も今や少なくなりかけている。

こんなウイルスが発生し、蔓延した理由を科学的政治的にもいずれ追及、追求していくときも遠からずくるであろうが、今は、なんとか最低限の被害で済むように、全世界が力を合わせて戦う「宇宙戦争」みたいな状況だ。そんな時の共通の心構えとはなんであろうかと考えるが、その重要な一つに「痛み分け」ということがあるであろう。今、東京はじめ、各地で問題になっている「休業要請」と「補償」問題などその典型である。国民も、政府も、経営者も、お客もみんなみんなが痛みを共有して我慢しなければならない。そう思いながら、苦しむ飲食業の経営者の声を聞いていると、「家賃も払わないといけないので、とても人件費は無理で、辞めてもらうしかない」というような叫び嘆きが多い。「家賃より人件費を優先するというのはどうなんだろう?」といつも不思議に思っていた。ようやく、政府などもそのことに言及するようになってきた。苦しんでいる飲食店の経営者や従業員がいるのに、なんら現場でのコロナ感染のリスクさえなく平然と家賃を頂こうとしている不動産オーナーたちが、シャイロックどころでない鬼のように想像してしまっていた。家主たちから「店子さんたちがかわいそうだから、家賃を免除しよう。その代わり固定資産税も減免して欲しいなあ」という声を聞きたかった。政府が先に「固定資産税を考慮するから、家賃も考慮して」とそのことにやっと気がついた(以前から気がついていたが、やっと発言?)

この非常事態、様々な場面で「痛み分けの精神」が必要になってくる。どちらが正当だ、などと争う前に。

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200409コロナが教える人の道25 自粛要請 休業補償 痛み分けの精神

2020年04月09日

「ウイルスが教える人の道」とは読み人知らずであるがよく言ったものだ。昨日の朝日新聞の1面記事で、社会学者の大澤真幸さんのインタビュー記事も興味深かった。朝日新聞のサイトで今の時期に限って無料で見られるからぜひ読んで欲しい。そして深読みして欲しい。この紙面で内容を紹介することは割愛する。

今、テレビの報道番組などで話題になっている「自粛要請と休業補償」の問題。零細な個人経営の飲食店などの悲鳴が聞こえてくる。テレビなどで紹介されているのはごく一部であろうから、その間接的影響も加味すれば、実態は計り知れない。半年前に、息子が一時赴任していたこともあり、2週間ほど滞在していたパリは一体どうなっているのだろうかとの思いが脳裏をよぎる。有名店より、街中の小さな地元に愛されているお店が好みの僕にとって「あの小さな店は無くなっていないだろうか?」と案じてしまう。欧米での対応は生やさしい自粛どころではないようだ。それでも1ヶ月頑張って、感染者のピークを抑え、やがてはいろいろなものが復活していく姿が想像される(そうあって欲しいと願う)。

日本のこの自粛の状況を見ていると、確かに業種によるばらつきは多い。かえって増収になっている業種もあるようだ。個人飲食店などは、「家賃と人件費」により潰れる瀬戸際のところもある。誠に不公平な状況である。国や自治体の保障も確かにそのやり方が難しいのであろう。本当に逼迫しているところに助成をしたいが、そのやり方が難しい。ゆっくり考えられるならいいのだが急を要する。誰かが提案していた「自己申告でも何でもいいから、とりあえず助成する。そして来年の確定申告でもいいから、落ち着いてからきちんと精算する」というやり方が一番現実的かと思うが、政府からそのような発案は今のところない。「より弱者を救済し、社会全体の健全化を目指す」のが政治の大きな役割の一つである。そもそも僕は個人的には「ふるさと納税」などには反対で、一度も利用したことはない。明らかに富裕者や高給取りを優遇するあのような制度を堂々と進めている政府や自治体の公平性や公正性の欠如に呆れ返っているからだ。

全国民的危機の今現在、国民は一致団結して立ち向かわなければならない。「自分たちは自粛要請対象業種にならなくてよかった」と思っている場合ではない。各自、できることを最大限にするべき時だ。「痛み分け」の精神がこの危機に立ち向かう基本だ。みんな我慢すれば、国民は納得して我慢できる。「なぜ自分だけ?」と思うと不安が怒りに変わっていく。
具体的な話に戻ると、自主休業するのはいいが、家賃と人件費がのしかかる。解雇だ、休業手当が出ないなど人件費の問題を取り上げる報道が多いが、東京など都会では、前者の「家賃」の圧迫が多い。痛み分けの精神なら、まずこの家賃の支払い免除要請をするべきであろう。一般的に考えて、場所を提供している不動産所有者は、余裕があることは自明である。税金は納税延期を決めている。(できれば休業中に按分して納税免除もするべきであろう)税金と家賃をなんとかすれば、経営者は無理をしてでも従業員の報酬を半額でもいいから捻出できる可能性は高くなる。これで「痛み分け」の構造が出来上がる。現に、老舗の店で、自社ビルで営業するお店は、一、2ヶ月店を閉めてもなんとか持ち堪えられるところが多い。

元々現政権に対し、「弱者には形式的な救済」「富裕層にはお友達としての優遇」を感じ取ったから国民は反感を持っていたのである。権力や金力に関係なく平等公平に襲ってくるウイルスの脅威を目の当たりにして、人のあり方を問いただす絶好の好機ではないだろうか。国民は強く勇気のある公正で献身的なリーダーとしての政府や総理の活躍を期待している。一億総期待状況なのだ。ひとつよろしく!

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200408コロナが教える人の道24 緊急事態宣言の考え方

2020年04月08日

ついに日本でも緊急事態宣言がでた。そのタイミングや内容などに国内外から賛否両論の意見も発出されている。感染予防という観点からは出せるカードは全部出すことはベストであろう。しかし、政治や経済や生活の観点から見れば、なるべく最低限のカードにして欲しいであろう。
欧米のように、完全封鎖で罰則があるような「国家命令」なら、国民側としては従うしかなくその場合は迷いはない。日本の現状のように個人の考えを大切にしながらの国の舵取りは極めて難しい。知事や総理でなくてよかったと大胆にも、つい思ってしまう。

医療決断支援の仕事をしていると、重大な決断はとてつもなく困難で苦しいことであることを理解できるし、自らも日々体験している。ある決断をしようとしても、他の選択肢が気になるし、選ぼうとしている決断の副作用が気になる。そんなことで、決めかけても心は揺れる。周囲のものも、本人のことを思ってはいるが、若干無責任にいろいろ助言をするから、決断はさらに揺らぐ。この繰り返しである。そのような迷う医療決断の支援が僕の任務だ。その経験からいくつかの原則を発見した。
「結果からみて、過去の判断や決断の評価をする」ことは、我々医療判断の専門家としては判断力のレベルアップにはなる。しかし、決断する人にとっては何度も繰り返す場面でもなく、滅多にない一生の一大事の重要判断決断で迷いに迷っているのだ。その上でやっと選んだ選択の決断の結果、思わしくない結果が生じたら、一生後悔することになる。大体から、それほどの重要な決断を要するときというものは、いずれの選択決断を選んだにしろ、厳しい結果が待ち構えているのである。
今のコロナ危機も同様である。
「将来の結果から今選んだ決断を自他ともに責めることはしない」「決断する時は、熟考した上で後悔しない<この選択がベスト>という強い気持ちで行い、その上での持てるカードを最大限活用する」ということが大切である。もう一つ、決断を悩む時は、複数の重要な「要素」があり、ある「要素」はこちらが大切で、別の「要素」ではあちらで、、、、ということで行ったり来たりと決められないことが多い。そんな時は、まずそれぞれの「要素」の優先順位を決めてから、2番目以降の「要素」で、選択肢を固定できるものは固定して考えていくことだ。
今のコロナ危機で言えば、要素は「感染予防治療」「個々の生活」「国としての経済」の3大要素がある。それぞれの「要素」は、「あちらがたてばこちらがたたず」となる。大抵の困難な決断にはつきもののことである。医療者から見れば「感染予防治療」が最重要であり、個人や経営者から見れば「個々の生活」、政治家から見れば「国としての経済」がそれぞれ重要となる。そして、それぞれの立場から意見を戦わせて、落とし所を探していくことになる。しかし、なかなかひとりで決められないから、スッキリとはいかない。
現状では、こういうことを分かる人は判るのだから、「命最優先」というほとんどの人が反対はできない大命題を錦の御旗として、リーダー(総理ということになるか?)がえいやっとやり、責任を一手にになって決断するしかない。多少、気の毒な気もするが、一国のリーダーたるものは、国民、特に弱者を身を張って守ることが本来の使命ではないだろうか。そんな格好いい尊い使命を誰もが持てることができない。周囲のお友達の利益を誘導するために総理を目指したのではあるまい。

閑話休題、現実的な話に戻ろう。様々な自粛要請を受けて、我々国民は具体的にどのように行動していくか?
「ウイルスは勝手に拡散しない、人から人へ、直接または間接的に」「理論上は、1ヶ月全国民が個室に閉じこもればコロナは撲滅する」というのが大原則(セントラルドグマ)である。そこから行動を考える。
いつも会っている家族や身近な人(その人の行動がほぼわかる人)以外には極力お互いに接触しない。
複数の人が触れたものを触った場合は手洗いをまめに行う。

たったこれだけのことを、それぞれの人にあった方法で実行するだけのことである。

しかし、人のふれあいがないとストレスがたまるし、長期戦となると生活が虚しくもなる。
上記の大原則を守りながらもできることは結構ある。
散歩、ジョギングは一人や夫婦などで行うことは問題ない。(ゴルフなども、車で行って、レストラン、ロッカー、風呂など使わずに終わればすぐ帰ればリスクは低そう!。)
映画が好きな人は、映画館には行けないけれど、自宅で見ることはできるので、映画館のような雰囲気を作り(携帯を切り、少し部屋を暗くするなど)ポップコーンを食べながら見る。
(僕も、好きな映画、ゴッドファーザーなどを見直した。結構再発見がある)
今まで気になっていた小説などをまとめ読みする。(こんな機会がなければ、一生読めなかった!)
意外と面白いのが「オンライン乾杯」いつも飲み歩く仲間とビデオ通話で複数人で繋がりながら、一杯やると、また新鮮な面白味もある。

そうは言っても、実際に触れ合いながら語らう有り難さはしみじみとわかる昨今。その時のための話題を書きだめしておくことにする。
 

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200406コロナが教える人の道23 一体いつまで?

2020年04月06日

「一億総不安」状態となっている我が国ですが、世界中でも同じでしょう。「総」と言ったら、「俺たちは気にしていない」「勇気があるから怖くない」などと言っている人から苦言を呈されるかもしれない。前回のブログでその辺については言及したので参照して欲しい。

今回のテーマは「一体いつまで?」ということである。医療の総合相談役を自認する僕にとって、心の問題について相談されることも少なくない。そんな時に患者さんは「トンネルの出口が見えない恐怖不安」という表現をよくされる。「いつまで我慢すればいいのか?」「いつ逃れられるのか?」というのが不安を招く大きな要素となる。

中国に始まったこのCOVID19だが、韓国に飛び火し、いよいよ日本かと思っていたら、イラン、イタリア、スペインで爆発し、次には米国である。その間、日本では、じりじりとゆっくり増えていき、欧米の様子を見ながら、今か今かと真綿で首を絞められるような感じが続いていた。いよいよやってきたかという感じになってきた。ここまでピークをずらせて頑張ってはいるものの、それだけ不安状態が長く続いていることになっている。だから「コロナ疲れ」や「自粛疲れ」などという声も聞かれる。我慢はこれからが本番であろう。しかし、ピークを遅らせてきた恩恵はある。いろいろな治療薬の試みがかなり進んできた。ワクチンの開発も進んでいる。もう一踏ん張りピークを延ばせることができれば、アビガンはじめとする数種類の効果的な薬の効果判定の結果が出て、日本でも実際に使われることになる。

テレビ報道では、暗い話が主体だ。マスコミの視聴率優先の癖もあるのだろうが、国民への危機意識を、という配慮もあるのかもしれない。しかし、トンネルの出口を見せるような希望の報道も2、3割ないと不安に喘ぐ国民は我慢が続かない。また、我々国民を最も脅かせているのは「罰則もなく、コロナも怖くない(怖さを実感しない)から、やりたいことをするまで。それにどうせ治療薬もないのでしょ」と半ばヤケクソに行動自制をしない2割の人たちだ。「2割の人が全体を支えている」というパレートの法則は「2割の人が全体を壊す」ともなる。

「国民を守るためには厳しい取り締まりも必要」とは持論であるものの、明るいトンネルの出口を見せてあげることも、脅威の2割の心を揺り動かす「太陽」になるのかもしれない。
諦めないで頑張り耐えていると必ず光明がさす。

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200406コロナが教える人の道22 怖い命の選別?見えざる不公平も!

2020年04月06日

すでに医療崩壊状態にある欧米では、標題の「命の選別」という言葉がよく聞かれるようになった。悲しくぞっとするような話だ。
「諦めない、手を抜かない、やりすぎない」を医師のモットーにしたいものだ、と周囲の医師や患者さんに口癖のように話している。
元々、日本は欧米に比べて国民的に「義理人情」「判官贔屓」「温情」などを大切にする風潮も強く、当然医師の間でも「諦めない、手を抜かない」という意識は根強い。
そんな中で、足りない人工肺やICUのベッドを高齢者から若年者に振り替えないといけないという選別が現場の医師に迫られるとしたら、医師の精神的苦痛は測り知れないし、医療関係者の中でも精神的犠牲者が出てくる恐れもある。明確な解決方法は思い浮かばないが、言えることは、現場の医師や医療関係者に決断を任せるのではなく、国としての基準を作ってあげるしかない、ということである。

「命の選別」恐ろしい言葉である。でも、今までにも我々人類は経験している。重要なことは、それが権力や経済力と決してリンクしてはならないことだ。
今の世界的な漠然とした傾向は「助かりそうもない人(高齢者)」を諦め、「助かりそうな人(若い人)」を優先するということであろう。ある意味では、やむを得ないとも思うし、最も合理的な考えとみなされていると思う。しかし、以下、批判を恐れず敢えて言いたい。テレビの報道を見る限りであるが、このような事態で、「3密を避けなさい」「自分が人にうつさないこういう行動を」と言っているにもかかわらず、いまだに、自粛要請を知っているにもかかわらず、「自分は関係ない」「若いから大丈夫」「今日の集会(出会いのコンパ?)に来ている人は生命力のある人だから、この出会いに感謝したい」などと言っている人(人間としての基本要件を持たない人間以下)の映像を見ていると、このような人が感染したら(感染確率は群を抜いて高いはずだが)、病院へ行き貴重なベッドなど貴重な医療リソースを消耗する。そしてそれを日本の保険でカバーすることになる。そして、「こんな輩からうつされて重症化した高齢者の医療を省いて、代わりにこんな輩に注がれるかもしれない」と想像しただけで身の毛がそそり立つような憤りを覚える。こんな不公平なことがあって良いだろうか。貴重な医療リソースを守るためにも、皆様には、もっと大きな視点で考え「強烈な自粛(これ本当の勇気!)」をお願いしたい。感染が落ち着いたときに、「自分が果たすべき役割は十分行なった英雄の一人だ」と自己肯定ができるようにも。

京都大学のある准教授が、かなり激しい言葉で、無防備に夜の街中をうろつく若者(だけでなく中高年者も)に注意を喚起していることが話題になった。イタリア、スペインでは知事や首相が「軍が火炎放射器を持っていくぞ」と叫んでいる。本来政治のリーダーたちにお願いしたいところを個人の先生が勇気を持って発信していただいていることに敬意を評したい。

このブログを読んでいてくれている貴重な良識人に再度お願いしたい。
理論的には、日本国民全員が、これから1ヶ月それぞれ別々に閉じこもったとしたら、憎きこのウイルスを壊滅できる」のである。憎きこのウイルスは人間の力を借りないと生き延びれないのだから。
このウイルスの伝播率は、ひとりにつき1.7人かそれ以上だという。それなら我々がそれ以上に速いスピードで「自宅退避の重要性」を仲間に伝えないといけない。つまり一人につき、周囲にいる楽天的に活動している3人以上にそのことを厳密に素早く伝え、さらに次々と3人以上に伝えるようにお願いする活動を提案したい。
我々のような、正確な知識を伝えるべきリーダーには一人30人以上目標にお願いしたい。

ともかく人から人へウイルスが伝播していくことを最小限にしていく活動が基本だ。
そして、一線現場で活躍する医療従事者、また、不眠不休で治療薬を開発している研究者たちへ熱きエールを送り、各自できるだけのことを考え実行することに尽きる。
いくつかの治療薬の効果の報告が出るまで、なんとか持ちこたえるようにしよう。

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200402コロナが教える人の道21 軽症者病院設立は待ったなし

2020年04月02日

なぜ日本の検査件数は、こんなにも少ないのか?誰もがそう感じ、多くの医療関係者もそういうし、専門家委員会も同意見だ。それでも何故?最初の頃は、オリンピックがあるから、感染者数の増加を見せたくないのでなと多くの人は推定していた。しかし、今やその理由はなくなった。でも、まだ検査数は増えない。実際、咳が出る患者さんが不安で検査を希望して、保健所を案内しても「検査は拒否されました」となる。おおくの仲間の医者も同じことを言っている。

答えは明確である。「検査が陽性なら、指定病院への入院」という感染症法の存在である。何故そんな法律が?と言っても、感染を蔓延させないための条項なのであろう。しかし、今回の状況はその法則が当てはまらないのは、誰の目にも明らかである。検査をきちんとして、その後トリアージをきちんとして、軽症者病院、中等症病院、重症病院へどんどん振り分けしていかないと、あっという間に専門病床はパンクするのは誰でも分かる。何故そうしない、できないのかはいずれ理由が分かるであろうが、責任と権限をきちんと持ったリーダーがいずに、複数の人や組織というい枠組みでしか判断できない体制だから「そんなことをして万一、事故が起きたら誰が責任を取るのか」というこんな危機的状況では極めて無益な反論が枠組みを硬直化させているのであろう。

権利関係など言っている場合ではなく、選手村の3000人以上収容できる施設を多少即席でも改造して、軽症陽性者を入院させる。やはりそこにも医師や看護師は最低限必要であろう。緊急事態として「準病院」として認めればいい。単なる滞在施設では弱すぎる。軽症と言っていても、少数だが急激に悪化する患者もいるから、自宅待機は無理な話である。大体から、軽症でも専門病床に入院させるという法律に固執しておいて、いきなり自宅待機となるというのもどうかしている。物事には順序がある。それがトリアージの大きな役割だ。トリアージをきちんとすれば、今の東京の危機は回避できる可能性は高い。東京で回避できれば、これから続くであろうその他の地方での感染拡大にもその経験は役立つ。今のイタリアやスペインや米国のようになったら、そのような丁寧なトリアージは不可能になってしまう。

国民は、それぞれの立場でできる最善をすることが最重要だ。自分だけ良ければいい、というのでは今回の危機は逃れられない。一般人は「自宅退避」という積極的武器でウイルスと戦うこと。一般人でも、各種団体集団、会社などのリーダーの方々は、仲間を守るためにも、未来の人を守るためにもきちんと行動するべきことを周囲の人に伝える。医療人は、特に貴重な資源であるので、自分の身を守りながら(医療人に限り「うつらない」を優先することが、人を守ることに通じる。)ウイルスと戦う周囲の人たちのリーダーとなる。専門医のリーダーたちは、政治や経済に忖度することなく、最善の方法を主張する。政治家は、それを踏まえて、国民の生活を守ることも考えつつ、落とし所を考えて、素早く実行する。経済界の重鎮たちは、もしかしたら、この危機を乗り越えかけた時くらいから力を発揮してもらうことになる。資本主義に基づく経済競争を一旦リセットして、経済リソースをなるべく遍く国民に還元して、そこからまた、新たに経済競争すればいい。

夢物語的な国民の行動規範を述べてみた。

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200402コロナが教える人の道20 自宅退避はウイルス撲滅の最強武器だ

2020年04月02日

コロナ疲れや自粛疲れなどと言われる。誰もが同じ気持ちだろう。ここで、発想の転換をしたい。自粛と言われるから「我慢」「辛抱」という言葉を連想し、「ウイルスから逃げ隠れするのに疲れた」という感じになる。しかし「自宅退避Stay at home」は、ウイルスに対する一般国民ができる最大の武器であると強く意識すると感じ方のイメージが変わる。ウイルスのやつらは、自分の力で増殖できない。人の細胞に取り憑いて、人の力を借りて増殖し、人の移動に乗じて自らも行動範囲を拡大するのである。それこそがウイルスの弱点である。幸い、今のところはこのウイルスはほとんど人間に取り憑くから、我々人間がそれを拒否すれば、奴らを兵糧攻めにして移動を封鎖できるのだ。一部動物への感染の可能性も報告され始めたから、今が奴らを封じ込める最後のチャンスかもしれない。
いつもは楽観的なな外科医をしている息子が、今回は思った以上に警戒している。彼がSNSに「発想の転換をしよう。自分がうつらないように気をつけるのではなく、自分が感染者だと想像して人にうつさない行動を意識することで、いろいろ見えてくる」と書いたようだ。直接息子を褒めることはしないが、「その通りだ」と思う。「うつらない、うつさない」と両建てで考えていたが、「うつさない」と一本化することで、行動指針がよく見えてくる。
それで自分が取るべき行動が見えてこないとなると、その人は新型コロナ以前の問題かもしれない。

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200327コロナが教える人の道19 コロナが引き出す悪魔の心とならないように

2020年03月30日

表題は、確か新聞で見かけた川柳である。でも言い得て妙である。この国家的危機に際し、民衆の取る行動はまさに千差万別である。専門家の言っていることも十人十色であるから、それを聞いている一般人の心が揺れるのも尤もだ。しかし、どのような専門家も完全無欠な意見は言えない。何しろ、初めて体験するウイルスであり、かつ、既知のウイルスとはその特色が異なる部分が多いように見える。そうは言っても、多くの部分は一般論としての感染症やウイルス学が当てはまる。

昨日、一昨日(3月末の週末)は、東京で、「外出自粛要請」が小池都知事より強い口調で示された。それに反応して、都民の大方は外出を控えた。しかし、ある放送局の聞き取り調査では、なんと15%の都民が「いつもと同じように外出した」と答えた。「やむを得ない理由で外出」ではない。パレートの法則をご存知であろう。「概して世の中は20%の人により動かされていく」という考え方だ。この危機を救ってくれるのも、20%の人々であり、みんなを滅亡へ導くのも20%の人々ということだが、僕は下手をすると20%ではなく5%と言っても大きな間違いはないのではと思っている。
「自分自身がウイルスの運搬人になることの恐怖」を想像できる人は80%いるだろうが、それを感じない、思わない、むしろ否定する20%の人は、このウイルスを蔓延させる要因としては十二分な量になる。悲壮な状況に陥っているイタリアでは、知事や首相レベルの人が「(そんな集団には)火炎放射器を持った警察を向かわせる!」と叫んでいる。必死である。気持ちはわかる。しかし、日本で政治家がそんな発言をするととんでもなく非難されるだろう。(勇気ある政治家を期待するところだが)全ての人を説得させるには「太陽か?風か?雨か?、、、」僕には答えがない。

こんな時こそ、模範やリーダーが重要だ。我々年寄り組が「若者たち」に理解を求めて叫ぼうが宥めようがその効果は限定的だ。それぞれの集団のリーダーや憧れ的な人々から発信することこそ重要だ。テレビニュースや新聞を見ない人に、著名ユーチューバーが自粛を呼びかけたと聞く。「あっぱれ」だ。結構効果があったのではないだろうか。世の中の人気タレントやアイドルたちが同様の行動を倍加してくれることこそ最後の15%に訴える方法だ。無観客ライブをネットで流し、「この場に来れない人こそ本当のファンです」と叫んでほしい。そして本当のファンなら、ネットを通じて〇〇ペイで、好きなだけ払えばいい。それこそ「ファン中のファンです!」

それでもダメなら自衛隊か機動隊に頼るしかない。この危機的状況を知りつつ、3つの「密」をあえて行うものは、「凶器準備集合罪」に等しい行動とみなされてもいい危機的状況間近なのである。

しかし、僕の本音は、このコロナウイルス禍を乗り切った暁には、自分の権力やお金を追求するのが自由な資本主義の真髄と確信して突っ走ってきた我々は深く反省し、人の痛みがわかり弱者に配慮して控えめな行動できるものこそが賢者で強くクール(格好いい)だと分かる世が到来するものと信じている。その模範として、家族や年寄を大切にし尊重し、スローライフを実践していたイタリアやスペインがこの行き過ぎたグローバル時代の呪いを受けている姿に心が痛んで痛みすぎている。そんなイタリアで、看護師のボランティアを求めたら7000人も応募した。コロナで犠牲になったものの10%が医療従事者というのに!辛い、辛すぎる。

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200324コロナが教える人の道17 医療人の献身に脱帽

2020年03月24日

世界が一致団結してCOVID-19に立ち向かっている。しかし、残念なことに、その間にも弾道ミサイルを撃つ国もあれば、世界の巨大大国の間で罪の擦り合いが激化している。中国の政治や商売のやり方を非難する声は多い。今回の災の発表の数字もあてにならないと巷で言われている。しかしWHOなどのサイトの論文を読んでいると、その中国でも医療人は懸命にしかも献身的に相当な努力活動をしていることが十二分に窺われる。今最も感染が拡大して死亡者が多いイタリアやスペインでも同様だ。「医療体制が脆弱で死亡者が多い」と言われているが、それは国(政治家)が、財政(お金)を優先して医療への補助を少なくした結果、病院などの医療リソースの余裕がなく、今回のように急激に医療が必要な時にそのキャパシティーがパンクしているのである。しかし、その中で、医師を中心に医療人たちは、自己犠牲を省みることなく献身的な活動をしている様子がニュース映像の中から垣間見られる。政治家や経済人(商売人)が権力や経済(お金)をひたすら追い求める習性があるのに比べて、医療人の献身性、社会貢献へ心が向かうという習性は世界共通なんだなと、こんな危機の最中に再認識した。何も医療人の端くれとして、自己弁護や自慢しているのではない。問題は権力、お金を持った人々が強大で、医療人魂を持った人々はそれほど力がないということが、「そんな体制でこの危機を乗り切れるのだろうか?」と国民に不安を与えてしまっているのではないだろうか。

僕は医学部の後輩学生と「一般人向け医学塾」などを通じて交流を深めている。若い医学生の社会貢献意識は思った以上に強いことに驚き安堵している。テレビニュースで、若者が自粛お構いなしに「我々はコロナなど関係ない。この瞬間が楽しかどうかだ」などと話しているのを見た。日本とアメリカの映像だったが、他の国ではどうかは分からない。しかし、「若者」が皆悪いわけではなく、「年配者」が皆道徳的というわけではない。前ブログでも書いたが、ぜひ心ある方は、なるべく正確な知識に加えて、「弱者を守る勇気」を周囲の人たちと話し合い、その心意気をウイルスの伝播よりも早い速度で広めてほしい。それこそが、この危機を乗り切る原動力になるのではと考えているが、いかがであろうか。

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200313コロナが教える人の道14 格好いい富裕者求む!

2020年03月13日

前回のブログで書いた「富裕者からしっかり税金を頂く」ことの方法論はいくつかあるだろう。
「人が頭と労力を使って稼いだものを、国が税金として取り上げるのはけしからん。税金がもっと低い国もある。大体から何に使うのかもわからないし。」というだろうし、大体から今の政権中枢の人たち(いつもそうだろうが特に今のお友達内閣は、、、)は、周囲の稼ぎ頭たち(セレブたち)が大好きで、その優遇を元に力を蓄え続けている。その姿は美しいであろうか?人間的魅力に乏しい集団が「お花見」に集まったのだろうと、想像してもゾッとする。

9年前の東日本大震災の時、当時大人気で、相当な稼ぎで有名であった石川遼プロゴルファーがいる。僕の2011/3/16のブログの中で次のように書いた。

また、富裕層といわれる方々には思い切った寄付もお願いしたいと思います。義援金と呼ばれる我々庶民からの小額の寄付を集めることも大切でしょうが、大口の寄付は手続きも簡単で効果は絶大だと思います。

アメリカで難を逃れた石川遼君。昨年の稼ぎの残りを全部寄付してはどうでしょうか?本当の国民的英雄になれます。そして、綺麗ごとを言ってはいるものの、国民大衆からお金をトローリングして、その力で政治家になろうとしているような偽善者のなかに潜む本当の人情を引き出す模範となってみてはどうでしょうか?

すると、まさかこのブログを見たわけではないだろうに、その年の全賞金を寄付したのである。

 

そして同年3月31日のブログに次のように書きました。

このシリーズ第5回目に「石川遼君、昨年の稼ぎをみんな寄付してはどうだろうか?」と提案しましたが、まるでそれに呼応してくれたかのように、昨日、「今年の全賞金を被災者のために寄付する」と宣言してくれました。日本を代表する人気者が率先して、自己犠牲を伴った支援をする模範をしくれた意義は大きいと喜んでいます。イチローはいつもながらいち早く名乗りをあげましたし、松井も続きました。

実業界ではあまり出現しないのは残念です。

 

あまりセレブ業界のことは縁遠く分からないし具体的な試算はしていないが、例えば、年俸5000万円以上の部分は所得税を95%、過去3年以上黒字の企業法人税を90%、フルタイムできちんと働いているのに年収250万円以下の人(上記法人税にすれば社員の給与を上げる法人は増えると思うが)には何らかの補助金を、とすれば消費税0としても十分にやっていけるのではないだろうか。今回のコロナ被災でも分かったが、医療や福祉をインフラと捉え、民間営利型から、半官半民もしくは国営とすると国民の安心感は増すとは思うが。


家族や友人からは「あんたが政治家になったらすぐに暗殺されるね」と言われている。

何事も模範が一番効果がある。親は、子供に偉そうに叱るよりも、自らが範をなせば、必ずその背中を見ている。痛いほど分かる。そう思わないだろうか、皆さんは。

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200313コロナが教える人の道13 経済をどう支えるか?

2020年03月13日

新型コロナウイルス肺炎による国家的被害もさることながら、このことによる経済的生活的被害の方が先に強く出て、日本も厳しい状況に追い込まれそうだ。貧富の差の拡大が問題だと、米国では大問題、日本でも彼岸の火事ではなくなりつつある中、このままこのコロナ感染が拡大すると、適切な治療を受けられる格差が起こったり、経済的には、弱者が切り捨てられていく様相を呈し始めている。もちろん治安も悪くなる。米国ではそれに気がつき始めた、企業経営者がボツボツと出始めたようだ。民主党候補に名乗りを上げた(今は降りたが)ブルーンバーグ氏は「我々みたいな富裕者からしっかりと税金を取らなければ今後の米国の財政は危機になる」というようなことを言って立候補したと聞く。売名行為での言葉かどうかはその真偽は僕にはわからないが、言ってることは重要で正しい。また、ある有料企業の経営者は、自らの報酬を億円単位で落とし、全従業員と同じ700万円程度にした。「一部の経営者が高額な報酬を取っていく時代は過ぎた」というようなことを言ったらしい。日頃から経営者や経営陣の報酬が高額になりすぎている(従業員平均報酬の5倍くらいまでが限度にすべきだ)と主張する僕ではあったが、「何もそこまで」と思ったが、その経営者は実に格好いい。うらやましくらいだ。

政府は「思い切った経済対策を考えている」と言っている。彼らにとっては、せいぜい消費税を10%から5%に下げる。しかも期間限定で、くらいではないだろうか?貧富格差が広がる面白くない世界をリセットする大チャンスとして、皆が驚き、拍手喝采する(一部の人たちは渋い顔をするだろうが)ような、「あっと驚く政策」を打ち出してほしい。

消費税はこれを機会に「0」とする
足りない分は、過剰に稼ぎすぎている、過剰に蓄積している人や企業から放出してもらい、日本はこれから、穏やかな成熟した国を目指す!

たったこれだけでいい!

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200311コロナが教える人の道12 専門家たちの声に耳を!

2020年03月11日

テレビのコロナ関連番組に、疲れながらも気になるから見てしまう、という方々は多い。我々医師の間でも、感染症が専門でなければ、正確なコメントは難しい。それどころか感染症の専門家の間でも意見が分かれている。そんなかで、バラエティー番組的なゲストが口々に不安や政府や中国などへの文句などを並べ立てる番組はいい加減やめてほしい。こういった非常事態の報道は、民放は協力して、専門家情報を流す一番組に統一して、NHKは政府からのメッセージに統一するというような仕組みにできないものだろうか?それだけで、国民の不安は軽減するだろうし、過剰な買い占め行為は抑制されるであろう。

医療判断学を開拓した僕でも、今の状況の判断と行動には悩む。なるべく専門家の冷静な情報を読む(できれば文章化されたものがいいが、タイムラグは生じる)ようにしている。WHOのある専門家の文章で感じたことだが、「中国の患者数などの数字は当てにならない」と小馬鹿にした報道をよく耳(目)にするが、案外そうではなく、中国の医療人は結構頑張っているし、SARSなどの経験値もそのレベルは上がっているのかもしれないと感じた。むしろ、検査体制についての奥歯に物の挟まったような言い方をする日本の政府要人たちの実態把握の程度の方に疑問を感じている。今頃になって、ようやく検査数や陰性、陽性の数などが発表されつつあるが、まだまだ不明瞭である。僕の出身の和歌山では、検査数も無理にでも増やし、その結果も公表した(ようだ)結果、感染者の数は抑えられている。保守的と思っていた和歌山の行動に驚いたが、褒めるべきではないだろうか。
癌など悪性の病気の告知は、一昔前は本人に伝えないのが日本では普通であった。その代わりそれを伝えられた家族や担当の医師の責任や本人への愛情ある対応の重さは相当なものであった。それぐらいの覚悟がないと、「不安を募らせないためにも、、、、事実を伝えるのを見合わせていた」ということはできないものである。その覚悟に自分自身が悩んだり、患者さんのご家族とも一緒に悩む日々であるのだが。

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200310コロナが教える人の道11 少しわかってきたようだ2

2020年03月10日

とかく見えざる恐怖は恐い。逃げたり闘ったり放置しておいたりできないからだ。
今、世界中で新型コロナウイルスが恐れられているのは、その実態が掴めていないことが最大の理由だ。

100年前のスペインかぜ、10年前の新型インフルエンザ、古くはペストなども同じ恐怖があったであろう。
体の免疫機構からしても、このウイルスは、初めての敵となるから、やっつける方法の経験値がない。テレビの報道で、今や国民の多くは免疫の仕組みの勉強をしているであろう。我々の体はよくできていて、病原となるような異物が侵入しないように、または、侵入した異物を撃退する仕組みが備わっている。いろいろ複雑な仕組みが絡み合っているのであるが、その一つに「抗体」というものがある。敵対する病原体に適合した攻撃物質を作成し、撃退する仕組みである。基本的には、それぞれの病原体や異物に特異的に働く(そのものだけに効果がある)抗体が体内に産生されて、我々の体を守ってくれるのである。つまり、一度以上、その病原体に出くわしていないとそれに対する抗体がないことになる。今回のCOVID19は人類にとって初めて遭遇するウイルスなので、誰もが抗体を持っていなくて、ウイルスからすると、とても容易にどの人間にも住み着きやすいということになる。今回感染して、回復した人々の体内にはほぼ間違いなくCOVID19に対する抗体ができているはずである。(いつまで存在するのか、今のところ分からないが)。COVID19に対する抗体のことが分かってくると、手軽に感染の有無を調べたり、治療薬の開発に役立てたりすることが可能になる。なぜその研究のことが報道されないのかと不思議に思っていたら、一昨日横浜市立医大にて抗体作成に成功したと発表された。COVID19退治に一歩進んだと言えよう。喘息に使う薬が効きそうだとか、HIVの薬が効きそうだとか、アメリカの研究室で、ワクチンの試作品の合成ができたなど、従来より遥かに速いスピードで研究が進んでいることも事実だ。
一線の専門家たちは、このように不眠不休で頑張っている。また、一線の医療従事者たちも、この巨大な敵COVID19の攻撃を受けながらも、従来からの患者さんの対応をきちんと行っている。

我々は、そのような方々にエールを送るとともに、一人一人ができることを真摯に考え実行していく必要がある。この試練を乗り越えれば、くすぼりかけていた最近の我々人類の問題点(地球温暖化問題、核兵器の問題、テロなどの問題、貧富の二極化問題、戦争勃発しそうな不穏な空気などなど)の対処についても智慧が得られるようになるのではと夢想している。

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200310コロナが教える人の道10 個人でできること

2020年03月10日

この厳しい状況にあって、政府や医療関係者に「助けてほしい」と国民は思っている。少しでも、その対応が思わしくないと、不安が不満になり恐怖や怒りへと発展していく。また、自分だけは逃れたいと思う人や、みんな道連れだ、とか、このパニックを利用して一儲けしようとか、羅列しているだけで怖くなってくる。とても危険な状態である。

「(正しい)知識は最強のワクチン」ということを医師になってから40年間言い続けている。実際に、一般人を対象とした、医学塾も100回以上開催している。情報社会の現在においては、「知識」を「情報」に置き換えることも必要かもしれない。
今、我々個人にできることは、「できるだけの努力をして正しい知識と情報を学習して、冷静に行動し、冷静に怖がる」ことではないだろうか。「自分だけ助かろう」という発想では、今回の困難は乗り切れない。僕はあまり好きではない言葉であるが「護送船団方式」的発想が、今回は必要かもしれない。
不安のあまり「過剰な買いだめ」的な行動はしないし、周りにも勧めない。(もしくはそういう人を咎める)
外出より戻ったら、まめに手洗い、顔洗い(一般的ではないが僕はこれも結構有効かと思っている)、うがいなどにて少しでもウイルスを除去する。
不要不急の用事にて、大勢で集まらない。今しばらくは付き合いの悪い人になるしかない。
コロナ感染症も心配だが、世の中にはもっと厳しい病気と闘っている患者や医師が今までと同じく存在していることを理解する。
国としてにリーダーが必要だが、小さい集団にもリーダーが必要。そのような立場の人は、正しい知識と情報を特に学習し、小集団においてもリーダーとして振る舞う。

などなど思いつくことを書いてみたが、追加や補正のご意見などをお聞きしたい。

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200310コロナが教える人の道9  政府の判断と医療判断学

2020年03月10日

ますますコロナを巡る事態は悪化の一路のように見える。いつも言っていることだが、窮地の時に誰もが望むことは、しっかりしたリーダーだ。この国家的(世界的)危機に際して、政府がどのように判断し、どのように国民を導いてくれるのか期待しているが、肩透かしを食っている状況とも言える。だから、国民は何かできることをしたくてうずうずしている。マスクを買おうにも、どこにもない。仕方がないから、ちょっと気になるトイレットペーパーでも買っておけば安心かと思っているところに、変な噂が流れて、ご覧のような有様である。我が家では、そんなことで慌てて買いだめしてはいけないと呑気にしていたら、「そろそろ必要か」と思って、近くのドラッグストアなどに行ったら、まだ品切れ状態であるから、この現象からだけでいくと、トイレットペーパーをいち早く買いだめした人は一見正解の行動に見える。一体そうなのかどうかよく考えてみてほしい。

僕の提唱する「医療判断学」においては、「医師たちが診断した医学的結論の選択肢に対して、患者としてどのように選択し行動していくか」について、学問的に思考し、さらに実践的にはどうしていくかということを研究実践している。感染症の専門家委員会と政府の関係に似ている。その意味では、医学専門会員は、経済や政治に忖度せず、純粋に医学的に判断した選択枝を模索し提示することに専念するべきである。そして、政府はその選択肢を基本に、経済や国民の生活などを考慮した総合的結論を導き出し、政府の責任において判断決断し、国民にきちんと説明し、納得されれば、国民も含めた総責任において粛々と実行していくしかないのである。
その上で、国民一人一人は、各自の立場や能力で、できることを微々たる力であっても実行していくことが大切であり、それで初めて国が「ワンチーム」となって、危機に立ち向かうと言える。こう考えてみると、僕の提唱実践する「医療判断医」は、政府に当たるわけで、その責任の重さに改めて身震いするが、そのつもりで行動してきた30年間を振り返っている。

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200302コロナが教える人の道7 やっと出た学校閉鎖要請、でも他には?

2020年03月02日

COVID19感染症に対抗する、国民への具体的な要請としての全国の学校閉鎖要請が総理より発せられた。遅すぎるとの声が多いようだし、僕も同じ意見ではある。問題ポイントは「遅いのに、唐突である」ということだと考えている。以前のブログでも述べたが、どうも総理の周りには「国民は(無知で)動揺しやすいから、情報はなるべく我々中枢でコントロールし、開示する時は突然の命令の方が効果的だ」と考える幹部や専門家が多いように僕の目には写る。そんな日本に引き換え、台湾の国の対応が世界から注目され称賛されていると聞いた。大統領自ら、陣頭に立ち、国民を守ろうと必死で懸命に努力をしている姿が、国民に伝わっているというのだ。ウワベだけでは、国民は騙されない。そして、基本的には、国民にも情報をリアルタイムで共有できるシステムをいち早く構築している。その立役者は、「公僕中の公僕」を使命にして、政治家となった人だ。トランスジェンダーとして辛い過去を味わったとの話だ。マスク一枚一枚の動きまでトレースして、国民に行き渡るように配慮しているというから驚きだ。
「国のため」「国民のため」を最優先している政治家は、少なくとも日本では、ほとんどいないように僕には見える。「ノブレスオブリージュ」を何よりも愛する僕としてはとても残念なことだ。まあ、政治家に限ったことでなく、経済社会の重鎮たちでも、我々医療の世界でも残念な人は少なくない。でも、あえて、弁護するなら、医療の最前線で頑張っている人たちの多くは、自己犠牲をしてでも人のために尽くしている(ように見えることが多い)。少なくとも、その比率はいろいろな職種の中でも多いと感じている。安心してほしい。その比率の半分でも、政治家や経済界の重鎮や富裕層などに存在すれば、こういった危機をもっとスムーズに乗り越えられるのでは夢想している。非難を受けるのを覚悟であえて言いたい。

「学校閉鎖」の話に戻そう。集団感染(クラスターという言葉が流行っているが)を防止するには、人が集まらない、移動しすぎないということが基本的だ。そういう観点では「学校閉鎖」は一つの手段としては正しい判断だと考える。しかし、これだけでは効果は極めて低いと予測している。しかも、子供を自宅で面倒を見るために、医療現場では看護師、医師なども不足することも予想される。保育園や学童は制限していないようだが、そちらでの集団感染が心配だ。机上の極論としては「学校閉鎖」と同時に、全ての国民が自宅に閉じこもり2、3週間全く動かなければ、感染症はほぼ抑止できるであろうことは想像できる。それが無理となれば、「学校閉鎖」のように一部分を極端に制限するよりも、大人も含めて総論的に、移動や接触をある程度抑えるパッケージで考える方が効果的ではないかと僕は推論する。望むらくは、今回の全国学校閉鎖の要請が、事態の深刻さを国民に浸透させ、不要不急の外出を極限まで押さえ込むことができることと、一方、マスクやトイレットペーパー、食糧などの供給は大丈夫だとの安心のメッセージを国民に伝えることができることを願うばかりだ。

各分野や団体でリーダー的な立場の人は、なるべく正しい(正しそうな)知識を得る努力をして、周囲の仲間のリーダーとして、一人一人がどのような行動をとることが大切なのか伝えていってほしい。今こそ、本当の「ワンチーム」になれるかどうかの瀬戸際だ。

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200228コロナが教える人の道4 僕ができること、していること

2020年02月28日

仕事上の約束は当然であるが、友人との遊びの約束でも無断で破ることはおろか、ドタキャンも66年の生涯ほとんど記憶にないくらいの僕にとって、非常事態である。かねてから、約束して計画していたいろいろなことが目先にもいくつかある。しかし、今は、「約束を破らない男」としての名誉を考えている場合ではない。ここは、一つ一つの約束事に丁寧に対応して、無期(でも可能な限り近い将来)延期の策を取り始めている。以前から何度も述べているように、未知の感染症対策の基本は「封じ込め」である。多くの人数が集まると、総人数に応じて指数関数的な接触が生じるからである。

=>  4、5人以上が一同に集まる機会は自ら作らない。(車で行って、野外で行うゴルフはかろうじてセーフであろうかと自己弁解したいが、悩むところ)

手洗い、マスク、うがいが個人ができる予防の基本と言われる。ご存知のように、「手洗い」が圧倒的に有効で、「マスク」はもし潜在的な感染者であった場合人にうつさないというために有効という意味合いはある。ただし、多少の空気感染を起こしているのではという説も浮上してきているから要注意である。ウイルスは粘膜から侵入するので、うがいも多少の効果は考えられる。そうなると帰宅時に顔をしっかり洗うことも大切になる。大半は、手すりや椅子机などについていた飛沫内のウイルスを触ることであるから、手洗いとともに、使い捨て手袋を着用するのもいいかもしれない。医療機関内以外では、今のところほぼ誰もしていないので、違和感はあるが。

=> 手洗い、使い捨て手袋、うがい、顔洗い、エチケットマスクといった心がけが基本

現在のところ、決め手となる治療薬はない。となると自己免疫力と重症化した場合の手厚い救命医療に頼らざるを得ない。生活習慣病対策と同じ注意である。規則正しい生活の一言に尽きる。この際に禁煙に取り組むことは、長い目で見てダブルで効果があることになる。また、過剰な不安は、免疫力を下げるので、正しい知識を得る努力をして、正当な危機感を持つことである。重症化した時は、日本の医療を信じるしかないです。実際現場の医療人のほとんどは過剰労働に耐えて頑張っている。普段から、そういった努力を応援する行動をとってほしい。

=> 規則正しい生活。禁煙。節酒。正しい知識。医療を信じ、普段から医療人を大切に応援する。

今朝のニュースで、トイレットペーパーが売り切れている????という報道に驚いた。中国から輸入されないからとの噂が原因らしい。メーカーは99%日本製なので安心してくださいと訂正報道をした。こういった「自分だけが助かりたい」という、人間の悲しい性を全面否定はしないが、ここは落ち着いた行動をとりたい。これからは家に閉じこもることが多うなるだろうから、1週間分の食料をまとめて買って、家庭内で料理して、不要な外出を避けるのは理性的な行動である。これと、1年分の食糧や水を備蓄しようという焦った行動は全然というか正反対の行動となり、社会不安を助長する。

=> 買い占めという愚行は慎む。金の亡者と同じさもしい人種になる。力を合わせて、皆で助かろう。

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200228コロナが教える人の道3 遅すぎの突然の学校閉鎖

2020年02月28日

やっと政府として、国民に対して具体的な対策要請(命令)がなされた。「全国の小中高の全面閉鎖」、衝撃が走ったのは言うまでもないが、世間は「やむを得ない判断だが、もっと早く出して欲しかった」との見解が大方だったように感じた。国民の方が的を得た考え方だ。ここ数年の災害に対する内閣の対応を振り返ってみると、「国民に動揺を与えたくないから」、事実の公表をまずは控える。どうしようもなくなったら、急に命令を出す。大企業人事やワンマン企業の社長のやり方に近い。情報のリークにより不要な不安を掻き立てるのを防御していると彼らは説明している。それは国民や社員をバカ扱いしているに他ならない。

今回も少なくとも1ヶ月以上前から、「全国的な学級閉鎖」「大人数が集まるイベントの禁止」「テレワーク、極端な時差通勤」の要請などの措置をとるかもしれないと国民に発信しておくべきだったであろう。そうすれば多少の準備はできる。トップ命令は急に行うから効果があるという前近代的な風潮が日本の政治や会社の中に旧態依然として残っている。急な転勤命令を受けた経験者は少なくないはずだ。「(学級閉鎖の副作用など)何も考えていない。走りながら考えていく」この段階で一国のトップが発する言葉かと耳を疑った。

政府も日本国民を信頼して、情報をきちんと流し、テレビ局各社の独自番組でなく、「政府広報番組枠」を作って、定時的に流すべきであろう。政府からの命令、要請、とともに補償の内容や予定などもセットにすればパニックにはならない。国が守ってくれないなら、自分で守るしかないから、マスクやトイレットペーパーを買い漁るしような浅はかな行動に出て、それが報道され愚行のスパイラルとなっていく。

そのいい例が「PCR検査」の不思議、不明瞭性だ。我々、一線の医療人でも、どうしたらこの検査ができるのか判らないし、どうしてできないのかも判らない。大体から、政治家たちも「PCR検査」と簡単に話しているが、一般人同様、今まで聞いたこともない言葉であろう。「疫学的調査をきちんとしてから」など誰かの受け売り的な言葉しか出てこないから、対策が後手後手になっていく。もちろん専門家対策委員たちもいるが、指導、リーダー、責任体制が明確でないから、各方面への忖度案しか出てこない。総理大臣、医療専門家のリーダーが雁首を揃えて、明確なリーダーシップを発揮しながらの舵取りが急務である。

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200226コロナが教える人の道1 リーダーの必要性

2020年02月26日

今年の年賀状のご挨拶で、「2010年代の日本は数多くの歴史的な自然災害に見舞われた年であったが、2020年はその数字の見た目のようにニコニコした年になりますように!」と書いたことが、見事に裏目に出た状況となっている。しかも日本だけでなく、世界中のことだ。ただし、自然災害なのか、人的災害なのか、今後検証する必要があるであろう。僕は僕なりにはっきりした見解を持っているが、このブログのシリーズでも言及はしていきたく思っている。
でも、まずは医療従事者として(医学作家として!)、なんとか皆さんに、マスコミで出回る情報の整理に役立つような話をしていきたい。僕の事務所の医療活動の根源にあるテーマは「いかに多くの人に安定した安心を提供できるか?」である。そのための手段として「正しい知識は最強のワクチン」「良質な医療相談の提供」を2大柱にしている。前者の一つとして「教養と健康のための医学塾」を毎月開催し、114回目を迎えようとしている。後者のためには、民間版の侍医システムと医療決断の相談専門のクリニックを運営している。個人としては「医学作家」と称して、医学や医療の知識や医者の世界のことなどをわかりやすく伝える執筆活動をしている。その一部は、このホームページでも公開している。ネットの医学情報の見分け方の大切なポイントは、誰が書いたのかきちんとわかるようにしていることである。さらに、一歩踏み込んで、「幸福論思想家」と勝手に自称して、「幸福」という考え方に、何事にもとらわれず、誰にも忖度せず自由な思想を発信するということを今後の課題にしている。

本シリーズでは、医療関係者の医師としてだけではなく、医学作家として、時には幸福論思想家としての踏み込んだ私見も述べていきたい。

今現在、日本人の多くは不安でいっぱいである。そして「政府は何をしているのか?」と不満でいっぱいでもある。不安、不満は恐怖へと進み、さらには怒りにも発展する。不安の根源は「情報の真偽がはっきりしないことである」役人たちの言っていることが、なんだか奥歯に物が挟まっている感じがする。一般に、知識がないとやたら過剰に怖くなるか、知らぬが仏となり、無分別な行動をとってしまうから、始末が悪い。
不安の根源は、「リーダー不在」を感じ取ってしまうからだ。大ピンチの時に、誰を信頼してついて行ったら良いのかわからないのが最も不安である。アメリカのCDCと言われる国家の感染症制御組織があれば、そのトップが絶大な権力と責任を持って対処していく。日本では、そういった感染症対策の絶対的リーダーがいない。専門者会議の意見を聞きかじった大臣が棒読みする声明では、不安になるのは当然である。いろいろなところに忖度せず、国民の安全を最優先するリーダーが必要で、その人と経済のリーダー、全体のリーダー(総理)と喧々諤々にやりあい決断していく姿を見れば、国民の多くは黙ってついていく。

 

残された時間は迫っている。いろいろな人から嫌われる勇気を持って英断してほしい。

最近の「主侍医からのメッセージ」もお目通しいただきたい。

そういえば、東北大震災の時も同じようなことを書いた。こちらも参照いただきたい。
https://drkenzo.com/blog/2011/03/post-26.html

新型コロナウイルス情報を毎日更新してお届けしています
https://drkenzo.com/archives/2020/0221_122110.html

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人間の幸せ度 2016/7 主侍医通信より

2016年07月27日
 英国のEU離脱が国民投票で決議されました。色々な観点からの意見や感想があることでしょう。いずれにしろ国を二分する戦いが起こっていることは事実です。またアメリカではトランプ氏が大統領となる可能性も全く否定はできない状況と見受けられます。「そんな馬鹿な」と大勢が思っているようなことが平気で起こり得るのです。ISや北朝鮮の危機は一向に治まりそうもありません。世界の景気が同時に悪化する懸念があります。国内に目を向けてみると三菱自動車、東芝問題をはじめとした大企業の中枢から発した不祥事が次から次へと明るみに出ています。大塚家具の問題に代表される内紛は後を絶ちません。公務員や医師や大学教授の不正、芸能界をはじめとする不法薬物問題もキリがありません。

 人類は、その類まれな知恵で常に進化を続け、特に直近(?)の2000年の進化には、目をみはるものがあることは誰もが認めるところでしょう。では、それでどれだけ人間の幸せ度が向上したのかというと、それほどでもないのでは、とこれまた多くの人が感じ始めているようにも思えます。

 医学の分野で言えば、寿命が圧倒的に伸びたことが絶大なる進化といえるでしょう。歴史的に多くの人が亡くなった感染症をどれだけ克服し、数十年前には治療を諦めていた白血病や黄斑色素変性症などもかなりの確率で治癒できるようになりつつあります。また手術に際する痛みの制御も驚くほどの進歩があります。開腹手術の翌日には歩けるなんて、私が大学受験直後に自然気胸で入院した時の記憶からは隔世の感があります。

 医療人の一員として、人々の幸せにいくばくかは貢献している、との自負を持ちたいのですが、冒頭に掲げたような大規模な不幸に囲まれた現状に複雑な思いの今日この頃です。

 暗い話をしてしまいましたが、主侍医としてできる限りを尽くす、という原点を大切にしつつ、「幸福論思想家」の活動を目指している身としても、皆さまの笑顔のために奉公したいと思っています。
 
2016年7月 吉日 寺下謙三

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