シリーズ執筆

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腸閉塞

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 NKH健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報  №103

 カルテ54  消化器内科、消化器外科

 2014/10/20

 


◯概説◯

何らかの原因により腸管の通過障害が生じた状態を言います。イレウスとも言われます。その原因により、機械的イレウスと機能的イレウスに大別されます。前者は、癒着や腫瘍などで物理的に腸管の内腔が閉塞されることが原因となります。後者は、腹部の手術や他の病気などによる炎症などが原因で腸管の運動に障害(麻痺性イレウス)が起きることにより通過障害をきたします。両者は病態によりさらに分類されますが、重要なことは、虫垂炎などと同様に「緊急手術が必要かどうか」の判断を必要とする「急性腹症」という一連の病気の仲間であるということです。

◯症状◯

腹痛、吐き気、嘔吐、腹部膨満感、排便排ガスの消失が主な症状です。腹痛は激しく、初期では持続的ではなく間欠的なことが多いようです。

◯診断◯

特徴的な症状に加えて、腹部単純レントゲンで特徴的なガスの貯留像が見えるという昔ながらの検査で、たいていの場合は診断がつきます。さらに原因などを探索し、緊急手術が必要かどうかの判断をするために、超音波やCTスキャン、血液検査なども重要です。

◯治療◯

この病気のポイントでもありますが、緊急手術が必要か、保存的治療(外科的治療以外の安静や薬物治療)でよいかの判断が重要です。いずれにしろこの病気が疑われたら、安静の上、絶飲絶食となります。閉塞部位より口側の圧を押さえるために、胃にゾンデ(治療用の細い管)を挿入することもあります。点滴で水分、電解質、栄養の確保をしながら様子を見て、状態が改善しなければ手術を検討することになります。たいていは保存的治療で改善しますが、時に緊急手術を選択せざるを得ない場合がありますので、担当医とよく話し合っておくことが肝心でしょう。

◯生活上の注意◯

以前に腸閉塞になったり腹部手術の経験者は、この病態に陥りやすい傾向があります。普段から規則正しい生活習慣を心がけ、特に快便を維持できるようにヨーグルトの常用など食べ物にも配慮することが予防の秘訣でしょう。

多汗症

 150727_NKH106_№57_takanshou.jpgNKH健康ライフ講座」日本機械保線株式会社社内報  №106

 カルテ57  皮膚科、心療内科

 2015/7/27

 

 


 

〇概要〇

精神的負荷や温熱、辛い味などの負荷がかかった時などに、生活に支障をきたす程度の大量の発汗が手足や腋の下、顔などに生じる状態を原発性局所多汗症と呼んでいます。感染症や内分泌や神経の病気で起こる続発性多汗症と区別されます。一般に汗が多くて困っているという方は前者の状態と言えます。原因ははっきりしませんが、自立神経の過敏な反応と考えられます。

〇症状〇

軽症の場合は、単に「汗かき」という程度ですが、症状が強い場合は、生活に支障が出る程度の大量の発汗が生じます。その結果ワキガやあせもが生じてしまうこともあります。

〇診断〇

病状では診断は容易につきますが、基礎疾患が存在する続発性多汗症ではないかどうかの鑑別が必要です。疑われる病気があれば、血液検査やCTやMRIなどの画像検査が必要なことがあります。

〇治療〇

「原発性局所多汗症診療ガイドライン」という標準的な治療の指針があります。第1選択として、20%塩化アルミニウム水溶液を塗布することが推奨されています。また手足に対しては患部を水道水に浸した状態で微弱電流を流し、水素イオンで細胞へ働きかける「イオントフォレーシス」という治療もされています。第2選択肢としボトックス( A型ボツリヌス毒素製剤 )の局所麻酔も保険適用となりました。最終的手段としては交感神経遮断術も試されることがあります。

〇生活上の注意〇

常にタオルを携帯し、まめに汗をふくことになります。また精神的負担をなるべく軽減するように生活設計を行い、各種リラックス法なども取り入れるとよいでしょう。

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