「標準治療」最新版(第3版)

自分の病気や治療法がよくわかり安心・納得できるまったく新しい見方の実用書「家庭の医学事典」より充実した全面改訂最新版としてお届けします!
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<本書の5大特徴>

●誰もがかかる可能性の高い、代表的な570疾患を治療科目別・頻度順別に掲載

●第一線の専門医154人が、各疾患ごとに最適な治療法を具体的に解説

●各疾患ごとに、「医療機関へのかかりかた」がひと目でわかる「受診のコツ」を完備

●別冊に、いざという時の病医院受診の参考となるよう、信頼できる医師(執筆者)154人を顔写付きで掲載

●付録に、日頃の健康管理の基本として、個人や家族の基礎医学情報、重病時の心がまえ等が書き込め、
    また病医院でも使える、便利な「私のメディカルリポート」

総監修にあたって"
-家庭医学書・医療の水先案内書のデファクトスタンダードをめざして-

念願の第3版を上梓することができました。前回の改訂版でも同じような書きはじめであったと記憶しております。魂を込めて何かをつくった場合、その製作者は出来上がった瞬間に次の改良を考えているのではないでしょうか。BMWやフェラーリ、日本の車メーカーでも、新車を世の中に送った時は、すでに次のフルモデルチェンジの設計をはじめていると聞きます。

この「標準治療」の監修者としての私は、仲間のドクターたちが「そこまでやる監修者は聞いたことがない」というくらい製作の実務に携わりました。全体設計、執筆専門医の選定と執筆依頼、目次や医学語解説、医学分野の専門的校正、受診のコツの作成など、私と私どもの事務所のスタッフドクターが直接行っています。そんなわけで出版社の編集者もかえってやりづらいだろうなあと思いましたが、ライフワークの一環としての本書への取り組みの熱意に免じてお許しを願っています。それだけ熱を入れてつくったものだからこそ今回も「念願の改訂」となったわけです。

そうはいっても、原点、初心を忘れてはなりません。本書の製作ポリシーを再度振り返るために、初版の「総監修にあたって」から一部を抜粋します。


監修者の主催する「寺下医学事務所」は、医療の品質の安定化と向上のための仕組みづくりの掟言を仕事としていますが、かねてより疾病ごとに治療の標準化づくりが必要だと主張してまいりました。 最近ではアメリカを中心に「標準的な治療のガイドライン」を作ろうとする動きが活発化しています。この治療ガイドラインとは「ある病気に対する治療法で、現在のところ最善と考えられる方法の実践的マニュアル」ということになります。

そんなマニュアルは当たり前じゃないですか。それでは、今までは何に基づいて治療していたのですか?」-という皆様からお叱りのお言葉をいただくことになりそうですが、実はこの標準的な治療ガイドラインの作成というのは結構難しいことなのです。

医療の技術は日進月歩であり、今まではそれぞれの医師が経験や小規模な臨床試験のデータなどに基づき、創意工夫を凝らしながらよりよい治療法を試みてきました。当然、医師や医療グループにより微妙に治療法が違ってきます。

そういった状況の中、「これが標準治療だ」というものをまとめるには、相当な労力と時間がかかります。国をあげて、ほとんどの専門医が納得する標準治療を作成するには、大規模な臨床試験データが必要になります。ようやく、日本の医界でも、医療ミスなどの多発というきっかけもあり、病気ごとの診療マニュアルを医師向けに公開しようという動きが活発化し、厚生労働省や各学会などが主体にいろいろな病気の「診療ガイドライン」作成に乗り出しましたが、まだ、数十疾患についてのものだけでありますし、もちろん医師や医療専門家向けのものだけです。

医療ミスが顕在化し、日米での「治療ガイドライン」の作成が急ピッチで進むなか、一般人向けの「標準治療解説書」の必要性を考え、緊急出版しようということになりました。

本書は、こういった厳密な意味でのガイドラインの解説書ではありません。私ども寺下医学事務所が選り抜いた一線で活躍中の専門医に、現在自分たちが標準的に行っている治療や、おおよその専門医が支持するであろう標準的な治療法を、なるべく平易な言葉で解説していただきました。厚生労働省や学会が直接制作したものではありませんが、それぞれの専門医が所属する学会などの見解に基づき、標準的治療と考えられるものを掲載していただきました。国や学会などの標準化機関が決めていくのは「公的標準」(de dure standard)であるのに対し、いわば事実上の標準(de facto standard=デファクトスタンダード)ということになるでしょう。

私の事務所では、患者さんから様々な医療相談を受けていますが、医療レベルのバラツキが多いための不安からくる相談が大半です。今受けている治療は、デファクトスタンダード(確固たる標準)なのかどうかわからないと、「もっといい治療法があるのでは?」と不安になるものです。高度化複雑化した医療においては治療法の選択肢はたくさんありますが、そういった判断をするにおいても、標準的な治療法を知ることはとても大切です。「自分が受けている治療法は、標準的な治療法なんだ」と確認することが安心して医療を受けることにつながり、その結果、医師とのコミュニケーションもよくなり、当然ながら治療効果も向上します。

また、本書では、先端医療としての「特殊治療」にも紙面の許す限り言及していただきました。「受診のコツ」や「早わかり 病院で行う検査・治療」「医学専門用語の手引き」など、編集、監修が名ばかりにならないよう、私どものオリジナルな仕組みもつくりました。オリジナルゆえ、監修者の主観が入っていますが、今までの家庭医学書にはない、実践的でわかりやすいものと自負している部分でもあります。


こうして振り返ってみますと、初心は少しも変わっていないことを再度実感します。しかし、内容の充実度は確実に向上しています。改訂のたびにご購入いただいても、なんらもったいなくはないと自負できる改訂であると確信しております。

私の事務所の基本理念は
Academic:学術的に理論がしっかりしていて探求心に富んでいること」
Practical:見かけや名声だけではなく実際に役に立つこと」
Humanly:人間にとっての優しさに配慮すること」の3本柱です。
本書も常にこのことを念頭において作成しました。

今回の改訂では、特にその執筆陣の拡充にご注目いただきたいと思っています。第2版ではすでに、それぞれ一線の臨床専門医ということで選抜依頼いたしましたが、今回はさらに磨きをかけました。そして驚くべきことに(自分でいうのも憚るのですが)、私の大学時代の同級生100名のうち、25名の仲間が執筆に参加してくれ、これは稀有なことだと感謝しております。もちろん、専門疾患の重なりもあり、同級生の中でも依頼できていない優秀な医師もいますので、今後の改訂ではさらに増えることを願っています。

この事実は、いかに本書が実際的で頼りになる本であるかということを物語っています。

6年間の学生生活を共にし、その人間性を知り尽くしたうえで「この人には大切な患者さんをお任せできる」という基準で選抜したからです。その彼らが臨床の忙しいなか、本書の意義を理解したうえで書き下ろしてくれたわけですから、この本の価値は高いのです。

同級生以外の執筆者もほとんどの方が、医学生時代や研修医時代から私の先輩、後輩であったり、直接一緒に仕事をしてきた専門医仲間たちです。さらに、その専門医が推薦してくれた医師も若干名執筆陣に加わっていただきました。執筆陣の詳細は、別冊の「執筆者プロフィール」を見て下さい。原則顔写真入りで、専門分野や得意な疾患はもちろん、趣味や診療モットーなどまで掲載させていただきました。別冊だけをご覧になっても、信頼できる医師ガイドとして本書購入の価値はあるのではないでしょうか。

こんな手前味噌の前文を書くのも、読者の皆様に「安心と幸福の医学」をお届けしたいという熱意の成すわざでありますのでお許し下さい。私自身の日頃の活動は、「民間版侍医システムの普及」を通じての「安心と幸福の医学」の実践です。本書を卓上の主侍医としてお役立て下さることを祈願してご挨拶とさせていただきます。

 

2006年6月1日

寺下医学事務所代表 寺下謙三
    

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